私たちが普段手にする製品には、化学反応によって生み出されているものが多くあります。

化学反応は多くの企業が活用している技術です。

化学系を専攻している学生は化学の基礎知識を有しているため、就活の際には有利に働くでしょう。

一方でターゲットの企業も多く、どのように就活をすればよいのか迷ってしまう方も多いはず。

化学メーカーだけをとっても、総合化学メーカーや誘導品メーカーなど様々な選択肢があります。

今回は化学専攻の学生に向けて、就活のポイントやおすすめ業界を解説します。

就活を始めようと考えている化学専攻の学生はぜひ参考にしてみてください。

化学系の学生が持つ強み

化学系の学生が持つ強み

化学を専攻している学生には以下3つの強みがあります。

  • ・高い専門性
  • ・粘り強さ
  • ・論理的思考力

高い専門性

他の理系学生と同じように化学専攻の学生も年次を重ねるにつれて、化学の高い専門性を身につけます。

特に研究室に入室後は、物理化学や有機化学、応用化学など各々分野にわかれて、専門知識や研究経験を積んでいきます。

研究職などの専門職に就く場合、身につけた専門知識と研究実績が役立つのはいうまでもないでしょう。

また昨今は新卒の学生にも、高いレベルを期待している企業は多くあります。

高い専門性を身につけている化学専攻の学生は、企業のニーズにピッタリ合うといえるでしょう。

粘り強さ

化学を専攻している学生の特徴として忘れていけないのは、粘り強さです。

化学の実験では望んだ結果が即座に出るわけではなく、根気強く取り組む必要があります。

化学専攻の学生は学生時代を通して、中々結果の出ない実験に取り組み続けるため、自然と粘り強さが身につきます。

他にも化学を専攻している学生の特徴としてあげられるのがタフさです。

実験以外にも、化学を専攻している学生は課題や論文を読み解くのに必要な英語の勉強など、多くのタスクをこなす生活を送ります。

忙しい学生生活を送る過程で、化学専攻の学生はタフさが身につきます。

論理的思考力

高い論理的思考力は化学の専攻を通じて、身につく力の1つです。

実験を繰り返しながら、理論を検証していく過程では、常に物事をロジカルに捉える力が必要になります。

日常から論理的に物事を考える訓練が繰り返されているため、化学専攻の学生には自然と論理的思考力が身についているといえます。

また実験の必要性を説明する場合や研究方針を相談する際には、言語化の能力が必要不可欠です。

頭の中を整理して言語化する能力も、化学専攻の学生が磨かれている能力の1つといえます。

化学系の学生が就活を進めるポイント

化学系の学生が就活を進めるポイント

化学を専攻している学生が就活を進める際には、以下3つのポイントをおさえるようにしましょう。

  • 専門性を生かせる職種を探す
  • 自身の専門性にこだわりすぎない
  • 研究開発や業績をチェック

各々のポイントがなぜ重要となるのかを解説します。

専門性を活かせる職種で探す

化学を専攻している学生の就活ポイントその1は、専門性を生かせる職種を探すことです。

化学専攻の学生が身につけている高い専門性は、仕事をする上で大きな武器となります。

せっかく持っている大きな武器を生かさない手はありません。

例えば、化学の研究で多くの経験を有しているのであれば、研究職が専門性を生かせる職種になります。

高い専門性は大きなアピールポイントとなるため、前面に押し出していきましょう。

企業としては新卒であろうと高い専門性を有した人材を欲しており、昨今では企業からのオファーがある就活サービスも登場しています。

専門性をアピールすれば、思わぬ企業からのアプローチもあるかもしれません。

自身の専攻にこだわりすぎない

化学を専攻している学生の就活ポイントその2は、自身の専攻にこだわりすぎないことです。

当たり前の話ですが、就活時にエントリーする企業の多くは、自身の専攻に合う企業にするケースがほとんどです。

化学を専攻していれば、化学メーカーにエントリーするでしょう。

就活のファーストステップとしては悪くはありませんが、自身の専攻にこだわり過ぎると

選択肢を狭めてしまうリスクがあります。

自身の専攻に関係のない分野や業界でも、専門性を生かせるポジションはあります。

自身の専攻を軸に企業や職種選びをすることも重要ですが、積極的に異なる分野の企業を覗きにいきましょう。

研究開発費や業績をチェック

化学を専攻している学生の就活ポイントその3は、研究開発費や業績のチェックです。

研究開発職での就職を検討しているのであれば、対象となる企業の研究開発費や業績はしっかりチェックしましょう。

一般的には研究開発費が潤沢であるほど、研究環境が良くなる傾向にあるからです。

研究開発職として働くのであれば、より良い環境で働くに越したことはありません。

研究開発費は、企業のIR情報や「就職四季報」などの本から調べられます。

研究開発費をチェックする際の注意点は、企業規模で変わるため単純比較はできないことです。

大企業の方が、中小企業より研究開発費が大きくなります。

単純比較はできないため、売上高に対する研究開発費の割合で比較をしましょう。

売上高に対する割合が大きい方が、研究開発により力を注いでいることになります。

化学系の学生が持つ強みやスキルが生かせる職種

化学系の学生が持つ強みやスキルが生かせる職種

ジョブ型の雇用が注目されつつある中で、企業選びと並び重要なのが職種選びです。

