こんにちは。理系就活情報局です。
あなたはAI(人工知能)について、どう思っていますか?
「オープンAIの『Chat GPT』を試しに使ってみたが、大したことないと思った」
はい。あえて強調しますが「今は」、そうでしょう。
でも、近い将来も、遠い未来もそのままだと、過小評価していませんか?
相手を過小評価して痛い目にあったり、自滅してしまった例は、人類の長い歴史を見れば、それこそあふれ返っています。
AIは、人類の未来を左右する重要なテクノロジーです。過小評価も、過大評価もせず、冷静な態度で接したいものです。
今回は、「機械学習」「ディープラーニング」を通じて、AIが切りひらく世界について、認識を深めてほしいと思います。
「ディープラーニング」とは?
2012年の第3次AIブームを呼んだ「深層学習」
ディープラーニング(深層学習)とは、人間が自然に行っているタスクをコンピュータに学習させるための、AI(人工知能)の機械学習の方法の一つです。
そのお手本は、実は「人間の脳」です。
人間の脳は「ニューロン」と呼ばれる神経細胞の集合体です。それを模して、コンピュータ・サイエンスの世界では「ニューラルネットワーク」というものが考案されました。それをベースにしながら多層構造で組み合わせることで、より深い学習、深層学習、つまりディープラーニングが可能になりました。その多層構造を「ディープニューラルネットワーク」ともいいます。
人間は、言葉を耳で聞いて学び、目で見て学び、手で触れて学び、匂いを嗅いで学び、舌で味わって学び、文字を読んで学び、経験して学びます。脳をコンピュータにたとえれば、聴覚、視覚、触覚、嗅覚、味覚の五感から、それぞれのさまざまなデータがインプットされて、それを情報処理して、学習します。
学習したことに基づいて、行動という形でアウトプットします。「止まれ!」と言う声を聞いたら歩くのをやめ、正面からクルマが来るのを見たら脇に避け、熱湯に触れたら手を引っ込め、臭い匂いをかいだら遠ざかり、おかしな味がしたら食べるのをやめます。それは、データを情報処理した結果、「自分が傷ついたり、命を失うのを避けるために選択する行動」です。
実際は、そんな単純ではありません。「止まれ!」という忠告を無視して穴に落ちてケガをしたら、痛い思いをした経験から学んだりします。目で文字を読んで「この道には穴が多い」「この道はクルマが多い」という情報を得たら、別の道を選んでリスクを避けることもあります。そのようにして人間は「学習」していきます。
人間は、学校に行って上の学校に進んだら、仕事についたら、もっと複雑な学習に取り組みます。データの数はきわめて多くなり、それを脳の中で情報処理する方法もどんどん複雑になります。法則性を学んでも、法則どおりにいかない課題に直面したら、新たにデータを取りに行くなどして、解決策をいろいろ考えます。時には「これは例外なのだ。なぜなら〇〇だからだ」という結論に達することもあるでしょう。
人間は、時間をかけて段階的にそうしたディープラーニングの術を身につけていきますが、AIはほんの一瞬で、それを身につけてしまうことができます。AIは、きわめて短い時間で、データに含まれる特徴を段階的に、より深く学習することが可能なのです。
多層構造のニューラルネットワークに、大量の画像、テキスト、音声データなどをインプットすることで、AIはスピーディーに、データに含まれる特徴を自動的に学習していきます。ディープラーニングに特有なのが、そうした構造と学習の手法です。
そうしてディープラーニングはきわめて高い精度に達し、人間の認識精度を超えることさえあります。ディープラーニングが実用レベルに達したのは21世紀に入ってからで、2012年には世界的に大きな話題になって日本でも「第3次AIブーム」が到来しました。
