金属やセラミック、プラスチックなどの材料は決して目立ちませんが、私たちの生活に欠かせません。

材料系は私たちの生活を支える材料を研究する学問であり、ものづくりに欠かせない分野のため、高い将来性があるといえます。

一方で材料系が具体的にどのような仕事や就職先につながるのか、わからない方も多いでしょう。

今回は材料系を専攻する学生に向けて、就職先の仕事内容や就職事情を解説します。

材料系を専攻していて、これから就活を迎えようとしている学生はぜひ参考にしてみてください。

▼あなたに合った企業の情報が届く▼
TECH OFFERで優良オファーを受け取る

材料系学生が就く主な仕事内容

材料系学生が就く主な仕事内容

本章では材料系を専攻した学生が、卒業後に就く主な職種と仕事内容について解説します。

  • ・研究開発
  • ・品質管理
  • ・生産技術
  • ・設計

研究開発

材料系を問わず、理系分野の方が最初に目指す職種といえば、研究開発でしょう。

材料系の研究開発には2つの方向性があります。

1つ目は新規の材料開発です。

これまでにない材料を生み出すことで、製品に新たな可能性を付加できます。

新しい材料となる場合には、特許の出願も新規の開発業務に含まれます。

2つ目は既存材料の改良です。

改良は機能性や耐久性の向上、コスト削減を目的としておこないます。

品質管理

材料系における品質管理とは文字どおり、製造した材料の品質を管理する仕事です。

素材メーカーが製造する材料は、その後に製造される製品の質を大きく左右します。

仮に材料の質が悪ければ、製品の質が大きく下がるケースも少なくありません。

品質管理は製造した材料の品質チェックはもちろん、品質の低い材料を生み出さないための過程の管理も仕事に含まれます。

素材メーカーなどにとっては、品質は企業の命運を握る存在です。

品質管理は大事な品質を管理するミッションを請け負っています。

生産技術

生産技術とは実際に材料を作る現場、生産工程に関わる仕事です。

生産にかかる時間短縮の方法の開発や生産ロボットの導入など、生産工程の改善は生産技術の仕事です。

また生産に使用されるラインの組み立ても生産技術の仕事になります。

現場仕事以外にも、生産技術にはデスクワーク系の仕事もあります。

工程の変更届や作業指示書の記載も生産技術がおこなう仕事です。

実際の生産現場に携わりつつ、デスクワークもある仕事が生産技術の仕事になります。

設計

どのような物を作る場合にも、設計は必要になります。

様々な業界で用いられる材料を正確に作る場合には、なおさら設計は必要になるでしょう。

モノづくりに欠かせない設計業務も、材料系を専攻した学生が就ける職種になります。

設計業務で重要なのは想像力です。

もちろん実際にモノが出来上がった際にわかる問題点がある一方で、設計段階で解決できる問題もあります。

想像を膨らませながら、設計をおこなえば、設計段階で問題解決も可能になります。

▼あなたに合った企業の情報が届く▼
TECH OFFERで優良オファーを受け取る

材料系専攻の学生におすすめの業界

材料系専攻の学生におすすめの業界

金属やプラスチック、ゴムなどの材料はモノづくりには欠かせません。

材料系を専攻している場合、就職先としてはモノづくりをおこなう業界と相性が良いのはいうまでもありません。

また関係性が薄くみえる業界も、材料系を専攻している学生と相性の良い業界もあります。

材料系を専攻している学生におすすめの業界は以下の6つになります。

  • ・材料系メーカー
  • ・電機
  • ・自動車
  • ・半導体
  • ・重工業
  • ・医療

材料系メーカー

材料系メーカーは材料系を専攻している学生にとって、学んだ知識や実験の経験を余すことなく生かせる業界です。

材料系メーカーとは文字どおり、製品の元となる材料を開発している業界です。

金属や炭素素材、化学素材など材料メーカーが扱う材料は多岐にわたります。

製造した材料は様々な業界の製品に用いられるため、モノづくりを下支えしている業界です。

材料系メーカーが作る材料はあくまで製品の一部なので、直接エンドユーザーの目に触れる機会はないかもしれません。

しかし材料メーカーが担う役割や責任は、想像以上に大きいといえるでしょう。

電機

家電製品などを製造するメーカーでも、材料系で学んだ知識は大いに役立ちます。

家電製品は使われる材料によって、パフォーマンスが異なるのはいうまでもありません。

例えば、同じテレビでもブラウン管と液晶ディスプレイでは、映像の品質や使用する電気量が大きく異なります。

製品にどのような材料を選ぶかは、材料系で学んだ知識が大いに生きるでしょう。

自動車

自動車といえば、様々な材料で作られた集合体といってもよい存在です。

骨組みとなる金属はもちろん、内装の樹脂やタイヤのゴム、プラスチック製のエンジンなど実に様々な材料が用いられています。

これだけ多くの材料が用いられているので、材料系を専攻している学生にとっては間口が広い業界といえるでしょう。

半導体

パソコンやスマートフォン、給湯器などに搭載されている半導体の品質は、基となる材料によって、大きく異なります。

例えば、携帯電話やパソコンに用いられる半導体の材料はシリコンではなく、ヒ化ガリウムが良いとされています。