化学専攻の学生が持つ強みやスキルを生かせる職種は、以下の4つとなります。

  • ・研究開発職
  • ・生産製造技術開発
  • ・品質管理
  • ・技術営業/技術サポート

研究開発職

研究開発職は身につけた専門性を余すことなく生かせる職種になります。

化学を専攻している多くの学生が将来像を描きやすいのも、研究開発職でしょう。

研究開発職は主に基礎研究応用研究の2つにわかれます。

前者の基礎研究は新たな知を発見する研究であり、これまで判明していない現象や法則を明らかにする研究です。

判明していない現象や法則に向き合う研究のため、結果が出るまでに多くの時間を要します。

後者の応用研究は、基礎研究などで判明した現象や法則を利用する研究です。

リアルで発生する問題に取り組むのが応用研究なので、より実用的な研究といえるでしょう。

生産・製造技術開発

化学メーカーや製薬企業はビジネスである以上、効率的に製品や材料を生み出す技術が必要になります。

生産量が少なく、またコストがかかりすぎれば、ビジネスにはならないためです。

生産・製造技術開発は、効率的に製品や材料を生産・製造するのに貢献するポジションです。

生産技術開発とは製品を生み出す現場、例えば生産ラインの設計や管理をおこなうポジションになります。

製造技術開発は文字どおり、製品を製造する技術を開発・改良するポジションです。

製造の効率化や品質の向上には製造技術の進歩は欠かせません。

化学系を専攻した方の職種というと、研究開発職が真っ先に浮かんでくるでしょう。

しかし高い生産技術や製造技術が、化学メーカーや製薬企業の屋台骨を支えているといっても過言ではありません。

生産技術と製造技術、どちらも効率的に製品を生み出すためには、欠かせない業務です。

品質管理

製造した製品のすべてが、品質の基準をクリアした製品とは限りません。

品質の低い材料の活用や機械の損耗により、出荷に値しない製品がある程度の割合で現れます。

製造した製品の品質に問題が発生していないかチェックするのが、品質管理です。

いわば、品質管理は製品の品質を守る最後の門番といってもよいポジションです。

新たにモノを生み出すより、今ある製品をもっとブラッシュアップしたい方は品質管理が向いているといえるでしょう。

技術営業・技術サポート

営業や顧客サポートというと、化学を専攻している学生が就くポジションからは遠いように思えます。

しかし化学を専攻している学生の持つ高い知識や専門的なスキルを生かせば、一般的な営業マンでは生み出せない付加価値を生み出せます。

例えば、最新の理論や昨今のトレンドにも理解があるため、一歩先をいく提案が可能です。

一般的な営業マンの場合、化学に対する専門的な知識はそこまでありません。

現在の技術や理論についていくのがやっとというケースも多いでしょう。

豊富な知識を持っている化学を専攻している学生だからこそ、より一歩踏み込んだ提案のできる技術営業や技術サポートとなれます。

また化学を専攻している学生は、ロジカルに話す訓練を多く積んでいるため、筋の通った説明にも慣れています。

化学系の学生におすすめの業界

化学系の学生におすすめの業界

化学を専攻している学生におすすめの業界は、以下の3つとなります。

  • ・化学業界
  • ・自動車業界
  • ・電気業界

化学業界

化学系を専攻している学生であれば、化学業界をファーストチョイスにする方は多いでしょう。

これまで学んできたことをダイレクトに生かせる点において、他の業界を上回っています。

化学業界は製品の完成度合いを基準に川上と川中、川下の3種類にわけられます。

川上の企業は最終製品から最も遠く、製品の原料などを製造している企業です。

原油から製品の原材料を製造しており、川中や川下の企業へ販売しています。

川中の企業は最終製品に必要な部品や素材を製造している企業です。

川上で製造された原材料をもとに、プラスチックや合成繊維などを製造しています。

川下の企業は私たちが目にする最終製品を製造している企業です。

私たちがよく知る化学業界の企業の多くは川下の企業になります。

自動車業界

近年、歩行者の自動検知や自動ブレーキなど自動車といえば、最新のテクノロジーと紐づいているイメージがあります。

一方でガソリンの力を生かしている点やプラスチックの部品で構成されている点を考慮すると、化学とも大いに関係していることがわかります。

一見すると関係性の薄い業界に思えますが、自動車業界と化学は相性の良い業界といえるでしょう。

また自動車業界は規模の大きい企業が多いのも特徴です。

より安定した環境で研究をおこないたい方は、自動車業界も検討してみるとよいでしょう。

電機業界

自動車業界と同様に関連性の薄い業界にみえますが、化学専攻の学生が活躍できる機会が多い業界です。

理由としては、環境を重視している企業が増えているためです。

これまではより効率的な発電や安定した動作をする点に注力していましたが、昨今の流れを受けて電機業界も取り組み方を変えています。

より環境に優しい製品となるように、環境負荷の低い素材に変更するなど、化学を活用した様々なアプローチをおこなっています。

まとめ

化学の知識は様々な分野に応用ができるため、化学専攻の学生は就活に有利とされています。

一方で受け皿の多さから、どのように就活をすればよいのかを疑問を感じる方も少なくないはずです。

化学専攻の学生が就活を進める場合には広い視野を持ちつつ、自身の専門性を軸に就活を進めましょう。