「機械学習」と「ディープラーニング」の関係性
「機械学習」と「深層学習」
すでに述べたように、ディープラーニング(深層学習)は、AIの機械学習の方法の一つです。機械学習の方法は他にもあり、その中でとりわけ今、注目されているのがディープラーニングなのです。
それはAIの急速な発展を支える技術で、さまざまな分野で、従来はAIにはまだ不可能だろうと思われていたことを可能にし、一気に実用化にまで進めています。
その一つが「自動運転車」で、そのキーテクノロジーの一つがディープラーニングです。ドライバーがいなくてもクルマの「目」が停止標識を認識し、道端の電柱と人間を区別できるのも、ディープラーニングがあればこそです。
判別ができる背景には、電柱に関する膨大な視覚データと、人間に関する膨大な視覚データがあります。もしも人間が電柱のコスプレをして道端に棒立ちしていても、AIは細かい動きや材質、電線がないことなどから「これは電柱ではなくて人間だ」と判断できることでしょう。
しかし、同じAIでも機械学習の方法によっては、電柱のコスプレをした人間と本物の電柱を判別できないかもしれません。それでは自動運転車に搭載できません。
「音声認識」も、同様です。今はAIスピーカーからスマホ、タブレット、テレビに至るまで、ディープラーニングによる音声認識機能を搭載した機種が市販されています。大勢の人が一斉にしゃべっても、あなたがしゃべった言葉を認識して、的確に返事してくれます。将来は10人が同時にしゃべってもその全てを自動的に判別して、個別に的確な返事を返せる、まるで聖徳太子のようなAIが登場するかもしれません。
そのようにディープラーニングは、従来の技術では不可能だったレベルのパフォーマンスを達成できるようになっています。だから注目されるのです。
ディープラーニングの活用例
・自動運転 ディープラーニングを使って、一時停止標識や信号機を自動認識させます。歩行者の検知にも使われ、事故の減少に役立てられます。
・航空宇宙・防衛 衛星からの物体認識・物体検出で、地上の部隊が安全なエリアにいるかどうかを判断するのに使われます。
・医療 がんの研究者はディープラーニングで自動的にがん細胞を検出しています。UCLAの研究チームは、ディープラーニングの学習に必要な高次元のデータセットを作成する高精度な顕微鏡を構築し、正確にがん細胞を見つけ出しました。
・産業オートメーション 建設用の重機の周辺で業務を行う作業者の安全性の向上に役立てられています。人や物が機械の危険域内に侵入した場合、自動検出します。
・エレクトロニクス 自動音声翻訳に使われます。人の声に反応して人の好みを学習できるホームアシスタントデバイスには、ディープラーニングの技術が活きています。
孫正義 「AIが人類よりも賢くなりつつある」
ソフトバンクグループ傘下のアームが上場
9月14日、アメリカのナスダック(NASDAQ)市場に、ソフトバンクグループ傘下のアーム(ARM HD)が新規上場しました。その時価総額652億ドル(9兆6100億円)は、ナスダック市場で2023年最大の新規上場になりました。
アームは1990年、英国のケンブリッジで創業した半導体の回路設計の会社です。特にCPU(中央演算処理装置)の回路設計に強みを持っています。アメリカのエヌビディアが生産しているAI向けのCPU「グレース・ホッパー」の半導体設計を行っているので、AI(人工知能)のテクノロジーでは非常な重要な役割を果たす企業だとみられています。2016年にソフトバンク・グループの子会社になり、アップルなども出資しています。
なぜ、アームはAI(人工知能)のエースなのか?
