こんにちは。理系就活情報局です。
薬学部の就職先というと、調剤薬局や病院で薬剤師として働くイメージを持つ方が多いのではないでしょうか。
しかし、薬学部で学んだ知識は製薬会社や公務員、化粧品・食品メーカー、大学・研究機関など薬剤師以外の進路でも活かせます。
本記事では、薬学部の主な就職先や薬剤師として働ける職場、薬剤師以外で知識を活かせる職種をわかりやすく紹介します。
「薬学部の就職先にはどのような選択肢があるのか」「薬剤師以外の道も検討できるのか」と悩んでいる方は、ぜひ進路選びの参考にしてください。
薬学部の就職率と薬剤師として就職した人の割合

薬学教育協議会「2025年3月卒業生および大学院修了者の就職動向調査結果報告書」によると、2025年3月に6年制学科を卒業した学生は全国で9,233名でした。
そのうち、就職した人は7,646名です。内訳は、給与の判明した就職者が4,724名、給与の判明しない就職者が2,922名となっています。
この調査から、2025年3月の6年制薬学部卒業生のうち、約82.8%が就職していることが分かります。
※就職しなかった人には、無給研究生・進学・非就職者・未定者なども含まれます。
また同調査によれば、保険薬局やドラッグストアの調剤部門、医薬品販売業などに進んだ人は全体の約47.3%です。病院・診療所の薬剤部に就職した人を含めると、薬剤師資格を活かしやすい職場に進んだ人は全体の約68.3%にのぼります。そのため、薬学部卒業後の主要な進路が薬局・医療機関などの薬剤師関連職であることが分かります。
薬剤師として活躍できる代表的な就職先

薬剤師として活躍できる代表的な就職先には以下の4つがあります。
| 就職先 | 主な仕事内容 | 向いている人 |
| 調剤薬局 | 調剤・服薬指導・在宅医療への対応 | 地域医療に関わりたい人 |
| 医療機関 | 薬剤管理・服薬指導・チーム医療への参加 | 医療現場で患者の治療に関わりたい人 |
| 製薬会社 | 研究・開発・MR・品質管理など | 専門知識を企業で活かしたい人 |
| ドラッグストア | 調剤・OTC医薬品の相談対応・店舗業務 | 身近な相談窓口として働きたい人 |
調剤薬局
薬学部の主要な就職先である調剤薬局は、2つのタイプに分類できます。
1つは、病院の近隣にある「門前薬局」です。特定の病院に近い位置にあることから、どのような病院が近くにあるかで取り扱う薬の種類や薬剤師の経験も異なります。
もう1つは、「面分業薬局」です。駅やショッピングモールの近くといった利便性の高い立地にあり、近隣の医療機関の処方箋を満遍なく扱います。
調剤薬局で働く薬剤師は、「地域のかかりつけ」として地域医療に貢献する存在です。
調剤薬局は、規模や利用者層もさまざまです。
そのため、調剤薬局に就職したい方は、自分に合う職場かどうかしっかり確認しましょう。
医療機関
医療機関で働く病院薬剤師は、その機関で使用する薬剤を管理し、患者に服薬指導を行うのが主要な業務です。
医療機関の規模によっては、病院薬剤師が管理する薬剤が1,000種を超えることもあります。そのため、薬剤の管理にはデータベースを使用して、在庫を正確にコントロールします。
外来の患者に渡す薬剤を調剤するほかに、院内で使われる注射薬などの薬剤を用意することも病院薬剤師の仕事です。
病院薬剤師は薬剤管理や調剤、服薬指導、院内で使用する注射薬の準備など幅広い業務を担当します。その一方で、医師や看護師などと連携しながらチーム医療に関われるため、患者の治療を支える実感を得やすい仕事です。
製薬会社
薬剤師には、民間の製薬会社で働く道もあります。
製薬会社は、薬剤師としてのスキルを最大限に発揮できる場です。
製薬会社で働く薬剤師の仕事には、主に以下のような職種があります。
- ・研究職:新薬を開発するための基礎研究に携わる
- ・開発職:新薬を開発し、世に送り出す役割を担う
- ・MR(医療情報担当者):専門知識を活かし、医療現場に薬の情報を伝えたり、フィードバックをもらったりする
また、製薬会社や医療機関は、新薬の開発にあたっては治験を専門企業にアウトソーシングしています。薬剤師としての専門性が発揮できる治験の仕事には、以下のような職種もあります。
- ・治験コーディネーター(CRC):治験がスムーズに行われるよう、医師をサポートする
- ・臨床開発モニター(CRA):治験の進行を監督する
ドラッグストア
