専門性を高めること、またその為にどんな研究室を選ぶかは、理系人材の将来のキャリア形成にとても重要です。
東京大学化学システム工学科では、化学を基盤としたシステムへのアプローチを中心にさまざまな研究を行っています。
今回は、東京大学化学システム工学科研究室でどんなことを学べるかが分かる、東京大学化学システム工学科の研究室を10選紹介します。
東京大学化学システム工学科を目指したいけれど、どの研究室にすべきか悩む方はぜひ参考にしてみてください。
東京大学化学システム工学科の研究室の特徴
東京大学化学システム工学科では、環境・エネルギー・医療などさまざまな社会課題に対し化学を基盤としたシステムアプローチを中心に研究しています。
具体的な学習分野は以下の通りです。
- ・環境
- ・エネルギー
- ・医療
- ・材料・デバイス
- ・産業応用
- ・安心・安全
それぞれの具体的な研究テーマについては、下記東京大学化学システム工学科のホームページに記載されているので、気になる方はぜひチェックしてみてください。
東京大学化学システム工学科URL:https://www.chemsys.t.u-tokyo.ac.jp/?lang=ja
また、積極的に産学連携を行っている点も特徴で、講義や実験においてより実践的な学習ができるよう企業へのインターンシップも多く開催しています。
2019年度は具体的に以下の企業でインターンシップが開催されています。
- ・日清製粉
- ・日産自動車
- ・協和発酵バイオ
- ・三菱重工
- ・住友化学
- ・Daikin usa
化学関連企業への就職を目指している方は、東京大学化学システム工学科で研究を積むことにより就職で有利となる可能性もあるでしょう。
東京大学化学システム工学科の研究室10選
ここでは東京大学化学システム工学科の研究室を以下10選紹介します。
- ・伊藤研究室
- ・大久保・伊與木研究室
- ・太田研究室
- ・酒井・西川研究室
- ・瀬川研究室
- ・高鍋研究室
- ・土橋・茂木研究室
- ・中山研究室
- ・平尾研究室
- ・山田・北田研究室
※研究室は、2022年度のもので変更になる場合があります。
伊藤研究室
伊藤研究室では医療用材料工学を専門としており、医療材料の開発、機器設計、臨床応用を目指した研究まで幅広く取り組んでいます。
具体的な研究テーマは以下の通りです。
- ・医用ハイドロゲルの開発
- ・医用微粒子・マイクロカプセルの開発
- ・医用分離膜・シート材料の開発
- ・疾患治療への応用
医療機器や医薬品に使われる材料の研究を行っており、医療系メーカーを目指す方にはおすすめの研究室と言えるでしょう。
伊藤研究室:https://www.cdbim.m.u-tokyo.ac.jp/itolab/index.html
大久保・伊與木研究室
大久保・伊與木研究室では、環境問題解決に役立つナノ空間材料の研究をメインに行っています。
具体的に研究テーマは以下の通りです。
- ・ゼオライト、メソポーラスシリカの新規合成プロセスの開拓
- ・ナノ空間配向制御技術の開発
- ・環境、エネルギー問題の解決に貢献する吸着・触媒材料の開発
- ・生物に学ぶナノ構造体、ハイブリッド材料の合成と応用
- ・ナノ空間材料を用いた生体分子の検出・分離
ナノ空間材料は自動車用の材料や燃料電池、太陽光発電などへの応用が期待されており、これらの分野に関わる企業を目指す場合はおすすめの研究室と言えるでしょう。
大久保・伊與木研究室URL:http://www.zeolite.t.u-tokyo.ac.jp/
太田研究室
太田研究室では、光機能性ナノ粒子を取り入れた新規診断技術の創製を目指し研究を行っています。
具体的な研究テーマは以下の通りです。
- ・金ナノ粒子、蛍光ナノ粒子を人工DNAで自在に配列した”ナノアッセンブリ体”による、核酸、タンパク質の高感度・網羅的検出系の開発
- ・人工DNAの”触媒反応”、”重合反応”を用いた、バイオマーカー検出の簡便・超高感度化
- ・複数種のバイオマーカーの発現データを用いた、機械学習による疾患の診断モデル、薬剤の治療効果の判定モデル(コンパニオン診断モデル)の構築
治療困難な疾患に対する早期診断や予防、創薬支援に貢献できる可能性があり、医療分野に興味のある方にはおすすめの研究室と言えるでしょう。
太田研究室URL:http://www.ohta-lab.t.u-tokyo.ac.jp/
酒井・西川研究室
酒井・西川研究室では、臓器・組織由来の細胞を生体外で構築する研究を行っています。
具体的な研究テーマは以下の通りです。
