ガクチカという言葉は“学生時代に力を入れたこと”を略した就活用語です。就職活動の面接では、「学生時代に力を入れたことは何ですか?」という質問が定番化しています。そのため、就活生から略してガクチカと呼ばれ、対策が重視されるようになりました。

そんなガクチカでは、多くの就活生が何をアピールするべきか悩んでいます。一般的にガクチカでアピールする題材として、ゼミ活動(研究活動)・サークル活動・アルバイト経験・ボランティア活動・インターンシップ・留学などが挙げられます。この記事では、なかでもゼミ活動をアピールする場合のガクチカの例文や書き方のコツをお伝えするので、ぜひ参考にしてみてください。

なお、自己PRの書き方については以下の関連記事で詳しく解説しています。ガクチカに関する情報と併せて、ぜひこちらもお読みください。

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ゼミのエピソードがガクチカで使える理由

ゼミのエピソードがガクチカで使える理由

大学生活で所属するゼミ・研究室での学業に力を入れた方は、ぜひガクチカの題材として採用担当者へ効果的にアピールしましょう。まずは、ゼミのエピソードがガクチカで使える理由を解説します。

興味関心を伝えやすいため

多くの方は、自分の興味関心のある対象から所属するゼミを選んでいるでしょう。そのため、ガクチカでゼミ活動をアピールすると、自分の興味関心が採用担当者に伝わりやすくなります。なぜそのゼミを選んだのか、動機を説明することで、ご自身の人柄や価値観まで伝えられるのがメリットです。

具体的な経験を説明しやすいため

ゼミ活動では専門的な研究のほか、ゼミ生同士でのディスカッションや交流などの機会を通じて、メンバー同士で協力する経験を得られます。また、プロジェクトやイベントに参加したり、プレゼンやコンテストに挑戦したりと、成長につながった具体的なエピソードが豊富にあるはずです。採用担当者に学生時代の努力を明確にイメージしてもらいやすくなります。

他の学生とエピソードが被る可能性が低いため

ゼミの研究内容は大学や学部によって多種多様であることから、他の学生と内容が被りにくく、オリジナリティのある魅力的なガクチカをアピールしやすいのがメリットです。それに対して、サークル活動やアルバイトのエピソードは内容が被りやすい傾向にあります。周りの学生とエピソードが被ってしまうと、採用担当者の印象に残りにくくなるのが注意点です。

組織における自分の立ち位置を伝えやすいため

ゼミは仕事と同様にチーム単位の活動なので、自分が会社組織の中でどのような立ち位置で活躍できるかをアピールするのに適しています。例えば、ゼミ長として組織のリーダーを務めた人もいれば、組織を円滑に運営するためのサポートを担った人もいるでしょう。入社後に組織の中で活躍するイメージを採用担当者に伝えやすい点でおすすめです。

ゼミ活動をガクチカでアピールするときのコツ

ゼミ活動をガクチカでアピールするときのコツ

ゼミ・研究室での活動をガクチカでアピールする際は、以下のコツを押さえることで、ほかの就活生と差別化しやすくなります。説得力のあるエピソードを交えながら、将来の社会人としての活躍をイメージできるようなアピールを行いましょう。

研究結果を積極的にアピールする

理系専門職や研究職での就職を希望しており、ゼミでの研究内容と志望企業の業務の関連性が高い方は、ガクチカで研究結果について詳しく伝えて積極的にアピールしましょう。ゼミで身につけたスキルを直接仕事に活かせる場合は、人事による高評価が期待できます。特に、機械系・建築系・IT系の学部は、ゼミの内容が仕事とマッチするケースが多く、選考で有利に働く可能性があります。

ゼミでの背景や状況を細かく伝える

ガクチカでゼミ活動をアピールするなら、そのゼミや研究テーマを選んだ背景や状況までしっかりと盛り込みましょう。単にゼミでの活動内容だけを伝えるよりも、エピソードを通じて自分の価値観や人柄をより深く理解してもらいやすくなります。また、自分がゼミにおいてどのような立ち位置にあったかをよりイメージしてもらうために、教授や仲間との関係性を盛り込むのも効果的です。

企業の特性に合ったエピソードを伝える

志望動機や求める人物像と関連するような、企業の特性に合わせたエピソードでアピールすると、採用担当者から興味を持たれやすくなります。ガクチカを考える前に企業研究を十分に行い、志望企業の企業理念・求める人物像・社風などを把握しておくことが大切です。その上で、面接官側の視点を取り入れながらエピソードの作り方を考える必要があります。

ゼミ活動でアピールしやすい長所や強みの例

ゼミ活動でアピールしやすい長所や強みの例

大学時にゼミ・研究室の活動で努力した方は、以下の長所や強みをアピールできます。アピール方法で迷ったときは、これまでのゼミ活動・研究活動を振り返りながら、ご自身に該当する長所や強みを見つけてみましょう。