ドラッグストアで働く薬剤師は、処方箋に基づいて医薬品を渡すほか、セルフメディケーションをサポートする身近な相談窓口としての役割を担っています。
ただし、ドラッグストアで働く薬剤師は、薬剤師の仕事だけに従事できるわけではありません。店舗にもよりますが、レジ作業や品出し、ポップの作成といった業務も担当します。
そのため、調剤の経験を積みたいのであれば、調剤薬局が併設されている店舗を選ぶのがおすすめです。
意外と知られていない就職先

薬学部が活躍できる職種には他にも以下3つが挙げられます。
- ・公務員薬剤師
- ・麻薬取締官
- ・学校薬剤師
公務員薬剤師
薬学部の進路には、公務員になるという選択肢も存在します。
国や地方自治体に所属する「公務員薬剤師」は、調薬や服薬指導を行う薬剤師とは異なるキャリア形成をしていくことになります。
通常の薬局とは異なり、業務内容は薬事行政をはじめとするデスクワークや調査が中心です。
また同じ公務員薬剤師でも、国家公務員と地方公務員では役割が異なります。
具体的な違いは以下のとおりです。
- ・国家公務員薬剤師:政策の立案や実施、診療報酬の改定や薬剤師制度を検討する
- ・地方公務員薬剤師:地方自治体に所属し、保健所・公立病院・衛生研究所などで働く
公務員は安定性という意味では心強いですが、一方で部署異動が多いデメリットもあります。
薬学部から公務員として働く道を検討する際には、仕事内容や待遇についてしっかり確認することをおすすめします。
麻薬取締官
麻薬取締官とは、違法薬物の捜査や医療用麻薬の管理を指導する国家公務員です。
捜査を行っているため、警察官に勘違いされがちですが、厚生労働省の所属になります。
麻薬取締官の具体的な仕事内容は、以下のとおりです。
- ・薬物犯罪の捜査:大麻取締法や覚醒剤取締法などに基づき、違法薬物の販売ルートの解明や容疑者の逮捕を行う
- ・医療用麻薬の管理:病院や製薬会社などに対して、医療用麻薬における管理の監督・指導を行う
- ・啓発活動:薬物乱用防止の講演や相談業務を行う
麻薬取締官になるには、国家公務員採用一般職試験に最終合格するルートのほか、薬剤師免許を受けた人が麻薬取締部に採用されるルートがあります。
そのため、薬剤師免許は麻薬取締官を目指すうえで応募要件の一つとして位置付けられています。
ただし、薬剤師免許があれば必ず採用されるわけではありません。採用には、募集要項に沿った選考を通過する必要があります。
麻薬取締官は専門性の高い国家公務員であり、募集人数も限られます。そのため、薬学部から目指せる進路の一つではあるものの、十分な情報収集と早めの準備が必要な職種です。
学校薬剤師
学校薬剤師とは、幼稚園・小学校・中学校・高校などで児童・生徒が安全に学べる環境づくりを支える薬剤師です。
学校と名がついているため、校内に常駐しているというイメージを持たれがちですが、近隣の薬局や医療機関で働く薬剤師が非常勤として関わるケースが一般的です。
学校薬剤師の主な業務は、保健室の医薬品や理科室の薬品管理だけではありません。飲料水やプールの水質、教室の空気・照明・騒音など、学校環境衛生に関する確認や助言も重要な役割です。
学校薬剤師の具体的な業務内容は以下のとおりです。
- ・医薬品の管理:保健室にある薬や理科で使用する薬品が適切に保管されているかを確認し、必要に応じて助言する
- ・学校環境衛生の確認:飲料水・プール・空気・照明・騒音など、子どもたちの学習環境に関わる項目を確認する
- ・啓発活動:薬の正しい使い方や薬物乱用防止について、学校や地域で啓発を行う
このように、学校薬剤師は「薬を扱う専門家」としてだけでなく、子どもたちの健康と学習環境を守る専門職としての役割も担っています。
薬剤師以外の職種

薬学部で学んだ知識は、薬剤師資格を直接使う職場だけでなく、製薬・化粧品・食品・研究機関など幅広い分野で活かせます。ここでは、薬剤師以外の代表的なキャリアを紹介します。
製薬メーカー:MR(医薬情報担当者)
MR(Medical Representatives)は、医師や薬剤師などに対して、自社の医薬品の品質や有効性・安全性などの情報を伝えることが主な仕事です。
情報提供だけでなく、現場で起きた副作用などの情報を収集して、会社にフィードバックする役割も担っています。
薬学部出身の場合、薬理学や病態生理学などの知識を活かし、データに基づいた提案ができるため、医療現場からの信頼を得やすいのが強みです。
