はじめまして、理系就活情報局です。
今回は、「研究デザイン」について解説していきます!

「研究デザインって何?」「聞いたことあるけどよくわかっていない」という学生もいるのではないでしょうか。

そこで、この記事では、「研究デザインとは?」から「種類ごとの解説」まで、解説します!

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研究デザインとは?

研究デザインとは?

そもそも研究デザインとは何なのでしょうか。

これからの研究計画を立てる上で非常に重要なものとなります。

また、この研究デザインには様々な種類があり、自分の行いたい研究はどの種類に当てはまるのかを確認し、どういった実験方法を行えばその研究を行えるのかという指針になります。

研究デザインは研究の「型」

研究をこれから進めていくには、研究計画をまずたてなければなりません。

研究では、まずは何かしらの仮説をたて、それを実証するために必要なデータを集めます。
その後、実験で得られた結果から考察をしていく流れです。

この流れの中で「研究対象は何にするのか」「介入方法はどうするか」「評価や測定方法はどうするか」「期間はどれくらいか」などをきちんと定めておくことは研究計画の要となります。

その「研究の型」が研究デザインとなります。

どのように研究を進めていくのか「方法」を考えるわけです。

この研究デザインをおろそかにしてしまうと、研究計画がおろそかになってしまうため、研究を進めている途中で不具合が発生する場合や、得られた結果の信憑性が下がる場合があります。

限られた時間内で研究を行い、論文を書かなければならないため、この研究デザインをしっかりと考えておきましょう。

研究デザインの種類

研究の型には何種類かに分けることができます。

これから紹介する研究デザインの種類を見て、自分が行いたい研究はどの種類にあてはまるのか確認することが大切です。。

研究デザインの種類には以下の7種類が存在します。

  • ・症例研究・症例報告
  • ・シングルケーススタディ
  • ・観察的研究
  • ・調査研究
  • ・介入・実験研究
  • ・臨床疫学的研究
  • ・質的研究

という種類があります。

その詳細と共に表にまとめると以下のようになります。

デザインの種類詳細分類
症例研究・症例報告
シングルケーススタディ
観察的研究横断研究
縦断研究 後ろ向き(症例対照研究)
     前向き(コホート研究)
調査研究
介入・実験研究ランダム化比較試験
準ランダム化比較試験
クロスオーバー比較試験
臨床疫学的研究メタアナリシス
システマティックレビュー
質的研究

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研究デザインを種類ごとに解説

研究デザインを種類ごとに解説

研究デザインとは何なのか、また研究デザインの種類を紹介しました。

そこで、ここでは先程紹介したデザインを、例を交えながら詳しく解説していきます!

症例報告・症例研究

これは1例の症例に対して研究するものです。

例えば、ある患者に対し治療Aと同時に新しい治療Bを行い、効果があったとします。治療AとBを同時に行った場合の効果はこの1例しかありません。このように、1例単位でのの治療効果について検証する研究を症例報告、症例研究と言います。

症例の細かい情報とともに、論文などの文献から症例を解説し、治療にどれだけ有効性があるかを示していきます。

エビデンスレベルが低いですが、珍しい症例を報告できた場合、今後の研究にも役立ちます。

シングルケーススタディ

こちらは1つの症例を連続的に分析していくものです。

例えば、新しい治療法Aがあり、視力をあげるのに有効な可能性が考えられたとします。

治療をまだ施していないときの視力と治療後の視力を比べてみることで、治療法Aの効果を検証しようというのがシングルケーススタディです。

シングルケーススタディはAB型デザインとABA型デザインの2種類、実験デザインがあります。
まずAB型デザインについてです。
新しい治療法を行わない時期をA、行う時期をBとにわけ、AのときとBのときの結果を比較します。
このデメリットとしては、Bの期間で効果が見られたとしても、自然治癒の可能性を否定できないという点です。

