社会経験のない学生にとって、面接時のマナーは気がかりなものです。ノックの回数やお辞儀の回数など書いてあることもさまざまで、就活生にとっては頭が痛いかもしれません。しかし、マナーの本質は相手に不快感を抱かせないことです。将来的に一緒に仕事をしていける、社会性と協調性が備わっていると伝えられれば十分です。

本記事では面接の入室と退室に焦点を絞り、これだけは押さえておきたいマナーの基本を紹介します。

面接マナー全体を知りたい人は、次の記事を参考にしてください。

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面接:入室の流れ

面接:入室の流れ

入室の流れに沿って、気を付けるべきマナーを整理しておきましょう。

  1. 1.ノック

名前を呼ばれたら、面接会場に向かいます。入室時には軽くノックし、「どうぞ」と言われるのを待ちます。

入室時の確認が目的のノック回数は3回であるため、間違えないようにしましょう。あまり神経質にならず、普段の自分のペースでノックします。

  1. 2.ドアの開閉

中から「どうぞ」や「お入りください」などの声があったら、「失礼いたします」と答えてからドアを開けます。ドアが右開きの場合はドアハンドル(ノブ)が左にあります。その場合は右手でドアハンドルをつかみ、ドアを開けましょう。ドアが左開きの場合は、右にあるドアハンドルを左手でつかんでドアを開けます。

ドアを開けて一礼し、入室してから面接官に完全に背を向けてしまわないように気を付けましょう。ドアの方に向き、開けた方と反対の手でドアを閉めます。後ろ手でドアを閉めないようにしてください。

  1. 3.お辞儀

ドアを閉めたら、面接官の方を向いて目を合わせて一礼します。お辞儀は上体を30度倒したところで少し止め、ゆっくりと体を起こします。それから椅子の横まで歩きます。

お辞儀は一般的に上体を「15度傾けるもの」「30度傾けるもの」「45度傾けるもの」の3種類があります。15度は「会釈」で日常の挨拶などの際に用いられます。30度は「敬礼」で初対面の挨拶で用いられるお辞儀です。45度は「最敬礼」でお詫びの場合に行います。面接では頭だけ下げるのではなく、上体を30度ほど前傾させる敬礼を行ってください。

お辞儀をする時、男性は両手をまっすぐにおろし、指を伸ばして体の脇に置きます。女性は指先を伸ばし、左手を上にして体の正面で重ねます。

この時、カバンは下へ置かずに持ったままでお辞儀をします。

  1. 4.自己紹介

椅子の横に立ったら、面接官と目を合わせて自己紹介します。「おはようございます(こんにちは)」「初めまして」など短い挨拶に続いて「『姓名』です。よろしくお願いいたします」と簡単に自己紹介します。それから再びお辞儀をします。

この時、自己紹介とお辞儀を同時にしないように気をつけてください。これは「先言後礼」といって、「言葉が先、礼が後」というマナーです。お辞儀をしながら言葉を発すると、うつむいた状態で言葉が出るため、聞き取りにくくなるためです。

  1. 5.椅子に座る

着席をうながされたら、「失礼いたします」と言って、着席します。カバンは椅子の脇に置き、自立させます。隣に空席があってもカバンをおかず、床に置くのが基本です。

面接時のカバンについては、次の記事でカバンの選び方とあわせて説明しています。

  1. 6.面接官が後から来る場合は

誰もいない部屋に通されて、後から面接官が来る場合もあります。その場合は、カバンを椅子の脇に置いて着席して面接官の入室を待ちましょう。

面接官が入室したら起立し、面接官が正面に立ったところで目を合わせます。続いて、簡単に自己紹介をしてからお辞儀をしましょう。面接官が着席し、座るようにうながされたら、自分も着席します。

  1. 7.名刺の授受

着席前に面接官から名刺を渡されたら、面接官の方に進んで両手で受け取ります。この時に気を付けたいのが、机をはさんで受け取らないことです。間に机がある場合、横に回り込んで対面で両手をまっすぐ延ばし、「頂戴いたします」と一言添えてから受け取ります。

受け取ったら席に戻り、机の左側に名刺を置きます。机がない場合は「失礼します」といって、定期入れや手帳にしまいましょう。

面接:退室の流れ

面接:退室の流れ

面接が終わっても気を抜かず、退室まで評価されていることを忘れないようにしましょう。退室の流れとマナーを説明します。

  1. 1.椅子に座ったままでお礼

面接官が「これで本日の面接を終了します」といった内容の発言をしたら、座ったままで面接のお礼を述べましょう。

面接官と目を合わせ、「本日はお忙しい中、貴重なお時間をいただき、ありがとうございました」とお礼を言い、着席したままお辞儀をした後、起立します。

  1. 2.起立・お辞儀

起立したまま椅子の横に移り、直立して面接官と目を合わせ、「ありがとうございました」と言ってからお辞儀をします。お辞儀をした後は体の向きを変え、ドアに向かって歩きましょう。

  1. 3.ドアの前で再度お辞儀

ドアの前で、改めて面接官の方を向き「失礼します」と挨拶をします。そこで一礼し、入室時と同様、面接官に背を向けないように体を斜めにし、ドアノブの位置と逆の手でドアを開けて部屋を出ます。