アームは、半導体回路設計のデータについては、特にスマートフォン(スマホ)向けのCPUに強みがあります。人がAIを利用するためのインフラという観点で言えば、手軽に持ち歩けるスマホは、パソコンやタブレットよりも重要だとみなされています。それも、アームのAIにおける重要度の高さにつながっています。
もちろん将来は、スマホだけでなく、ありとあらゆるセンサー、デバイスにアームの半導体チップが搭載され、その数は1兆個を超えると見込まれています。そうやって、SNS、金融、ビジネス、小売、教育、マスメディアなど、社会全体がAIにつながるようになっていきます。
アームの親会社、ソフトバンク・グループの代表取締役会長兼社長執行役員の孫正義氏は2023年6月、東京国際フォーラムで開催された定時株主総会で「私が今、一番関心を持って仕込み中なのはAI革命」「人類をAIが超える特異点『シンギュラリティ』を迎えることで、近い将来、人類はAIに一気に追い抜かれるだろう」「AI革命の恩恵を大いに受けるのがアームだ」と述べています。ソフトバンク・グループの後藤芳光CFOも「AI革命の先導役をアームに期待する」と、口にしています。
AIは半導体、特にCPUの性能に左右されますから、アームは「AIのエコシステム(生態系)」を左右する要(かなめ)の企業と言っても、過言ではありません。その経営権を日本のソフトバンク・グループが握り、AI革命の主役になっているのです。
孫正義氏は「将来的なアームの半導体チップの設計能力の試算によると、AIは数十年後には、少なくとも全人類の叡智の総和の1万倍ぐらいのレベルになるのではないかと予想している」と述べています。
孫氏は「AIが人類よりも賢くなりつつある」ことを強調しています。
ビジネスとしてのAI業界
AIの国内市場規模
AI(人工知能)業界はどれほどの規模があるのでしょうか?
IDC Japanの調査によると、2021年の国内AIシステム市場は2771億円で、前年比26.3%増の成長を遂げました。
思い返してほしいのですが、この時期は新型コロナウィルスが世界的に猛威をふるい、2020年の東京五輪が1年延期になりました。それにもかかわらずAI業界は20%を超える大きな成長を記録していました。デジタル技術を活用して企業のビジネスモデルを変革するDX(デジタルトランスフォーメーション)への流れと、導入しやすいサブスク(月額課金制)が追い風になっており、その勢いは、現在も続いています。
国内AIシステム業界大手
国内の主なAI企業には、次のようなものがあります。
「FRONTEO」「PKSHA Technology」「ブレインパッド」「AI Inside」「Appier Group」「Preferred Networks」「ダブルスタンダード」「エクサウィザーズ」「アドバンスト・メディア」「ALBERT」
その中で「大手」とみなされているのが「FRONTEO」「PKSHA Technology」「ブレインパッド」「AI Inside」の4社で、いずれも株式を上場しています。
「FRONTEO」は、AIによる自然言語解析を活用した創薬支援、電子カルテ解析など医療分野が強く、「PKSHA Technology(パークシャ・テクノロジー)」は、自然言語処理、画像認識、機械学習、深層学習技術を活用して企業向けのコンサルティングとAIによる課題解決を得意としています。「ブレインパッド」はAIを活用した企業の需要予測、売上予測など「予測」に強みがあります。「AI Inside」はAIを活用して手書き文字の光学式文字読み取り装置(OCR)サービスでトップシェアを占めています。
AI企業のプロダクトの例
・FRONTEO「アメリカの民事訴訟のデータ収集業務」
AIの基本性能の「自然言語解析」「価値の発見」を活かし、アメリカの民事訴訟の膨大な電子データから文章を解析し、必要なデータを特定する法務サービスを提供しています。
・ALBERT「タクミノメ」
AIの基本性能の「画像/映像解析」を活かし、製造業での不良品の検知や除外、医療分野での画像診断の効率化、建築物の外観検査のサービスを提供しています。
・ブレインパッド「需要予測」「売上予測」
