こんにちは。理系就活情報局です。
進みたい研究室が決まると、いよいよ自分の研究がスタートする時期が近づいてきます。
これまでの学生生活でも論文に触れる機会があったと思いますが、中には「論文の探し方ってこれであってる?」という方もいると思います。
「授業で論文の探し方は習ったけど、もっと効率的な方法があるなら知りたい!」
「論文の管理って何かいい方法ある?」
そんな疑問を持つ方に向けて、今回は論文の探し方の基本や押さえておきたいデータベース、おすすめの管理方法について解説します!
これから始まる研究生活を楽しみにしている方はもちろん、今一度基本をおさらいしたい方も、ぜひ参考にしてみてください!
自分の研究に必要な論文の探し方
学術雑誌から探す
論文の基本的な探し方は、主に3つに分けられます。
1つめは、学術雑誌から探す方法です。
大学図書館には、それぞれの専門分野の学術雑誌が所蔵されています。
電子化されている学術雑誌もありますが、後に紹介するデータベース検索と併せて「実際に学術雑誌を手に取ってみる」ことをおすすめします。
データ検索は求めている情報に手っ取り早くアクセスできますが、紙媒体は一覧性に優れています。まずは一冊、興味のある学術雑誌を手に取ってみると、「あの研究論文を探そう」と思って入力したキーワードではひっかからなかった論文が見つかるかもしれません。
論文の参考文献リストから探す
論文の基本的な探し方2つめは、論文の参考文献リストから探す方法です。
各論文には、必ず末尾に参考文献リストが掲載されています。
「この論文は、自分がやりたい研究の助けとなる先行研究だ」
「この論文で書かれている内容を踏まえて、自分の研究を発展させられるかもしれない」
そんな論文と出会った時は、参考文献として掲載されている論文や著書をたどっていきましょう。
1つの論文から次の論文、さらに次の論文を読み進めていくうちに、「その分野でいまどんな研究がされているか」「現在の主流な見解」など、さまざまな情報が得られます。
論文検索データベースから探す
論文の基本的な探し方3つ目は、論文検索データベースから探す方法です。
現在、論文は電子化されていることが多く、データベースから検索・閲覧が可能です。
指定のキーワードを入れれば、国内だけでなく世界中の論文を検索できます。
実際に大学図書館に行かなくともインターネット上で論文の閲覧やダウンロードができるので、好きな時に好きな場所で研究活動を続けられるというメリットがあります。
論文検索データベースには無料と有料のものがあり、検索することはできても有料契約しなければ閲覧できない論文もあります。
大学図書館が有料の論文検索データベースと契約していれば、負担なく読みたい論文を読むことができます。一度、所属する大学の図書館サイトを確認しておきましょう。
最初に押さえておきたい基本の論文検索データベース
CiNii
「CiNii(サイニィ)」は、論文・図書・雑誌などを検索できる論文検索サービスです。
CiNiiでは、読みたい論文が見つかるとともに、「その論文が何に掲載されたのか」という書誌情報や「掲載媒体がどの図書館に所蔵されているのか」が分かります。
読みたい論文がオープンアクセスであれば、リンク先からワンクリック・ワンタップで論文が閲覧可能です。
また、下記の関連サービスも併せて活用することで、研究をスムーズに進められます。
・研究活動に関わるデータやプロジェクトの情報を検索できる「CiNii Research」
・全国の大学図書館などが所蔵する本を検索できる「CiNii Books - 大学図書館の本をさがす」
・国内の博士論文が探せる「CiNii Dissertations - 日本の博士論文をさがす」
Google scholar
「Google scholar(グーグルスカラー)」は、Googleが運営する論文検索サービスです。
世界中の論文を検索できるだけでなく、無料で公開されている論文はPDFで閲覧することが可能です。
Google scalarは、検索した論文がこれまで引用されたことがあれば、「引用元」と回数が表示されるという特長があります。
引用件数が多いからといって、必ずしも「評価が高い」「信頼性のおける論文」であることにはなりませんが、論文探しの指標として参考になる情報です。
Google scalarを使った詳しい論文検索方法については、別の記事で紹介しています。
学術機関リポジトリデータベース(IRDB)
「学術機関リポジトリデータベース(IRBD)」は、国内の学術機関リポジトリに掲載されたコンテンツのメタデータの収集・提供を行っているデータベースです。
各大学に所属している研究者や学生の論文が管理・公開されている「リポジトリ」を横断して検索し、目当ての論文を閲覧できます。
学術機関リポジトリデータベースで収集されたメタデータは、CiNiiや国立国会図書館にも提供されています。複数の信頼できるデータベースの元となるデータを集めているため、信頼性も確かです。
理系がチェックしておきたい論文検索データベース
データベースで論文を探す時に注意しておきたいのは、「1つのデータベースだけですべての論文を網羅することはできない」ことです。
論文検索データベースは便利ですが、たった1つのデータベースだけに頼っていては、役立つ論文を取りこぼしてしまいます。
基本の論文検索データサービスを押さえておき、自分が専門とする分野の情報に特化したデータベースを併用するのがおすすめです。
以下では、分野ごとのデータベースを4つ紹介します。
科学技術系学会誌「J-STAGE」
「J-STAGE」とは、国立研究開発法人科学技術振興機構が運営する電子ジャーナルのオンラインプラットフォームです。
1,500以上の機関や3,000誌以上の学術雑誌・刊行物などが公開されており、分野ごとの検索も可能です。
理系分野では、基礎科学系から生命科学などのライフ系・医学と保健衛生系・工学系・学際科学系まで、多岐にわたる分野の資料が公開されています。
J-STAGEはオープンアクセス化を推奨しており、掲載されている9割以上の記事が無料で閲覧可能というメリットがあります。