- ・酸素透過性培養プレートを用いた3次元細胞組織の再構築
- ・異種細胞間での自己組織化過程の解明とその数理モデルの構築
- ・高分子マイクロカプセル内でのiPS/ES細胞の分化制御と大量培養システムへの応用 など
主に再生医療に活用できる技術の研究開発を行っており、再生医療分野に興味がある方にはおすすめの研究室と言えるでしょう。
酒井・西川研究室URL:https://orgbiosys.t.u-tokyo.ac.jp/index.php
瀬川研究室
瀬川研究室ではカーボンニュートラルに貢献する次世代型太陽電池の研究を行っています。
具体的な研究テーマは以下の通りです。
- ・ペロブスカイト太陽電池
- ・量子ドット太陽電池
- ・多励起子生成型太陽電池
- ・広帯域色素増感太陽電池
- ・蓄電機能内蔵太陽電池
太陽電池は太陽光発電を中心に再生可能エネルギーの拡大に貢献できる技術で、この分野に興味がある方にはおすすめの研究室と言えるでしょう。
瀬川研究室URL:http://www.dsc.rcast.u-tokyo.ac.jp/
羽生研究室
羽生研究室は、ロケットや宇宙探査機に使われる宇宙推進燃料の研究を行っています。
具体的な研究テーマは以下の通りです。
- ・固体推進薬製造 (混和) 技術に関する研究
- ・宇宙推進システムに関する研究
研究室はJAXAと共同研究を進めており、将来的に宇宙関連職種を目指す方にはおすすめの研究室です。
羽生研究室URL:https://habu-lab.isas.jaxa.jp/
土橋・茂木研究室
土橋・茂木研究室は火災や爆発による災害の予防・抑制のために、燃焼現象に関する研究を行っています。
具体的な研究テーマは以下の通りです。
- ・安全工学:災害現象の科学的解明、信頼性の高い安全システムの構築
- ・燃焼学:基礎燃焼現象、熱流体力学(化学流体力学)
- ・ガス爆発に関する研究
- ・粉じん爆発に関する研究
- ・火災旋風に関する研究
消防や防災分野の研究がメインであり、こうした分野に興味のある方にはおすすめの研究室と言えるでしょう。
土橋・茂木研究室URL:http://www.dobashi.t.u-tokyo.ac.jp/
中山研究室
中山研究室は、理論化学・計算分子工学を専門としており、環境・エネルギー問題に対して分子レベルからのアプローチを行っています。
具体的な研究テーマは以下の通りです。
- ・マルチスケール的シミュレーション理論の構築
- ・不均一系触媒反応の第一原理計算
- ・反応ダイナミクス、光機能性材料
近年再生可能資源として注目されるバイオマスの研究も行っており、再生可能エネルギーの分野に興味がある方におすすめの研究室です。
中山研究室URL:http://www.qsim.t.u-tokyo.ac.jp/
平尾研究室
平尾研究室は、持続可能社会実現に向けたプロセスシステム工学とライフサイクル工学を研究しています。
具体的な研究テーマは以下の通りです。
- ・持続可能な消費と生産の支援システムの構築
- ・製品の機能に着目した製品ライフサイクル設計手法
- ・化学製品を対象とした環境影響評価手法
現在さまざまな分野でも問題となっている、大量消費によるゴミの発生など環境負荷への対策を中心に研究しています。
SDGsは近年あらゆる企業が社会課題の1つとして解決に取り組んでおり、押さえておきたい分野の1つです。
平尾研究室URL:https://www.pse.t.u-tokyo.ac.jp/Hirao/index.html
山田・北田研究室
山田・北田研究室は、環境問題解決に結びつく機能性材料について研究しています。
具体的な研究テーマは以下の通りです。
- ・電極材料開発
- ・電解液開発
- ・計算科学と実験の融合による本質へのアプローチ
- ・最先端プローブによる反応解析
主にエネルギーを貯蔵するシステムの研究を行っており、自動車や発電システム等に広く使われる技術の研究開発に取り組んでいます。
自動車メーカーなど環境負荷に考慮したエネルギーを活用する業界を目指す方にはおすすめの研究室です。
山田・北田研究室URL:http://www.yamada-lab.t.u-tokyo.ac.jp/
これだけは知っておきたいポイント(まとめ)
東京大学化学システム工学科は化学系の技術をシステム化する研究をメインに行っており、医療分野やエネルギー分野の研究が多くなっています。
今回紹介した以外にも多くの研究室がありますので、興味のある分野があれば該当する研究室を探してみても良いでしょう。
今回の内容を参考に、自分に最適な研究室を見つけましょう。