AIの基本性能の「予測」を活かし、需要、売上の過去の推移、需要のマイクロトレンド、地域性、商品の季節性、顧客の動向などさまざまな要素を解析して、将来を予測するサービスを提供しています。
その他、Appier GroupはAIによる販売促進を提供し、Preferred Networksはディープラーニング、ロボティクスに強みがあります。それぞれに得意分野がありますが、まだまだ若い分野なので、各社の売上規模、ランキングの変動は大きくなっています。今はランキング下位の企業でも、技術が高く評価されれば、売上が大きく伸びる可能性を秘めています。
AIの市場規模予測(世界、日本)
IDCジャパンの調査によると、2021年に2711億円だった国内AIシステム市場は、2026年にはその約200%増(ほぼ3倍)の8120億円に達すると予測されています。「5年で3倍」の急成長市場です。今は「第3次AIブーム」といわれた2012年のディープラーニング(深層学習)登場直後のような過度な熱狂こそありませんが、さまざまな産業分野で実証実験が着実に繰り返され、AIの実用化は実験から実装の段階へ移行しています。
現在の日本にとって喫緊の課題は、生産年齢人口の減少、人員不足をカバーするための生産性の向上です。その課題の解決には、これまでは人間が担ってきた仕事の一部をAIが補完して、より高度化、効率化を目指す以外はありません。そこでAIが果たす役割は非常に大きく、AIエンジニアへの期待もまた、非常に大きいと言えるでしょう。
世界でも、それは同様です。Fortune Business Insightsの市場リサーチ報告によると、世界のAI市場規模は2022年が4280億米ドルで、2023年には5153億1000万米ドル、2030年には2兆251 億2000万ドルへ成長すると予測しています。「8年で4.73倍」の急拡大です。
アクセンチュアの調査によると、世界の84%の経営幹部が、企業間競争に勝つためにAI活用はビジネス戦略に必要不可欠だと回答しています。
AIの国家戦略(日本)
内閣府の科学技術・イノベーション推進事務局は2022年4月に「AI戦略2022」を策定しています。その概要は、次の通りです。
・「人間尊重」「多様性」「持続可能」の3つの理念のもと、Society 5.0を実現し、SDGsに貢献
・3つの理念の実装を念頭に5つの戦略目標(人材、産業競争力、技術体系、国際、差し迫った危機への対処)を設定
・特にAI戦略2022においては、社会実装の充実に向けて新たな目標を設定して推進するとともに、パンデミックや大規模災害等の差し迫った危機への対処のための取組を具体化
・AIに関しては経済安全保障の観点の取組も始まることを踏まえ、政府全体として効果的な重点化を図るための関係施策の調整や、量子やバイオ等の戦略的取組とのシナジーを追求すべきことを提示
4つの戦略目標の筆頭に「人材」がきています。国のAI人材への期待は、きわめて大きいのです。
AIの国家戦略(世界)
世界各国も先進国を中心に、AI国家戦略を推進しています。
アメリカは2016年から国家科学技術会議(NTSC)が「国家AI研究開発戦略計画」を策定・推進。2018年には「AIサミット」が開催され、2019年には「AIにおける米国のリーダーシップの維持に関する大統領令」が出されています。
中国には2030年までにAI理論、技術および応用全体を世界のトップ水準にするという国家戦略があり「次世代AI重大科学技術プロジェクト」「国家次世代AIイノベーション発展試験区」の計画を推進しています。
英国は「AI分野を2030年までに2000億ポンドまたは英国のGDPの10%の市場にする」を目標とする官民コミットメントプラン「AIセクターディール」を2018年に発表しています。
2018年にドイツは「ドイツAI戦略」、フランスは「フランスAI戦略」を発表し、それぞれ国家戦略として強く推進しています。
欧州連合(EU)は域内でのAI連携を強化し、OECDは2019年にAI開発・運用のガイドライン「OECD AI5大原則」を発表しました。
先進国にインドなども参加して2020年、「AIに関するグローバル・パートナーシップ」が発足し、フランスのパリとカナダのモントリオールに専門センターを開設しています。
民間企業のディープラーニング戦略(大企業)
フジタ、DeepX
