「航空業界で働きたい!」そんな夢を叶えるためには、採用担当者に響く自己PRが欠かせません。競争の激しい航空業界では、ただ経験やスキルを並べるだけではなく「この人と一緒に働きたい!」と思わせる自己PRが求められます。では、どのような強みが評価され、どんな伝え方が効果的なのでしょうか?
本記事では、航空業界で好印象を残せる自己PRのポイントや職種ごとに活かせる強みを詳しく解説します。航空業界での選考対策を万全に行い、志望企業の早期内定を獲得しましょう。
航空業界では自己PRが採用可否を分ける

航空業界の採用では自己PRが合否を左右する重要な要素で、特に協調性やチャレンジ精神、相手の立場に立って考える力などが求められます。航空業界志望の場合、自己PRでは上記の強みを具体的なエピソードとともに伝えることが大切です。
また、1文を短くして論理的な構成で伝えたいことを明確にすることが効果的です。再現性のある強みを選び、仕事での活かし方を示せば採用担当者に好印象を与えられるでしょう。
航空業界とは

航空業界は航空機を用いて人や物を国内外に輸送する産業で、主な構成企業は航空会社と空港運営会社の2つです。航空会社は旅客や貨物の輸送を担当し、メガキャリア(大規模航空事業者)とローコストキャリア(LCC)に分類されます。
メガキャリアは多様な路線網と充実したサービスを提供し、LCCは運賃の低価格化を追求している点が特徴です。一方、空港運営会社は空港施設の管理・運営を行い、航空機の離発着や旅客サービスを支えています。
航空業界の採用基準
航空業界の採用基準は職種や企業によって異なりますが、共通して求められる要素があります。まず、学歴に関しては、専門学校・短期大学・高等専門学校・4年制大学または大学院の卒業(見込み)であるケースが一般的です。学部や学科の指定はない場合が多く、多様なバックグラウンドの人材が求められています。
語学力も重要で、特に客室乗務員や国際線に関わる職種ではTOEIC600点以上、または同程度の英語力が望ましいとされています。また、身体的条件として視力や健康状態が重視され、裸眼または矯正視力で両眼とも1.0以上が求められるケースが多いです。
航空業界の今後の見通し

航空業界の今後の見通しとして、以下2つの視点から解説します。
- ・コロナ収束後は業績が回復傾向にある
- ・二酸化炭素削減に向けた取り組みが求められている
コロナ収束後は業績が回復傾向にある
新型コロナウイルスの影響を受けた航空業界は、近年、業績の回復傾向が顕著です。特に、日本航空(JAL)や全日本空輸(ANA)は2024年3月期の決算で増収増益を達成しました。JALは売上収益が1兆6,518億円、営業利益(EBIT)が1,452億円と大幅な増収増益を記録しています。
好調な業績の背景には経済活動の再開や海外からの観光客増加があり、国際線の需要も回復している点があげられます。また、2022年10月の入国制限緩和以降、外国人観光客数が急増して航空旅客数は2019年12月比で15%増加している状況です。
参考:JALグループ 2024年3月期 連結業績|JAL企業サイト
参考:アフターコロナの中で、どこまで回復したか-旅行・観光-|経済産業省
二酸化炭素削減に向けた取り組みが求められている
航空業界は、二酸化炭素(CO₂)排出削減に向けた取り組みが求められています。具体的には、国際民間航空機関(ICAO)が2050年までにCO₂排出量をネットゼロにする目標を掲げている状況です。
上記目標達成のために持続可能な航空燃料(SAF)の導入が進められており、従来のジェット燃料と比較してCO₂排出量を大幅に削減できるとされています。 しかし、SAFの供給量はまだ限られていて価格も高いため、普及には課題が残っています。また、各国ではSAFの混合義務化が進められており、ノルウェーでは2020年から0.5%、2030年までに30%の混合率を目指している状況です。
参考:2050年までに、航空業界がネットゼロを達成するためには|世界経済フォーラム
航空業界の主な職種

