こんにちは!理系学生情報局です。

ポスドクは理系学生が選択可能な、大学院修了後のキャリアのひとつ。まだまだ研究を続けていたい場合も進路に迷わないよう、ポスドクの概要を早めに理解しておく必要があります。ポスドクになる方法はもちろん、具体的な仕事内容や覚えておきたいポイントについて、まずは把握しておきましょう。

今回は「ポスドクの概要とポスドクになる方法。仕事内容や事前に把握すべきことなど」について丁寧に解説します。選択肢をひとつひとつ明確にして、早いうちから進路を考えておくことが非常に大切です。

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ポスドクとは?

ポスドクとは?

ポスドク(Postdoc)とはポストドクターの略語で、大学院の博士後期課程を修了した後に大学や研究機関で働いている研究者を指す言葉です。まずはじめに、ポスドクとは何かについて解説します。

ポスドクは博士課程後のキャリアの第一歩

仮に大学院の博士後期課程を修了したとしても、すぐに大学教員や研究所所属の研究者になれるわけではありません。まずは大学や研究機関で働く任期付きのポスドクとして働くのが、大学院修了後の一般的なキャリア。そのため、将来を見据えてポスドクを目指す方が多いキャリアのひとつです。

ポスドクの雇用形態

ポスドクの雇用形態には、いくつかの種類があります。どの程度自由に自分の研究に打ち込めるのかは採用条件によりますが、ポスドクは主に以下の3つの雇用形態に大別できます。

①研究活動がメインの大学教員としての雇用
②その大学独自のポスドク制度による雇用
③日本学術振興会の特別研究員(PD)としての雇用

③は、日本学術振興会の支援のもと、若手研究者に主体的に選んだ研究課題に専念する機会を与えて、優れた研究者の養成をめざす制度で認められた研究員です。

特別研究員になると、月額362,000円の研究奨励金と毎年度150万円以内の研究費が支給され、3年の間不安なく研究に打ち込めます。

参考:日本学術振興会「特別研究員」

ポスドクと研究所所属研究員の違い

ポスドクと研究所所属の研究員との違いは、基本的には任期が決められた雇用か、そうでないかに違いがあります。特定研究員は「特定のプログラム、プロジェクト等に係る研究に従事すること」と定義づけされている通り、プロジェクト毎の雇用が一般的。

対して研究所に所属している場合は、長期での雇用をされる傾向にあります。このような限られた期間での雇用になることを考慮しつつ、早期に進路を決めておくことが大切です。

ポスドクになる方法

ポスドクになる方法

では、実際にポスドクになるにはどうしたらよいかを詳しく解説していきます。ポスドクになる方法はある程度決まっていますので、順序立てて進めていけば問題はないでしょう。

博士号を取得する

ポスドクになるためには、まず大学院の博士後期課程で博士号を取得しなければなりません。そうしてやっと、研究者としてのキャリアをスタートすることができます。博士号を取得するには、大学の博士課程での研究論文などで一定の評価を得ることが必須。大学から認定されると、晴れて博士号を取得することができます。

公募の求人へ応募する

博士号取得後は、公募の求人でポスドクの募集を探します。まずは最もポピュラーな「JREC-IN Portal」をチェックするとよいでしょう。JREC-IN Portalは、国立研究開発法人科学技術振興機構が運営する研究人材のキャリア支援ポータルサイトです。

研究者の採用を検討している研究機関の求人情報を見ることができるだけでなく、マッチングメールや履歴書や業績リストの作成ツールも利用可能です。実績や研究テーマなどを登録しておけば、匿名で求人機関へアピールすることもできる設計になっています。求人している機関の目に留まった場合は求職者照会メールが届き、採用試験を経てポスドクになることができます。

教員などからの紹介

公募のほかに、指導教員をはじめとする大学の先生や、所属する学会からの紹介を活用するという方法もあります。ポスドクを募集している研究機関と紹介者側が互いの事情を理解していることから、自分に合った所属先が見つかりやすくなるのもメリットのひとつ。公募と併せて、紹介の道も探りながらポスドクへの道を進んで行く方法が効率的と言えるでしょう。

ポスドクの仕事内容 

ポスドクの仕事内容 

ポスドクの仕事内容は、大学や研究機関に雇用され研究や論文執筆を行うことが中心です。
ただし、雇用先によってポスドクの仕事内容は大きく異なります。ここからはポスドクが行う、具体的な仕事内容について解説していきます。

大学・研究機関での研究

大学や研究機関の働き方としては、「大学教員としての研究」「日本学術振興会の特別研究員(PD)」「大学のポスドク制度を活用した研究員」の3つが代表的なものです。研究の内容や仕事の詳細は大学・研究機関によって異なり、研究の自由度もまったく違います。