建設・土木業界では、人手不足や熟練作業者の高齢化の課題を解決するために、工事現場での建設機械の自動化に向けてさまざまな技術開発を進めています。
AIのディープラーニングを活用して、現場に作業者がいなくても自動的に地面の掘削を行えるようにするシステムに、大手ゼネコンのフジタとDeepXが共同で取り組みました。
油圧ショベルに設置したカメラの撮影データから、油圧ショベルの状態や姿勢をAIのディープラーニングの「画像認識(姿勢推定)」を用いて推定し、運転席にある操作レバーをモーターで自動的に動かして、ショベルを操作します。
それにより土木作業の作業効率の向上、人員不足の解消を目指しています。
KDDI システムファイブ
養殖場の魚貝類が死滅しかねず、養殖漁業に壊滅的な被害をもたらす「赤潮」の発生は、漁業者にとって大きな悩みの種です。被害を防ぐには、人間のがんと同じように、赤潮が発生したら「早期発見、早期対処」することが重要です。そのために海面の画像データからプランクトンを識別して、赤潮を予測するAIの開発、実証実験が進んでいます。
水産庁は衛星画像を活用して赤潮の発生を予測し、養殖漁業の被害の軽減に役立てる技術開発に取り組んでいます。衛星画像上の海面の色から、赤潮の原因となるプランクトンの種類まで判別できるといいます。
長崎県五島市で、KDDI、システムファイブは共同で、長崎大学大学院工学研究科、五島市と協力しながら、ドローンで赤潮を検知する実証実験を行いました。
衛星による海面の画像データ、多地点・多深度での採水によって、ディープラーニングによる画像認識で有害なプランクトンを判別。ドローンによる空撮映像で赤潮の分布状況を確認し、クラウド経由で漁業者への早期通知も行い、赤潮の早期発見の有効性が確認されました。
アプライド・マテリアルズ
アプライド・マテリアルズはディープラーニングの画像認識を応用した「AI外観検査」「AI画像検査」のソリューションを提供し、高品位なものづくりを支援しています。
従来はベテラン検査作業員の「目」と高度な技能で行われていた「目視検査」を、「AI開発プラットフォームMENOU-TE」「運用ツールMENOU-RN」などAIソフトウェアと画像検査エンジニアリングで省力化し、自動化の導入初期コストを従来の10分の1におさえるなど、検査コストを削減しています。それにより目視検査をより多くの拠点、より多くのラインで行えるようになるのもメリットです。
ディープラーニングの活用によって、従来は基準があいまいな部分が残り、工場や生産ライン、検査作業員の違いによるばらつきが出ていたのを、解消できます。
教師なし学習(良品学習)、教師あり学習、画像認識の画像全体からの領域検出、ピクセル単位の領域検出など、ディープラーニングのさまざまな手法に対応できるのも同社の強みです。
「ディープラーニング」の代表例(中堅企業)
エスユーエス
エスユーエス(本社:京都市)は1999年9月に設立され、従業員数1981名(2023年4月1日現在)で東証グロース市場に上場しています。
事業内容は、IT分野・機械分野・電気/電子分野・化学/バイオ分野における技術者派遣・開発請負、AR/VR教育およびAR/VRソリューション開発・販売、AI教育およびAIソリューション、ERP分野におけるコンサルティング・システム開発・導入支援、その他ITを活用したサービス事業となっています。
AI、VR/AR、IoT、RPA、自動運転、ロボット制御、航空宇宙など先端領域のソフトウェア開発で新たな価値を生み出している企業です。
同社のAIとの関わりは、2015年8月にAIを活用した新規事業開発のための「HAIQプロジェクト」を開始したことに始まります。2017年4月に人工知能エンジン「朱雀」を開発し、これが2018年7月にリリースしたAI搭載の採用マッチングソリューション(タレントマネジメント)システム「SUZAKU」に発展しました。2019年4月にはAIデザイナー育成講座を開講しています。
「SUS Lab」がAI研究の拠点で、VRをつくり出すAI研究を中心に、「仮想空間でデータ収集することによって、現実世界で大量のデータを蓄積することなく、AI学習が可能になる」ことを目指す研究を行っています。