ヒ化ガリウムの持つ高い電気抵抗値が、半導体のパフォーマンスに良い影響を与えるためです。

材料がパフォーマンスを左右する半導体にも、材料系で学んだ知識を生かせます。

重工業

製鉄や造船、エネルギーなどを扱う重工業においても、材料系の学生が活躍する場面は多いでしょう。

例えば、材料工学の中でも金属の研究をしてきた学生の場合、重工業系企業での研究開発はうってつけのポジションです。

また重工業系の企業は作り手である以上、どのように製品を作るのか、製品品質をどのように管理するかも重要となります。

生産技術や品質管理といった仕事が必要になるので、材料系を専攻している学生にとって就活のターゲットになり得る業界です。

医療

医療系というと、材料系からは程遠い学問にみえますが、材料系の知識が生きる業界です。

例えば、歯科医療の現場では新しい材料の登場で治療法が大きく変化しています。

一昔前までは虫歯を削った場所には銀を詰めるしかありませんでした。

しかし銀歯には、見た目の問題や金属アレルギーなどの問題を抱えています。

昨今ではレジンの一種である、コンポジットレジンでの治療法が一般的になってきました。

コンポジットレジンの登場により、見た目や金属アレルギーの問題がクリアされるので、より患者さんに優しい治療が実現しています。

医療現場では使わないと思われていた材料を活用することで、新しい可能性が生まれています。

まさに材料系で学んだ知識が生きる業界といえるでしょう。

▼あなたに合った企業の情報が届く▼
TECH OFFERで優良オファーを受け取る

材料系専攻の就活ポイント

材料系専攻の就活ポイント

材料系を専攻している学生が就活をする際のポイントは2つあります。

  • ・自身の専門性や研究成果をアピールする
  • ・企業選びは専門性の枠にとらわれない

各々のポイントがなぜ重要かを解説します。

自身の専門性や研究成果をアピールする

自己PRや業界・企業の志望理由は専攻内容を問わず、おさえておくべきポイントです。

自身の長所や熱意がアピールできなければ、選考に残り続けるのは難しいでしょう。

材料系を専攻している場合には、もう1つおさえておくべきポイントがあります。

自身の専門性と研究成果です。

企業は自社で活躍できる素養を多く持った学生を求めています。

専門性と研究成果は、志望する企業へポテンシャルがあることを大きくアピールできる要素です。

研究成果の他に、研究で苦労した点や克服した内容などの過程もアピールできると、さらにプラスになるでしょう。

企業選びは専門性の枠にこだわりすぎない

どのような企業へエントリーするかも、就活をうまく進めるには重要な要素です。

多くの方は自身の専門性を生かした企業へエントリーするはずです。

基本的な方針としては問題ありませんが、こだわりすぎるのだけは注意しましょう。

専門性にこだわりすぎると、エントリーする企業に限定してしまうためです。

例えば、金属系を専攻しているからといって、重工業系の研究開発職ばかりを受けていては選択肢が限られます。

また選考がうまくいかなった場合の方針転換も簡単ではありません。

就活は働く企業を見つける機会であると同時に、どのようなポジションが自身の適性なのかを見極める機会です。

専門性にこだわりすぎず、少しでも興味のある業界や専門性が生かせそうと思った業界には足を運んでみましょう。

思わぬ企業や仕事と出会う可能性は十分にあります。

材料系を含む工学専攻の学生の進路

材料系を含む工学専攻の学生の進路

最後に文部科学省が発表した令和3年度のデータを基に、材料系を含む工学を専攻した学生の実際の進路をチェックしてみましょう。

参考:令和3年度 学校基本調査

学士卒は情報処理・通信技術者と機械技術者が多い

令和3年に調査した結果によると、卒業した工学専攻の学士卒49,078人中、約22%にあたる11,130人が情報処理・通信技術者になっています。

情報処理・通信技術者とは、いわゆるエンジニア職になります。

次に多いのが、機械技術者で4,056人です。

学士卒の特徴は、いわゆる手に職のつく仕事に多く就いている傾向であることです。

修士卒は情報処理系と機械技術者、電気技術者

卒業した工学専攻の修士卒27,024人中、最も多いのが5,062人で情報処理・通信技術者です。

次に多いのが機械技術者で4,532人と、職種の傾向が学士卒と変わっていません。

一方で電気技術者が3,050人と大きく増えている点は異なっています。

博士卒は学校教育

卒業した工学専攻の博士卒2,384人中、約27%にあたる651人が学校教育系に就いています。

次に多いのが、学術・開発研究機関で292人です。

博士卒の特徴として、教育者や研究者など身につけた高い知識と豊富な研究実績を生かした職に就いている傾向にあります。

まとめ

モノづくりに欠かせない材料を研究する材料系は、魅力的な分野といえるでしょう。

一方で学んできた材料系が将来の仕事や就職先に、どのようにつながるかわからない方もいるはずです。

材料系専攻の学生は研究開発や品質管理、生産技術といった職種に就くと、これまで学んだ材料系の知識や経験が生かせます。

これから就活を始めようとしている方は、ぜひ今回紹介した内容を参考に就活に進んでいただければと思います。