食品業界は文系理系問わず就活生から例年人気の高く入社倍率の高い業界です。
食品業界の選考を通過するためにはESや面接対策はもちろん食品業界に対する正確な理解も重要です。
そこで今回は食品業界について現状や将来性・最新動向も含めて解説します。
食品業界を目指す理系学生はぜひ参考にしてみてください。
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食品業界にはどんな企業がある?
食品業界は主に食品を製造・販売するメーカーがメインとなりますが、扱う食品も企業によって様々です。
食品メーカーは取り扱う食品により大きく以下の3つに分けられます。
- ・加工食品:お菓子、乾燥面、冷凍食品、乳製品等
- 例)明治、グリコ、日清、森永
- ・食品原料:小麦粉、水産品、食肉製品
- 例)ニチレイ、日本ハム、味の素、日清オイリオ
- ・清涼飲料水、タバコ、アルコール
- 例)サントリー、アサヒ、サッポロ、JT
上記以外にも農薬や肥料などを製造する会社も食品メーカーとして分類されます。
食品メーカーはどの企業も認知度が高く、理系学生の就職先としてもランキングの上位に例年入るほどの人気ぶりです。
そのため、食品メーカーを志望する場合は厳しい競争を勝ち抜かなければなりません。
食品業界の現状と市場規模
ここでは食品業界の現状と市場規模について解説します。
まず市場規模についてですが、財務省の「年次別法人企業統計調査(令和2年度)」によると2020年の食料品業界の売上高は42.1兆円で市場規模の大きい業界です。
ただしコロナ禍の影響があり、飲食店向けの業務用食品の需要が減少したことから市場規模は若干の低下傾向にあります。
2021年に入りコロナ禍の影響は落ち着きを見せ、業務用食品も徐々に需要が回復傾向にあるものの食品の原材料である小麦や食肉が高騰しており、食品メーカーは値上げせざるを得ない状況です。
このような状況下であるため、食品業界は市場規模こそ大きいものの様々な環境要因に影響を受けており先行きが不透明となっています。
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食品業界の将来性
ここでは食品業界の将来性について解説します。
食品業界では今後以下の動きが活発になることが予想されます。
・国内需要低下による海外進出
・SDGsに対応した食品の生産体制構築
国内需要低下による海外進出
他の業界も同様ですが近年少子高齢化などの影響で国内消費や需要が以前よりも低下しており、食品業界も海外への進出が活発化しています。
特に海外進出が活発な地域は、経済成長が著しい東南アジアを中心としたASEAN諸国です。
この地域は日本人と食の好みが似ており、比較的日本の食品が受け入れられやすいとされています。
すでにインスタントラーメンや醤油などの調味料を手がける食品メーカーは東南アジアに進出し製品を販売しており業績も好調です。
今後も様々な食品メーカーが東南アジア地域を中心に海外進出の流れを加速させるでしょう。
また、海外展開のスピードを高めるために現地企業の買収を行うケースも増えています。
日本の食品メーカーは高い技術力を保有しているため、世界市場においても今後高いシェアを獲得できることが期待されているようです。
SDGsに対応した食品の生産体制構築
近年SDGsを中心に地球環境へ配慮した取り組みが注目される中、食品業界では食品廃棄の問題への取り組みが重要視されています。
在庫管理の精度を高めるなどで食品廃棄を減らす取り組みや、食品を廃棄せず必要な組織に提供する活動が進められており、消費者も一体となって食品廃棄量を減らせるよう働きかけることが期待されます。
またSDGsのキーワードである「持続可能性」の観点から食品供給の安定も食品業界の課題です。
例えば魚介類などの水産資源は近年世界的に需要が高まっており、将来的に枯渇してしまうことが懸念されています。
この課題に対処するため、水産資源の生産者、加工業者が連携しながら養殖に取り組むなど、安定供給を継続できる体制の整備が重要です。
食品業界にはどんな仕事がある?