航空業界の主な職種として、以下の6つがあげられます。
- ・CA(キャビンアテンダント)
- ・パイロット
- ・グランドスタッフ
- ・航空整備士
- ・航空エンジニア
- ・事務職
上記の中から、業務内容に魅力を感じる職種を選びましょう。
CA(キャビンアテンダント)
キャビンアテンダントは、機内で乗客の安全と快適性を確保する役割を担います。具体的には、離着陸時の安全確認・緊急時の対応・機内サービスの提供などが主な業務です。
また、乗客の要望に応じた対応や、医療緊急事態への初期対応も求められます。高いコミュニケーション能力と柔軟な対応力が必要とされる職種です。
パイロット
パイロットは、航空機を安全かつ正確に目的地まで操縦する業務をメインに行う職種です。フライト前の計画立案・気象情報の確認・機体の点検など、飛行前後の業務もパイロットの重要な役割です。また、緊急時には迅速かつ的確な判断が求められ、高度な技術力と冷静な判断力が必要とされる職種です。
グランドスタッフ
グランドスタッフは、空港内で乗客のサポートを行う地上職員です。チェックインカウンターでの搭乗手続き・手荷物の預かり・搭乗ゲートでの案内などが、グランドスタッフの主な業務となっています。また、遅延や欠航時の対応、迷子や体調不良の乗客へのサポートも行い、多様な状況に対応できる柔軟性とサービス精神が求められる職種です。
航空整備士
航空整備士は、航空機の安全運航を支えるための点検や整備を担当します。定期的な機体の検査、部品の交換、故障時の修理などが航空整備士の主な業務です。また、最新の技術や規則に関する知識の更新も欠かせず、高い技術力と責任感が必要とされる職種です。
航空エンジニア
航空エンジニアは、航空機や関連システムの設計・開発・改良を行います。新型機の開発、既存機の性能向上、安全性の強化などが航空エンジニアの主な業務です。また、航空エンジニアは環境負荷の低減や燃費効率の向上など持続可能な航空技術の研究も行います。
事務職
事務職は、航空会社や空港運営会社のバックオフィスで各種管理業務を担当する職種です。人事・経理・総務・広報など業務内容は多岐にわたり、企業運営に必要なさまざまな部門で活躍します。
また、運航スケジュールの管理やマーケティング戦略の立案なども事務職で対応します。組織全体の円滑な運営を支えるため、調整力や事務処理能力が求められる職種です。
航空業界で求められる人物像を具体的な企業を例に解説

航空業界では、各企業が独自の理念やビジョンに基づき、求める人材像を明確にしています。以下に、全日本空輸(ANA)と日本航空(JAL)の具体的な例を挙げて解説します。
ANA
ANAグループは、「人財」を競争力の源泉かつ最大の資産と位置づけています。そのため、社員一人ひとりが主体的に学び、自己研鑽に努め、挑戦・成長し続けることを重視しています。
また、ANAグループの行動指針である「ANA's Way」をCore Value(基本的価値観)としており、共感して実践できる人材を理想の採用像として設定している状況です。具体的には、空港で培ってきたノウハウや仕事に対する誠実さ・愚直さ・堅実な姿勢・思いやりといった普遍的な価値観を持ち、グループ経営理念の達成に向けて行動できる人材が理想とされています。
JAL
JALグループでは、企業理念の実現に向けて、以下の7つの要素を備えた人材を求めています。
JALグループが人材に求める要素 | 詳細 |
感謝の心をもって、謙虚に学ぶ | 常に感謝の気持ちを持ち、世の中すべてから謙虚に学び、自己成長できる人材。 |
果敢に挑戦し、最後までやり遂げる | 失敗を恐れず新しいことに挑戦し、人任せにせず最後までやり遂げる人材。 |
プロ意識をもつ | 自分の仕事に誇りと責任を持ち、地道に専門性を極める人材。 |
採算意識をもつ | JALグループが社会から必要とされ、永続的に発展するために、強い採算意識を持つ人材。 |
多文化を尊重し、適応する | 世界の多様な文化と積極的に触れ合い、異なる文化・価値観を尊重できる人材。 |
仲間と共に働く | 仲間と共に働き、仲間のために頑張ることに誇りと喜びを感じられる人材。 |
お客さまに心を尽くす | すべてのお客さまに、感謝の気持ちを形にしてお返しできる人材。 |
上記の要素を備えた人材が、JALグループの企業価値向上と社会の進歩発展に貢献できるとされています。
航空業界で評価されやすい強み