そこで、このデメリットを補うのがABA型デザインです。
名前の通り、A→B→Aという順番で期間を設けます。

もしもBで新しい治療法に効果がみられた場合でも、その後の期間Aで効果が消えてしまった場合、自然治癒の可能性を否定できます。

観察的研究

観察的研究は経緯や経過を観察する研究であり、横断研究と縦断研究の2つにわけられます。

まず横断研究とはある一時点でデータを集めて調査をする研究になります。
アンケート調査、世論調査といったものもこれに該当します。

比較的短い時間で行えるため、この型で研究をしているものも多いです。
次に縦断研究について、これは時間要因により分類して研究を行います。
その中にも後ろ向きと前向きがあります。
後ろ向きとは過去の事象を調査する研究をさし、前向きというのは研究を開始してから新たに起こった事象を調査する研究のことです。
後ろ向きである症例対照研究の例を紹介します。
例えばある集団は肺がんを患っているとします。この人達にたばこの喫煙歴はあったのかを調べるのが後ろ向きです。

前向きのコホート研究は、喫煙ありの集団と喫煙無しの集団を調査し、個の人達は肺がんになったかどうかを調べる研究となります。

後ろ向きは原因などの因果関係を、前向きは喫煙ががんをどれだけ発生させているのかという因果関係を調べる研究です。。

調査研究

これは面接や郵便、電話などからアンケートの結果を得て、その集めたデータを分析する研究となります。

たくさんのデータを集めやすいですが、回答が人の感覚によってしまい、アンケート対象者によりデータが左右されてしまうため、質が下がるといわれています。

介入・実験研究

これは実験の被験者に介入を行い、介入結果からその前後を比較することで検証する実験です。

介入・実験研究はさらにランダム化比較試験、準ランダム化比較試験、クロスオーバー比較試験へと分けられます。

まずランダム化比較試験とは、研究の対象者をランダムに2つのグループに分け、介入するグループと介入しないグループに分けて比較するものです。無作為にグループを分けるため、例えば医者も患者もグループを選べません。

これに対し準ランダム化比較試験とは、カルテ番号などによってグループを分け、比較試験を行うものです。クロスオーバー比較試験とは一度介入をしたあと中止し、介入のありなしを入れ替え、もう一度経過をみて比較する研究方法です。

クロスオーバー比較試験では、グループ1とグループ2の2つに分け、介入群をAとし、介入群をBとすると以下の通りとなります。

つまり、
グループ1:A→休止→B
グループ2:B→休止→A

このように実験を行うこととなります。

臨床疫学的研究

こちらはメタアナリシス、システマティックレビューの2つに分けられます。

まずメタアナリシスとは、いくつかの論文の結果を統合する統計学的手法です。この際、単純に臨床研究データを平均して統合するのではなく、データのばらつき度合いで重みづけをして統合します。

システマティックレビューは研究の疑問を解決するため、関連している研究を特定、選択、批判的吟味、採用研究からデータを収集し解析する手法です。

このデータ収集では、研究の疑問を解決できそうな論文を収集するのも手です。

その際、疑問解決に関連している論文を何でも集めれば良いのではなく、ある一定の基準を設け、それにしたがって収集・要約していかなければなりません。

システマティックレビューで集めたデータや論文の結果を統計学的に統合するのがメタアナリシスとなります。
これらはそもそもの手法がとても複雑で、データや論文の収集も大変です。その上で根拠がしっかりしているかもみられます。

そのためレベルの高い研究方法といえ、エビデンスレベルは最も高いとされている研究の型です。

質的研究

これまで紹介してきたものは、介入などを行い、その結果から効果を測定する量的研究であるのに対し、個別に観察された症例などを記述、抽出して分析を行う研究を質的研究といいます。
つまり、収集したデータの本質を見出すことが質的研究の目的となるわけです。

これまでの量的研究では研究結果に重きを置いており、良い結果を得られるよう研究計画を立てます。それに対し質的研究では結果を得るまでのプロセス、結果に影響を与えている原因を探求することを重要視しています。

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まとめ

この記事では「【理系院生向け】研究デザインとは?からデザインの種類」について解説してきました。

重要なポイントをおさらいします。

・研究デザインとは研究の「型」を決める重要な部分

・研究計画の要となる

・自分のやりたい研究がどのデザインの種類にあてはまるのかを確認しておく