ここでは食品業界の代表的な仕事を以下4つ紹介します。
・研究開発職
・生産管理職
・マーケティング職
・営業職
食品業界を目指す方は上記職種の特徴をしっかりと把握しましょう。
研究開発職
食品業界で理系学生に最も人気の高い職種が「研究開発職」です。
研究開発では、原材料の選定から基礎研究、商品開発や既存製品の改良など研究開発に関わる幅広い業務を担当します。
製造する食品の品質によって企業の業績が左右されるため、非常に重要な業務と言えるでしょう。
研究開発職は理系学生がほとんどですが、学生時代の専攻が食品である必要はなく幅広い人材が活躍できるでしょう。
生産管理職
生産管理職は生産計画の立案、進捗管理など製品生産に関わる業務を担当します。
近年工場での製品生産は自動化が進んでいますが、製品によっては目視や手作業でのチェックが必要です。
工場で上記の実務をこなしたり、生産状況をみながら製造量の調整も行います。
また生産管理では製品の品質管理も行っており、事前に設定された基準をクリアする製品だけを流通できるように品質チェックをしなければなりません。
数字管理や品質チェックといった様々な業務を複合的にこなす必要があります。
マーケティング職
食品業界のマーケティング職は、市場調査、新商品やキャンペーンの企画、販促活動など製品販売に関わる業務がメインです。
特に市場調査は重要で、調査結果をもとに企画の作成・マーケティング施策の立案・実行を行うなど全てのマーケティング活動の根幹となります。
またプレゼンテーションを行う機会も多く、社内に企画案を提出する際はもちろん、競合他社とのコンペなどでもプレゼンテーションを行います。
研究開発や営業職との連携も必要であるため、高いコミュニケーション能力も求められる職種です。
営業職
営業職では顧客に対して商品を提案し販売するのが主な仕事です。
文系就職の場合、新卒の多くは営業職に配属され現場を一通り経験してから他の部署へと移動するケースが多くあります。
食品メーカーの場合、食品を扱う卸売会社やスーパー、小売店に対して自社商品を扱ってもらえるよう営業が商品提案をします。
業態としてはB to Bにはなるものの、販売する商品は直接消費者に届くためB to Cのように消費者に魅力に感じてもらえるような提案が求められるでしょう。
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食品業界の最新ニュース
ここでは食品業界の最新ニュースについて以下の話題を紹介します。
・機能性表示食品等の健康需要
・原材料費や輸送費の上昇
機能性表示食品等の健康需要
食品業界では大量消費から細かいニーズに対応した製品を販売する流れにシフトしています。
近年では健康需要が非常に高いことから「機能性表示食品」や「特定保険用食品」が人気で、多彩な商品が各食品メーカーから登場。
付加価値の高い食品も人気で、ポリフェノールの健康効果を得られるカカオを含有量を多くしたチョコレートや栄養価の高いもち米などの売れ行きが好調です。
このように消費者が日常的に食べる食品に健康効果を付与した食品がトレンドであり、今後も健康需要が続くことが見込まれるため、健康効果の高い商品が今後も登場してくるでしょう。
原材料費や輸送費の上昇
2022年に入り食品業界で話題となっているのが「原材料費や輸送費の上昇」です。
近年のウクライナ情勢などが影響し原油価格が高騰していることから輸送費高騰。
さらには円安の影響から原材料の輸入コストも高騰し続けています。
原材料費や輸送費の上昇は扱う食品に関係なくどのメーカーも大きく影響を受けるため、食品メーカーは製造コストが膨らみ商品を値上げせざるをえない状況になりつつあります。
食品は消費者にとって毎日手に取るものであり、食品の値上げは消費者の消費行動の減退を促してしまうでしょう。
こうした物価上昇にいかに対応するかが食品メーカーの業績を左右しますが、業界としてもどのように対応すべきか明確になっておらず、先行きが不透明な状況です。
これは知っておきたいポイント!(まとめ)
食品業界は多くの就活生に人気の業界であり、理系学生の応募も多く競争率が高い業界です。
食品業界の厳しい採用選考を勝ち抜くためには、選考対策はもちろん食品業界を深く理解し、志望理由とともに面接でうまくアピールできるかが重要となります。
食品業界は国内でもトップクラスの市場規模を誇るものの、国内需要は減少傾向がみられるため海外進出が盛んです。
また、原材料費や輸送費の上昇への対策が必要など課題の多い業界でもあります。
そうした中でも食品メーカーは個別のニーズに対応した高機能食品など新商品を積極的に開発しているため、新しい事業に取り組めるチャンスは多いでしょう。
今回の内容を参考に食品業界を詳しく理解し、志望企業の内定を勝ち取りましょう。