航空業界で評価されやすい強みとして、以下の5つがあげられます。
- ・忍耐力
- ・発想力
- ・チャレンジ精神
- ・気配り
- ・協調性
上記の中から、具体的なエピソードを自信をもって説明できる強みを自己PRしましょう。
忍耐力
忍耐力は、航空業界で評価されやすい強みです。航空業界では天候不良や機材トラブルなど、予期せぬ事態が頻繁に発生します。予期せぬ事態が発生した際、冷静に状況を判断して適切な対応を取ることが求められます。
また、長時間の勤務や時差のある環境での業務も多く、体力的・精神的な忍耐力が必要です。上記の困難を乗り越えて任務を遂行する姿勢は、航空業界で高く評価されます。
発想力
発想力も航空業界で評価されやすい強みです。航空業界は、技術革新やサービスの多様化が進む分野で、新しいアイデアや柔軟な思考で顧客満足度を高める取り組みが求められます。
例えば、機内サービスの改善や業務効率化など既存の枠にとらわれない発想力が重要です。上記のような顧客満足度を高められるサービスの開発に貢献する創造的な能力は、業界の発展に寄与して高く評価されます。
チャレンジ精神
チャレンジ精神も航空業界で評価されやすい強みです。航空業界は、常に変化と競争が激しい環境で、新しい技術やサービスの導入、路線の開拓など積極的に挑戦する姿勢が求められます。
失敗を恐れず新たな課題に取り組むチャレンジ精神は、企業の成長と自己成長の原動力となります。上記のような前向きな態度は、採用時にも高く評価される要素です。
気配り
気配りも航空業界で評価されやすい強みの1つです。航空業界では顧客一人ひとりのニーズに応じたサービス提供が求められるため、小さな変化や要望に気づいて適切に対応する気配りは顧客満足度の向上につながります。
また、チーム内での円滑なコミュニケーションやサポートにも、他人に配慮できる気配りが重要です。細やかな配慮ができる人材は、職場で信頼されて高く評価されます。
協調性
協調性も航空業界で評価されやすい強みの1つです。航空業界の業務は、パイロット・客室乗務員・整備士・地上スタッフなど多くの職種が連携して成り立っています。そのため、チームワークを重視し、他者と協力して目標を達成する協調性は不可欠です。
異なるバックグラウンドを持つ人々と円滑にコミュニケーションを取り、柔軟に対応できる能力は業務の質を高めます。上記のような協調性は、採用時にも重視されるポイントです。
航空業界で自己PRを行う際の構成

航空業界で自己PRを行う際は、以下の構成で組み立てると相手に伝わりやすくなります。
- ①自分の強みを述べる(結論を述べる)
- ②強みが発揮されたエピソードを伝える
- ③具体的に業務へどう活かせるかを話す
航空業界で自己PRを行う際は、上記の手順を参考に構成を組み立てましょう。
①自分の強みを述べる(結論を述べる)
自己PRの冒頭では、自分の強みを簡潔に伝えましょう。採用担当者は多くの応募書類や面接を短時間で判断するため、最初に結論を述べることで印象に残りやすくなります。
例えば、「私の強みは忍耐力です」「私は発想力を活かして課題を解決できます」など、一文で表現するとよいでしょう。自分の強みを述べる際、強みが航空業界の仕事にどう関係するのかを簡単に触れると、さらに効果的です。
②強みが発揮されたエピソードを伝える
次に、述べた強みを裏付ける具体的なエピソードを紹介します。採用担当者は実際の経験や行動からその人の強みを判断するため、事実に基づいた話を伝えることが大切です。
例えば、「私は大学時代にアルバイトで接客を担当し、クレーム対応を通じて忍耐力を培いました」など、具体的な場面を示しましょう。強みが発揮されたエピソードは、「課題→行動→結果」の流れで整理すると、よりわかりやすくなります。
③具体的に業務へどう活かせるかを話す
最後に、述べた強みがどのように航空業界の仕事で活かせるかを説明します。単に「忍耐力があります」と伝えるだけではなく、「予期せぬトラブルにも冷静に対応し、お客様の安心につなげます」などの形で結びつけましょう。
強みがどう業務に活かせるかが明確だと、採用担当者が「実際に働く姿」をイメージしやすくなります。また、「入社後もこの強みをさらに磨き、貢献したい」と締めくくると、意欲が伝わりやすくなります。
航空業界の自己PR例文