無料のアカウントサービスに登録すれば、検索条件の保存やよく閲覧する資料の最新号が発行された時に通知する機能を利用できます。
電気・電子技術分野なら「IEEE Xplore」
「IEEE Xplore」は、科学技術系の出版物へアクセスできるプラットフォームです。
IEEE(Institute of Electrical and Electronics Engineers:米国電気電子工学会)が提供するこのデータベースは、電気・電子工学・コンピュータサイエンスのジャーナルをはじめとする資料の全文を閲覧することができます。
IEEE Xploreは契約によってフルテキストにアクセスできる情報が制限されるため、所属する大学図書館が契約している場合は、注意事項に目を通しておきましょう。
参考:丸善雄松堂株式会社「IEEE Xplore クイック・ガイド」
生命科学・生物医学分野なら「PubMed」
「PubMed(パブメド)」は、NCBI(国立生物科学情報センター:National Center for Biotechnology Information)が提供するデータベースです。
世界の主要な生命科学・生物医学系ジャーナルなどに掲載された文献や要約を検索でき、自分が欲しい分野の論文を見つけられます。
PubMedは英語で検索するデータベースですが、「英語だと時間がかかってしまう」とお悩みの方は、日本語で検索できるサービス「論文検索ツール PubMed CLOUD」の利用をおすすめします。
日本語で論文の検索ができるだけでなく、論文の管理や文献ライブラリの作成まで一括して行えます。こちらは会員登録をすれば無料のサービスなので、学生でも負担なく利用できるのもメリットです。
物質科学分野なら「CAS SciFinderⁿ」
「CAS SciFinderⁿ (サイファインダー・エヌ)」は、CAS (Chemical Abstracts Service)による、物質科学関連分野に特化したデータベースです。
世界中の科学技術ジャーナルや特許情報・反応情報が収録されているだけでなく、製剤・配合情報や物質の分析手法の情報も閲覧できます。
化学物質の合成ルートを自動で構築する「Retrosynthesis Planner」や、核酸・アミノ酸・タンパク質の配列情報を検索できる「Biosequences Search」など、便利な機能も利用可能です。
参考:CAS SciFinder Discovery Platform「主な機能・追加コンテンツ」
論文のオススメ管理方法
これまで、「自分の研究に必要な論文の探し方」から「理系がチェックしておきたい論文検索データベース」まで解説してきました。
たくさんの論文を読みすすめていくと、「これは研究に活かせるな」と思う論文と「興味があって読んだけど、あまり関係がなかった」と感じる論文が出てくると思います。
後になって「いったいどの論文が参考になると思ったんだっけ……」と混乱しないために、論文を管理する方法を押さえておきましょう。
最後に、「論文のオススメ管理方法」として、有料と無料からそれぞれおすすめの論文管理ツールを紹介します。
EndNote
「EndNote」は、文献管理機能と参考文献リストや引用の作成機能を備えた文献管理ソフトです。
EndNoteは有料のソフトで、学生用の価格は¥24,750です(※有効期限のない買い切り制)。
学生にとって安い価格とは言えませんが、EndNoteは効率的に論文管理ができるだけでなく、投稿先のジャーナルに合わせた参考文献リストを作成してくれる便利な機能も備えています。
また、複数の端末からアクセス可能で、PCだけでなくiPad・iPhoneでも自分のライブラリを利用可能です。
オンラインストレージの容量無制限期間は2年間ですが、大学3〜4年時に利用すると考えれば十分でしょう。※2年経過後は有料でストレージをアップグレード可能
それでも費用が気になる場合は、メールアドレスを登録すれば無料で使える「EndNote basic」がおすすめです。
こちらはソフトと比較すると、利用できる引用スタイルの数に制限があったり、参考文献リストの出力制御機能ができなかったり、PDFの管理にも容量の制限が設けられています。
(参考:「EndNote/EndNote Online 機能比較表」)
まずはEndNote basicを利用し、もう少し色んな機能を利用したいと感じたら、EndNoteの30日間の無料トライアルでお試ししてみるといいでしょう。
Mendeley
「Mendeley(メンデレー)」は、オンラインで文献管理ができる無料のツールです。
PDFから論文の情報を取り込んで一括管理でき、指定するスタイルで引用文献リストを自動生成する機能を利用できます。
また、グループを作成して、研究室や課題メンバー間で論文を共有する機能もあります。
日本語で書かれた論文への対応が十分ではないため、主に英語論文を管理したい方におすすめです。
Mendeleyには無料と機関版があり、所属する大学が契約している場合は、個人でも機関版の機能を利用することができます。
これだけは知っておきたいポイント(まとめ)
この記事では、「論文探しは研究の基本!必見のデータベースや管理方法を解説」について解説してきました。
重要なポイントをおさらいします。
・自分の研究に必要な論文の探し方
①学術雑誌から探す
②論文の参考文献リストから探す
③論文検索データベースから探す
・最初に押さえておきたい基本の論文検索データベース
①CiNii
②Google scholar
③学術機関リポジトリデータベース(IRDB)
・理系がチェックしておきたい論文検索データベース
①科学技術系学会誌「J-STAGE」
②電気・電子技術分野なら「IEEE Xplore」
③生命科学・生物医学分野なら「PubMed」
④物質科学分野なら「CAS SciFinderⁿ」
・論文のオススメ管理方法
①EndNote
②Mendeley
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