これまでに開発したソリューションとしては、ディープラーニングを用いた防犯カメラ画像処理システムや、異常検知/設備等の非破壊検査でAIが正常、異常の自動判定を行うシステムなどがあります。
エスユーエスの経営理念は「人と企業の笑顔が見たい」。社是は「一人ひとりに最高水準の教育を追求し、エンジニアの夢を実現する」「チャレンジ精神を常に持ち、新たな価値創出を実現する」「『人』の成長を支援し、社会に貢献する」で、「人」と「技術」をキーワードに社会に求められる人財を輩出する事業モデル「社会人学校」を追求しています。
研究者、技術者にとってのメリット(まとめ)
AIは「AGI」に、さらに「ASI」へ進化
ソフトバンク・グループの代表取締役会長兼社長執行役員の孫正義氏は2023年10月4日、「Softbank World 2023」で特別講演を行い、「ハードウェアの強さとトレーニング(学習)、インファレンス(推論)でAIの強さが決まる」「今後10年以内に『AGI』の時代がくる」と述べました。
AGI(Artificial General Intelligence)とは「人類叡智総和の10倍」を意味し、AIが人間を超えて、その能力が人間の頭脳の10倍になることです。つまり、AIは人間を超える「シンギュラリティ」を超えると、10年以内にその10倍の能力が実現する。そうなれば全ての産業も、教育も、人生観も、生きざまも、社会のあり方も、人間関係も変わると、孫氏は強調しました。
具体的には何が起きるか、孫氏は次のような例を挙げています。
・自動車などのモビリティの完全自動化
・小売店や飲食店での、あらゆるデータを活用した完全な需給マッチング
・コールセンターでの、顧客の感情を理解し顧客ごとに最適な回答の案内
・投資では、数兆通りのシミュレーションから最適な戦略や投資の実行
・医療分野では、個人ごとの遺伝子解析によるパーソナライズ医療
孫氏の話は続きます。AGIの10年後にはさらに「ASI」へ進化する時代が来るとも述べています。ASI(Artificial Super Intelligence)とは「人類叡智総和の1万倍」を意味し、AIの能力が人間の頭脳の1万倍になることです。
つまり、就活中のあなたは、10年後、働き盛りの30代を迎えたらAIが人間の10倍の能力を持つ「AGI」の世界を生き、20年後、40代を迎えたらAIが人間の1万倍の能力を持つ「ASI」の世界を生きることになるのです。
好環境、好待遇
そのようにAI(人工知能)の世界は、今後の技術の進歩、市場拡大の余地が大きいので、スタートアップ企業の新規参入、異業種からの参入が相次いでいます。そんな好環境の分野は、人材の奪いあいで待遇も良くなるのがふつうです。
社会貢献
ビジネス、社会、生活などでのさまざまな問題を解決するにあたって、AI(人工知能)に対する期待はますます高まっています。
たとえばタクシー会社が「利益を生まない客待ちの時間を短縮したい」という目的で機械学習でタクシーの需要予測を行えば、タクシーの需要のある場所、タクシーの需要がある時間に、タクシーを配車することができます。
そのような「最適化」によって、経営者の目線では車両、燃料、運転手のムダの発生を抑え、利益を最大化することができます。運転手の目線では、生産性が向上することで労働時間を短くすることができ「ワーク・ライフ・バランス」が向上するでしょう。
「安全、安心な社会を実現したい」という場合、ディープラーニングを活用した防犯カメラ画像の分析によって災害や犯罪のリスクを低下させるシステムは、「安全・安心」につながり、社会に貢献できるテクノロジーだと、明快にわかるでしょう。
そんなAIの開発に関わっていると、社会に貢献している手ごたえを感じることができそうです。期待されて印象もよく、やりがいも感じられるはずです。
自分の市場価値を高める
AI(人工知能)の分野で実績を築いた技術者にとっては、転職市場で好待遇で迎えられる可能性は高いと言えます。技術者としての市場価値という観点で言えば、まずそこに身を置くだけでスタート台が高くなります。そして、さらに努力し、チャレンジし、実績を積み重ねていけば、市場価値をよりいっそう高めていくことができるでしょう。そこには自分を試すためのフィールドが、大きく、広く、ひろがっているのです。