部屋を出たらバッグを持ち替え、反対の手でドアを音がしないように静かに閉めます。

  1. 4.見送られた場合は

面接官が先に立って部屋を出て、出口・エレベーター前まで送ってくれる場合もあります。

その際は面接官の後ろを歩き、途中で社内の人とすれ違ったら軽く会釈します。

出口やエレベーターでは今一度、面接官と目を合わせて「本日はありがとうございました」とお礼を言ってお辞儀をします。

面接マナーのポイント

面接マナーのポイント

上記で紹介したさまざまなマナーを通して、面接官が何を見て、何を評価しているかを整理しておきましょう。

見られているのは社会性と協調性

入室後、椅子のところまで行こうとして、つまずいてしまったり、退室する際のお辞儀を忘れてしまったりしても、致命的な評価につながるケースはあまりないでしょう。面接はマナーだけではなく、共に働ける就活生かどうかを評価する場です。

提出書類を床に落とすなどの失敗をしても、「失礼しました」とお詫びし、やり直しましょう。

また、マナーのひとつひとつに神経質になるよりも、「1人の社会人としてどうふるまうのが適切か?」「この動作は相手の迷惑にならないか?」「周囲に不快感を与えないか」という観点から行動する方が、混乱しないで行動できます。

面接官の視点で自分の行動をチェックしよう 

面接マナーは、就活生だけに求められるものではなく、社会人としても求められます。社会人になって困らないように、今から練習をしておきましょう。

自分の動作をスマートフォンなどで録画して、後でチェックするのも良い方法です。その時は、面接官になったつもりで自分の行動を客観的な視点で評価します。また、キャリアセンターで職員を相手に面接練習を重ねるのも良い方法です。

面接対策全体を知りたい方は、次の記事を参考にしてください。

面接の入退室でNGな3つの行動 

面接の入退室でNGな3つの行動 

これだけは「NG!」な、絶対避けたい3つの行動を説明します。

  1. 1.自分勝手な行動

具体的には、次のような行動が当てはまります。

  • 指示もないのに入室・退室する

ノックをして面接官の返答がある前にドアを開けたり、着席をうながされる前に腰かけたり、面接が終わったと自己判断して立ち上がったりする行動は避けましょう。

  • 自分から先に名刺を手渡す

職歴のない就活生は、名刺を作る必要はありません。しかし、人によってはNPO組織のリーダーなどで名刺を持っている場合があるかもしれません。自分が名刺を持っていたとしても、面接を受ける側が先に名刺を相手に差し出すのは失礼に当たります。面接官が名刺をだすのを待って、受け取ってから、自分の名刺を差し出しましょう。

  1. 2.お辞儀・挨拶をしながら別の動作をする

お辞儀をしながらドアを開けたり、自己紹介しながら椅子に腰かけたり、お辞儀や挨拶をしながら何かをしないようにしましょう。一回につきひとつの動作を意味する「一回一動作」を意識します。

  1. 3.相手の行為をさえぎる行動

面接官の言葉の途中で自分の言葉を重ねたり、立ち上がったりお辞儀をしたりするなど相手の行為をさえぎる行動はやめましょう。

面接官の言葉や行為が終了するのを待って、自分の行動に入ります。緊張すると、どうしても気持ちが焦ってしまいますが、焦りが余計に緊張を高めます。緊張している時こそ目立たないように深呼吸し、落ち着いて行動しましょう。

面接マナー以上に見られている?面接前後のマナー

面接マナー以上に見られている?面接前後のマナー

マナーが問題になるのは、面接の場面だけではありません。ここでは面接前後で押さえておきたいマナーを説明します。

待機室でのマナー

面接を受ける就活生が多い企業では、待機室が用意されています。また、就活生の到着が予定より早い場合や前の面接が長くなっている場合も、待機室に通されることがあります。

待機室では、静かに自分の番が来るのを待ちましょう。スマートフォンを取り出すのも、あまりおすすめできません。自分のエントリーシートなどを見返し、面接に向けた心の準備をしておきましょう。

社外でのマナー

面接での緊張が解け、「ホッと一安心」というのはわかりますが、社外に出ても気を抜かないようにしましょう。面接の様子を電話で話したり、企業近くのファストフード店で就活仲間と反省会を開いたりしているところを、社内の人に見られているかもしれません。

SNSでのマナー

SNSで面接の様子などを投稿するのもNGです。仮に社名などを伏せていても、投稿時間や内容から関係者が見れば「自社の面接だ」とわかります。

近年は面接の段階で、情報取り扱いに関する説明を行う企業も増えており、面接情報をSNSに投稿することのないよう事前に注意される場合もあります。

面接内容をSNSに投稿することは、絶対にやめましょう。

面接時のマナーを通じて社会性・協調性をアピールしよう

面接は、内定を勝ち取るための重要な関門です。社会人経験のない就活生にとって、面接での挨拶・お辞儀も、これまでの動作とは異なる難しい動作に感じられるかもしれません。しかし、どれも社会人の一員として求められる動作です。

面接の入室・退室マナーも練習を重ねるうちに、かならず慣れます。自己PRや志望動機を自分らしく面接官に伝えるためにも、自然に入退室できるようマナーを身につけましょう。

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