自由度の高い研究がしたいのか、ある程度の方針のもと研究に従事したいのかによっても、進路は変わってくるでしょう。

プロジェクト内での研究や論文執筆

研究所や研究室での雇用となる場合は、プロジェクトに沿った研究が基本となります。多くの場合、研究の成果に対して研究費用が集まる仕組みになっていますので、個人の自由度が低くなることは当然のこと。プロジェクト周りの作業や論文執筆が中心の業務になるのが一般的です。

自立した研究

文部科学省が実施している「卓越研究員制度」を活用した場合は、比較的自由度の高い研究に取り組める場合もあります。卓越研究員制度とは若手研究者の研究支援を目的として、活躍の場となる産業界やキャンパスとのマッチングを図る取り組みです。

採用となれば研究環境整備費として研究費の支援もあるため、受け入れ機関にとっても大きなメリットとなります。基本的には公募での募集で倍率も高い「卓越研究員制度」ですが、働き方の方向性が合致するようであれば、挑戦する価値のあるものだと言えるでしょう。

ポスドクを志すうえで覚えておきたいこと

ポスドクを志すうえで覚えておきたいこと

最後にポスドクを志すうえで、事前に把握しておくべきことを整理しておきます。  

任期制度でキャリアアップは狭き門

不安定な任期制から抜け出そうと思っても、ポスドクがキャリアアップするためには論文を執筆して実績を積む必要があります。

刻々と迫る任期というプレッシャーを感じながら成果を出せたとしても、必ずしも自分が希望するポストが空くという保証もありません。

少し前のデータになりますが、文部科学省による2018年度の調査でも、「ポストドクター等の次年度(2019 年 4 月 1 日時点)在籍状況について、次年度にポストドクター等を継続している者は、11,101 人(71.2%)」であり、「次年度に大学教員やその他の研究開発職に職種変更した者は、2,030人(13.0%)」という結果が出ています。それほどまでに、ポスドクから常勤かつ任期のない仕事に移る可能性は、非常に狭い道なのです。

引用:文部科学省「ポストドクター等の雇用・進路に関する調査(2018年度実績)」

国の支援制度を活用する道も

文部科学省が管轄している日本学術振興会による支援の一つに、2016年から始まった「卓越研究員事業」があります。これは、前章で解説した通り博士課程を修了した人材のポストの拡充と、若手研究者が研究に従事できる環境整備を目標とした事業です。卓越研究員事業では、ポスドクと若手研究者を雇用したい企業や研究機関とのマッチングを行っているため、活用する方法も視野に入れておくと良いでしょう。

ほかにも、若手研究者の育成・支援をめざした「科学技術イノベーション創出に向けた大学フェローシップ創設事業」なども実施されています。若手研究者への支援制度については、「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ施策紹介」に詳しくまとめられていますので、気になる方は一度目を通してみてください。

公的な支援を活用すれば、短い任期の中で就職活動と研究を並行する苦しみを軽減できます。研究に専念するためにも、一度検討してみることが良策です。

参考:内閣府「研究力強化・若手研究者支援総合パッケージ施策紹介」

民間への就職も視野に入れる

民間の研究機関への就職や、専門知識を活かせる企業への就職なども視野に入れておくことがおすすめです。どうしても専門性が高くなるほど、その分野での進路は狭くなるもの。競争率が高い場所で採用に至らない場合などは、行き詰った感覚に陥りやすい傾向にあります。

しかし実は、思ってもみない企業が専門性の高さを求めているなど、視野を広げれば新たな進路が見えてくるものです。どんな企業に求められているかを知る方法としては、「TECHOFFER」のような逆オファー型サービスを活用すると良いでしょう。

研究分野や成果、希望進路や興味のある職種・業界などを登録しておけば、登録者平均1年間で約20社からオファーが届く就活サービスです。要約すれば、登録しておくだけで自身の市場価値がわかり、新たな進路の選択肢を増やせるツールだと言えます。多様な選択肢を自身に与えるためにも、早めに登録しておくことが良策です。

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これだけは知っておきたいポイント(まとめ)

本記事では「ポスドクの概要とポスドクになる方法。仕事内容や事前に把握すべきことなど」について解説しました。ポスドクの目指し方や働き方などをご理解いただけたでしょうか?大学時代に積み上げた知識や知見を存分に活かせるよう、本記事の内容をぜひご参考ください。

ポスドクとは?  

①ポスドクは博士過程後のキャリアの第一歩
②ポスドクの雇用形態
③ポスドクと研究員の違い

ポスドクになる方法

①公募の求人へ応募する
②博士号を取得
③教員などからの紹介

ポスドクの仕事内容 

①大学・研究機関での研究
②プロジェクト内での研究や論文執筆
③自立した研究

ポスドクを志すうえで覚えておきたいこと

①任期制度でキャリアアップは狭き門
②国の支援制度を活用する道も
③民間への就職も視野に入れる