個人ワークに関する長所や強みの例

ゼミ活動で個人ワークに力を入れた方は、こんな長所や強みをアピールできます。

【個人ワークに関する長所や強み】

・スケジュール管理能力
・課題を発見する能力
・臨機応変に対応する力
・問題解決能力
・忍耐力
・モチベーションを維持する力
・論理的思考力や分析力
・専門知識や専門技術 など

個人作業で目標達成するには、自分でスケジュールを決めて進捗を管理する計画性や、課題を特定して解決へと導く課題解決能力が不可欠です。個人研究や個人活動で努力したなら、上記の長所や強みにつながるガクチカのエピソードを探してみましょう。

グループワークやディスカッションに関する長所や強みの例

ゼミ活動でグループワークやディスカッションに力を入れた方は、こんな長所や強みをアピールできます。

【グループワークやディスカッションに関する長所や強み】

・リーダーシップ
・マネジメント能力
・表現力
・傾聴力
・情報を整理する能力
・コミュニケーション能力
・協調性 など

複数人で活動する場合、リーダーはメンバー全員の意見をまとめたり、判断を下したりする役割を担います。一方、組織を円滑に運営するためには、人の相談に乗ってメンバーの不安を解消したり、地道な準備作業に携わって縁の下の力持ちとして活躍したりするサポートの役割も重要です。自分がチームにどのように貢献したかが伝わるエピソードを探してみてください。

フィールドワークに関する長所や強みの例

ゼミ活動でフィールドワークに力を入れた方は、こんな長所や強みをアピールできます。

【フィールドワークに関する長所や強み】

・課題を発見する能力
・課題解決力
・協調性 など

大学の外へ出てさまざまな現場で調査を実施するフィールドワークでは、研究室での活動とは異なるスキルが求められます。現場で想定外の事態が起こって苦労した経験を持つ方も多いでしょう。行動力はもちろん、課題を解決へ導く力や、協力して乗り越える力をアピールするエピソードが有効です。

失敗経験に関する長所や強みの例

ゼミ活動で失敗を経験した方は、伝え方次第でこんな長所や強みをアピールできます。

【失敗経験に関する長所や強み】

・継続力
・自己分析力
・危機管理能力
・忍耐力
・向上心
・思考の柔軟性 など

なかなか思うように研究の結果を出せなかったり、出場したコンテストで敗退してしまったりしても、その経験から自分なりの学びを得られた場合はガクチカとしてアピールできます。自分の経験を振り返り、上記の長所や強みにつながるエピソードがないかチェックしてみましょう。

【例文で見る】ガクチカでゼミ活動をアピールする際の7つの構成と書き方

【例文で見る】ガクチカでゼミ活動をアピールする際の7つの構成と書き方

ここでは、ゼミや研究室での活動をアピールする場合のガクチカの例文をご紹介します。文章の構成は、以下のように7つのパートに分けて説明するのがポイントです。

①結論
②ゼミを選んだ理由
③目標と課題
④行動
⑤結果
⑥学んだこと
⑦展望

研究室での活動に注力した理系学生の方は、こちらの伝え方の流れに合わせて、ご自身のストーリーでガクチカを作成してみましょう。

①結論

私がもっとも力を入れた活動は、材料工学のゼミにおける、新しい合金の開発プロジェクトです。この経験を通じて、データ解析やシミュレーションに関する専門知識と技術を習得し、問題解決能力やチームワークを高めることができました。

初めに結論として「具体的にゼミで何を頑張ったのか」を簡単に述べます。最初に結論を伝えることで、読み手に話の内容を理解してもらいやすくなります。

②ゼミを選んだ理由

材料工学に興味を持った理由は、2年次までの勉強を通じて、日常生活の中で使用される多くの製品が材料工学の成果に支えられていると気づいたからです。特に、新しい合金の開発は産業界での応用範囲が広く、社会に貢献できる点に大きな魅力を感じたため、このゼミを選びました。

続いて、数ある選択肢の中で現在のゼミや研究テーマを選んだ理由やきっかけを伝えます。自分自身の経験や価値観を交えながら、「何を基準にして所属するゼミを選んだのか」「どのような分野の研究に興味関心があるのか」を丁寧に言語化しましょう。

③目標と課題

ゼミで取り組んだプロジェクトの目標は、従来の合金よりも軽量で強度の高い合金を開発することでした。そこで課題となったのが、「シミュレーションの精度向上」と「膨大なデータ処理の効率化」です。

ゼミ活動の中でチャレンジした目標や、研究過程で直面した課題などを説明します。「どのような問題意識をもってゼミ活動に携わっていたのか」「努力によってどんな壁を乗り越えたのか」などが明確になり、ゼミ活動に対する姿勢や取り組み方が伝わりやすくなります。