営業の側面もある職種ですが、医療現場へ適切な情報を提供するという重要な使命にやりがいを感じる方は多くいます。
製薬メーカー:品質管理
製薬メーカーの品質管理とは、製造される医薬品が国や企業の定める厳格な基準を満たしているかを検査・確認する職種です。
医薬品の信頼性を支える重要な役割を担っており、患者へ安全な製品を届けることに貢献できる仕事です。
具体的な仕事内容としては、原材料の受け入れ検査や製造プロセスの監視、最終製品の成分分析などです。
薬学部で学ぶ化学分析や微生物学、分析機器の操作などがそのまま品質管理の業務に直結するため、即戦力として活躍しやすいでしょう。
決して目立つような職種ではありませんが、人の命に関わる医薬品の品質と安全性を左右する最後の砦ともいえるポジションです。
化粧品・食品メーカー:研究・開発職
薬学部の卒業生は、化粧品・食品メーカーの研究・開発職として活躍しているケースもあります。
薬学部で学ぶ栄養学や薬理学などの知識は、化粧品の有効成分の開発や食品の機能性・安全性の評価で活かせるため、活躍しやすいといえるでしょう。
「美」や「食」という身近な分野を通じて、人々の健康や生活の質を支えられる点は、化粧品・食品メーカーで働く魅力の一つです。
薬学とは異なるアプローチで専門知識を活かしたい方にとって、化粧品・食品メーカーは選択肢に入れやすい進路といえるでしょう。
製薬メーカー:研究・開発職
製薬メーカーの研究・開発職は、新薬の創出や既存医薬品の改良などを行う職種です。
具体的な仕事内容は、以下のとおりです。
- ・治療のための新たな化合物の探索
- ・治療薬の有効性や安全性の評価
- ・臨床試験の企画や管理、国への申請
- ・臨床試験のデータ収集や解析
研究・開発職は、新薬が誕生するまでの道のりを支える極めて専門性の高い職種です。
薬学部で培った薬理学や生化学、分子生物学などの専門知識がフルに活かせます。
医療の発展に貢献できるやりがいがあり、研究への興味や探究心が強い方にとっては、理想的なキャリアといえるでしょう。
大学や研究機関での研究職
薬学部の卒業生は、大学や公的研究機関などで、研究者として働く道もあります。
民間での研究職とは異なり、商業的な利益にとらわれず、純粋に学問の探求や社会貢献を目的に研究を行います。
主な業務は、病気のメカニズムの解明や新しい治療法の基盤となる基礎研究、医薬品の安全性を担保する基準づくりなどです。
また大学の場合は、研究と並行して、未来の薬剤師や研究者を育てる教育者としての役割も担います。
大学院で博士号を取得した後、同職に就くのが一般的なルートですが、研究職のポストは少なくステップアップも簡単ではありません。
一方で、研究の成果が将来的な新薬開発や医療技術の進歩につながるため、学術的な価値と社会的な意義の両方を実感できる仕事です。
薬学部の就職先を選ぶ際は、まず「薬剤師免許を直接使いたいか」「研究を続けたいか」「企業で専門知識を活かしたいか」を整理してみましょう。
進路を考える際は、関心のある分野に応じて以下のような選択肢があります。
- ・患者と直接関わりたい人:調剤薬局や医療機関
- ・医薬品の開発や普及に関わりたい人:製薬メーカー
- ・研究を深めたい人:大学院進学や研究職
自分の興味や研究内容、働き方の希望を照らし合わせながら比較すると、納得感のある進路を選びやすくなります。
これだけは知っておきたいポイント(まとめ)
この記事では、「薬学部の就職先は?薬剤師以外の知識を活かせる職種も紹介」について解説してきました。
重要なポイントをおさらいします。
・薬学部の卒業生の7割近くが薬剤師として薬局や医療機関で働いている
・薬剤師として活躍できる代表的な就職先
- ①調剤薬局
- ②医療機関
- ③製薬会社
- ④ドラッグストア
・意外と知られていない就職先
- ①公務員薬剤師
- ②麻薬取締官
- ③学校薬剤師
・薬剤師以外の職種
- ①製薬メーカー:MR(医薬情報担当者)
- ②製薬メーカー:品質管理
- ③化粧品・食品メーカー:研究・開発職
- ④製薬メーカー:研究・開発職
- ⑤大学や研究機関での研究職
薬学部は、薬剤師に進むルートが第一候補になりますが、薬剤師以外のキャリアを検討している方もなかにはいらっしゃるでしょう。
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