航空業界の自己PR例文として、以下の5パターンを紹介します。
- ・忍耐力を強みにした自己PR
- ・発想力を強みにした自己PR
- ・チャレンジ精神を強みにした自己PR
- ・気配りを強みにした自己PR
- ・協調性を強みにした自己PR
上記の例文を参考に、自分のエピソードにあった自己PRを完成させましょう。
忍耐力を強みにした自己PR
忍耐力を強みにした自己PRの例文は、以下のとおりです。
私の強みは、困難な状況でも粘り強く取り組む「忍耐力」です。学生時代、私は飲食店でアルバイトをしており、繁忙期には長時間の接客を担当しました。特に、お客様のクレーム対応では一人ひとりの声に耳を傾け、冷静な対応を心がけました。時には厳しい言葉をかけられることもありましたが、最後まで誠実に向き合って多くのお客様に満足していただきました。この経験から、感情に流されず、状況を的確に判断する力を身につけました。航空業界では、長時間の勤務や予期せぬトラブル対応が求められます。私の忍耐力を活かし、冷静で的確な対応を心がけ、お客様に安心を提供したいと考えています。 |
発想力を強みにした自己PR
発想力を強みにした自己PRの例文は、以下のとおりです。
私の強みは、柔軟な発想力を活かして新しい価値を生み出すことです。大学ではイベント企画のサークルに所属し、地域活性化を目的としたイベントを運営しました。当初は集客に苦戦しましたが、「SNSでの事前体験キャンペーン」という新しい手法を考案しました。その結果、多くの人に興味を持ってもらい、来場者数を前年比150%に増やせました。この経験から、既存の方法にとらわれず、新たなアイデアを生み出す力を培いました。航空業界では、顧客満足度を高めるためのサービス向上が求められます。私の発想力を活かしてお客様に喜ばれる新しいサービスを提案し、航空会社の価値向上に貢献したいです。 |
チャレンジ精神を強みにした自己PR
私の強みは、失敗を恐れず新しいことに挑戦するチャレンジ精神です。大学時代、私は未経験ながらも英語スピーチコンテストに挑戦しました。最初は思うように話せず挫折しそうになりましたが、毎日1時間の練習を継続しました。ネイティブの友人に発音や表現を指導してもらい、半年後には大学代表として出場できるまで成長しました。この経験から、困難な状況でも挑戦し続けることの重要性を学びました。航空業界では、トラブル対応や新しい業務への適応が求められます。私のチャレンジ精神を活かし、どのような環境でも前向きに取り組み、成長し続けたいと考えています。 |
気配りを強みにした自己PR
私の強みは相手の気持ちを汲み取り、細やかな気配りができることです。大学時代、私は塾講師として小学生に勉強を教えていました。生徒によって理解度や学習スタイルが異なるため、一人ひとりの表情や反応を観察して最適な指導方法を考えました。例えば、集中力が切れやすい生徒には短時間の休憩を入れることで学習効率を向上させました。この経験から、相手の状況を把握して適切に対応する力を培いました。航空業界では、お客様の小さな変化に気づき、最適なサービスの提供が求められます。私の気配りを活かし、すべてのお客様に安心と快適さを提供できるよう努めていきます。 |
協調性を強みにした自己PR
私の強みは、周囲と協力しながら目標達成に向けて努力できる協調性です。大学時代、私はサッカー部のマネージャーとして選手のサポートに尽力しました。試合の記録や備品の管理だけでなく、選手一人ひとりの体調やメンタル面にも気を配り、最適な環境を整えました。また、監督やコーチと連携して練習メニューの改善にも貢献し、結果としてチームはリーグ戦で過去最高の成績を収められました。航空業界では、パイロット・客室乗務員・整備士・地上スタッフなど、多くの職種が連携して業務を進めます。私の協調性を活かし、チームワークを大切にしながら、安全で快適なフライトを支えていきたいです。 |
航空業界で自己PRを行うポイント

航空業界で自己PRを行うポイントとして、以下の2つがあげられます。
- ・業務に関連した強みを選択する
- ・端的な文章で伝える
上記のポイントを参考に、志望企業で好印象を残せる自己PRを行いましょう。
業務に関連した強みを選択する
航空業界の自己PRでは、志望する職種に関連した強みを選びましょう。例えば、航空整備士には細部まで正確に作業を進める慎重さや緊急時の冷静な判断力が求められます。
自己PRでは、「私は細かい作業を正確にこなすことが得意です」などの形で自分の強みを明確に伝えましょう。その上で、「学生時代、機械工学の実験で精密な作業に取り組み、誤差の少ない結果を出しました」と具体例を示します。
航空エンジニアの場合は、問題解決能力や発想力のアピールが効果的です。「私は新しいアイデアを考え、課題を解決することが得意です」と述べ、過去の経験を基に説明すると説得力が増します。
端的な文章で伝える
自己PRでは、簡潔でわかりやすい文章を心がけましょう。航空業界の採用担当者は、多くの応募者の書類や面接を短時間で判断する必要があります。そのため、長すぎる文章や回りくどい表現は避け、結論を先に述べることが効果的です。
例えば、「私の強みは忍耐力です」と最初に明確に伝えた後、具体的なエピソードを述べると簡潔でわかりやすくなります。また、一文を60文字程度の長さに抑えれば、読みやすさが向上します。面接では、「結論→エピソード→仕事への活かし方」の流れを意識し、端的に伝えることを意識しましょう。
まとめ
航空業界の採用では、自己PRが合否を左右する重要な要素です。特に、忍耐力・発想力・チャレンジ精神・気配り・協調性などの強みが評価されます。自己PRを作成する際は、業務に関連した強みを選び、端的に伝えることが重要です。
結論を先に述べて具体的なエピソードで裏付けし、業務への活かし方を明確にすれば、説得力が増します。航空業界はチームワークが不可欠なため、協調性を強調するのも効果的です。簡潔で論理的な自己PRを心がけ、航空業界で志望企業の早期内定を獲得しましょう。