④行動

これらの課題を解決するために、まずはメンバーと手分けして多数の文献を調査した上で、合金の特性をシミュレートするのに適したソフトウェアを選定し、シミュレーションモデルを構築しました。私が主に担当したのはパラメータの調整です。精度向上を目指して実験データとシミュレーション結果の比較を繰り返し行い、何度もパラメータの微調整を行いました。また、Pythonを用いてデータ解析ツールを開発することで、膨大なデータを効率的に処理し、他のメンバーが手早く解析できるように環境の整備にも取り組みました。

直前に説明した課題に対して、解決のためにどのような行動を取ったかを具体的に説明します。このステップでは特に抽象的な表現を避け、困難の突破につながった行動を詳細かつ重点的に述べましょう。曖昧に伝えてしまうと、エピソードの説得力が薄れるだけでなく、物事の真偽を疑われてしまうおそれがあるためNGです。

⑤結果

最終的に、私たちのチームは目標とする特性を持つ新しい合金の開発に成功し、学会で研究成果を発表しました。プロジェクトの研究結果は高く評価され、質疑応答でも自信を持って対応できました。

前述した行動によって得られた結果を述べます。もし可能であれば、結果とともに数字などの定量的な情報や、獲得した実績・成果などを提示すると、読み手に納得感を与えやすくなるでしょう。

⑥学んだこと

このプロジェクトを通じて、シミュレーションやデータ解析に関する専門知識と技術を身につけられました。また、課題の解決策を導き出す問題解決能力を伸ばし、メンバーと役割分担しながら多数の作業をこなすチームワークの大切さを学びました。

ここまでのプロセスのまとめとして、ゼミの経験から何を学んだのか、自分がどのような点において成長したのかを伝える部分です。たとえ結果が芳しくなかった場合でも、失敗から得た気づきや学びを盛り込む対処法により、ゼミ活動への熱意や学びを強調することができます。

⑦展望

この経験で培った専門分野の知識と技術、そして問題解決能力やチームワークは、社会人になってからも仕事で役立つと考えています。入社後は御社のプロジェクトをスムーズに遂行するために、プロジェクト進行管理やチームでの協力体制の面で、自分の能力を活かして貢献したいです。

最後に、ゼミでの経験から得た学びを入社後にどのように活かすのかを説明します。志望企業の仕事内容を踏まえて、働く中で同様の課題があったとき、経験を活かして能力を発揮し解決できることをアピールすると良いでしょう。

ガクチカでゼミ活動を用いる際の注意点

ガクチカでゼミ活動を用いる際の注意点

理系の研究活動をアピールする場合、専門性の高い内容を簡潔かつ相手が理解しやすい形で伝えることが大切です。最後に、ガクチカでゼミや研究室の活動をアピールする際の注意点をお伝えします。

専門用語を多用しない

ガクチカでゼミ活動をアピールするときは研究内容の説明が必要となりますが、その際は専門的な内容を初めて聞く人でも理解できるように配慮することが重要です。そもそもガクチカの目的は、専門知識をアピールすることではなく、学生時代に取り組んだ内容やそこで得た学びをアピールすることです。専門用語を使用するときは、異なる学部・学科の人でも意味を理解できるようにかみ砕いて、できる限りわかりやすく説明するよう心掛けましょう。

ゼミでの活動内容ばかりに文字数を割かない

ガクチカは、ゼミ活動の内容に重点を置くのではなく、ゼミ活動を通じて得た価値観や考え方に重点を置いた構成にしましょう。ガクチカの質問をする企業側は、自社にマッチする人材を見極める目的で、学生の価値観や考え方を知りたいと考えています。そのため、ゼミ活動そのものの情報に文字数を割きすぎないよう注意しましょう。面接対策では企業の意図に沿った答え方ができるように、求められている回答を意識してガクチカを作成するのがポイントです。

ゼミ活動を頑張ったあなたはガクチカで積極的にアピールしましょう!

ここまで、大学生活でゼミ・研究室での活動に力を入れた方へ向けて、ゼミ活動をアピールするガクチカの書き方についてお伝えしました。ゼミ活動のエピソードは、自分の興味関心を知ってもらうのに適していて、かつ学生時代の努力を具体的に伝えやすいことから、ガクチカの題材に向いています。

ガクチカでアピールする自分の長所・強みの見つけ方でお悩みなら、この記事でご紹介した回答例をぜひ参考にしてみてください。その際は、専門的な内容を誰にでも理解できるようわかりやすく伝えることや、企業が求める回答を意識してガクチカを考えることなどがポイントです。学生時代に頑張ったゼミ活動のエピソードでご自身の魅力を存分に伝えて、志望企業の内定を目指しましょう。

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