私たちが普段手にする製品には、化学反応によって生み出されているものが多くあります。

化学反応は多くの企業が活用している技術です。

化学系を専攻している学生は化学の基礎知識を有しているため、就活の際には有利に働くでしょう。

一方でターゲットの企業も多く、どのように就活をすればよいのか迷ってしまう方も多いはず。

化学メーカーだけをとっても、総合化学メーカーや誘導品メーカーなど様々な選択肢があります。

今回は化学専攻の学生に向けて、就活のポイントやおすすめ業界を解説します。

就活を始めようと考えている化学専攻の学生はぜひ参考にしてみてください。

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化学系の学生におすすめの業界ランキング

化学系の学生におすすめの業界ランキング

化学を専攻している学生におすすめの業界は、以下の3つとなります。

  • ・化学業界
  • ・自動車業界
  • ・電気業界

化学業界

化学系を専攻している学生であれば、化学業界をファーストチョイスにする方は多いでしょう。

これまで学んできたことをダイレクトに生かせる点において、他の業界を上回っています。

化学業界は製品の完成度合いを基準に川上と川中、川下の3種類にわけられます。

川上の企業は最終製品から最も遠く、製品の原料などを製造している企業です。

原油から製品の原材料を製造しており、川中や川下の企業へ販売しています。

川中の企業は最終製品に必要な部品や素材を製造している企業です。

川上で製造された原材料をもとに、プラスチックや合成繊維などを製造しています。

川下の企業は私たちが目にする最終製品を製造している企業です。

私たちがよく知る化学業界の企業の多くは川下の企業になります。

自動車業界

近年、歩行者の自動検知や自動ブレーキなど自動車といえば、最新のテクノロジーと紐づいているイメージがあります。

一方でガソリンの力を生かしている点やプラスチックの部品で構成されている点を考慮すると、化学とも大いに関係していることがわかります。

一見すると関係性の薄い業界に思えますが、自動車業界と化学は相性の良い業界といえるでしょう。

また自動車業界は規模の大きい企業が多いのも特徴です。

より安定した環境で研究をおこないたい方は、自動車業界も検討してみるとよいでしょう。

参考:昔からの夢だった自動車関係の企業から早期内定を獲得|TECH OFFER

電機業界

自動車業界と同様に関連性の薄い業界にみえますが、化学専攻の学生が活躍できる機会が多い業界です。

これまではより効率的な発電や安定した動作をする点に注力していましたが、昨今の流れを受けて電機業界も取り組み方を変えています。

より環境に優しい製品となるように、環境負荷の低い素材に変更するなど、化学を活用した様々なアプローチをおこなっています。

日本国内の化学メーカー/ホワイト企業ランキング

日本国内の化学メーカー/ホワイト企業ランキング

ではここからは、キャリアコネクトが公表する「化学業界の企業 ホワイト度ランキング」を参考に、日本国内の化学メーカーにおけるホワイト企業ランキングをご紹介します。

参考:「化学業界の企業ホワイト度ランキング」

1位:旭化成株式会社

旭化成株式会社は、化学を始めとして、繊維・住宅・建材・エレクトロニクス・医薬品など幅広い事業を行う国内大手企業の一社です。大手ならではの福利厚生の充実度と、明確なキャリア評価基準などさまざまな点において、ホワイト企業として評価を受けています。

2位:DIC株式会社

DIC株式会社は、世界トップクラスを誇る印刷インキや有機顔料、合成樹脂などの化学製品の製造・販売を手掛ける企業です。経済産業省と日本健康会議が共同で実施する「健康経営優良法人2020 大規模法人部門(ホワイト500)」に初認定から3回連続で認定されており、近年では毎年ホワイト企業に名を連ねています。

参考:健康経営優良法人認定制度|経済産業省

3位:三菱ケミカル株式会社

三菱ケミカル株式会社は、乳化剤・ビタミンE・発酵製品・増粘多糖類・天然色素などの製品や食品、医薬品や化粧品まで幅広い事業を展開している企業です。DIC株式会社と同様「健康経営優良法人2024(大規模法人部門)ホワイト500」に認定されているほか、福利厚生やワークライフバランスの充実が高評価を得ています。

参考:健康経営優良法人認定制度|経済産業省

化学メーカー大手7社を一覧で紹介

化学メーカーの就職偏差値ランキング

ではここからは、化学メーカー大手7社を一覧で紹介します。

1位信越化学

信越化学は、誘導品を扱う国内メーカーです。国内化学メーカーにおいても特に材料に特化しており、自動車やスマホなどに使用される半導体ウエハーでは、非常に大きなシェアを占めています。信越化学の自己資本率は約80%。売り上げの約8割程度を海外との取引から得ている、この先も安定した経営が期待できる企業です。

参考:統合報告書|信越化学工業株式会社

2位三菱ケミカル

三菱ケミカルは、材料から製品の製造までを一貫して行う、総合化学メーカーです。2017年に三菱ケミカル・三菱樹脂・三菱レイヨンの3社が合併してできた組織で、酸素・窒素・アルゴンなどの産業ガスの分野では国内で40%ほどのシェアを占めています。海外との取引も多く行っており、安定した経営を継続している企業です。

参考:分野別事業概況|三菱ケミカル株式会社

3位住友化学

住友化学は、医薬品や農薬を中心として、電池材料・アルミニウム・液晶ディスプレイなど材料や電子部品の製造を行う企業です。製品の質は海外でも認められており、海外売上は全体の60%を超えており、農薬部門では国内最大の企業です。

参考:決算説明資料 2020年度決算概況|住友化学株式会社

4位東レ

CMなどでもお馴染みの東レは、合成樹脂や合成繊維などの化学製品を扱う会社です。繊維・プラスチック・ケミカル事業のほか、近年では電子材料にも注力しています。

5位旭化成

旭化成は住宅の材料や医薬品、医療機器、ゴム、電子材料などを取り扱う大手の総合化学メーカーです。リチウムイオン電池材料のセパレータにおいて世界上位のシェアとなっており、知名度の高さもある企業です。

6位富士フイルム

富士フイルムは、化粧品・半導体材料・パネルディスプレイ材料・医療機器など、幅広い事業に取り組む企業です。もともとの主事業であったカメラフィルムで得た技術を応用し、現在ではさまざまな事業を展開しています。

7位三井化学

三井化学は、自動車に使われる資材・リチウムイオン電池用の電解液・食品用高機能フィルムなどを取り扱う企業です。特に機能性材料に力を入れているほか、さまざまな事業展開をしています。海外売り上げも全体の45%を占めるなど、海外にも認められている国内企業の一社です。

参考:数字で見る 三井化学の基礎|三井化学株式会社

化学系の学生が持つ強み

化学系の学生が持つ強み

化学を専攻している学生には以下3つの強みがあります。

  • ・高い専門性
  • ・粘り強さ
  • ・論理的思考力

高い専門性

他の理系学生と同じように化学専攻の学生も年次を重ねるにつれて、化学の高い専門性を身につけます。

特に研究室に入室後は、物理化学や有機化学、応用化学など各々分野にわかれて、専門知識や研究経験を積んでいきます。

研究職などの専門職に就く場合、身につけた専門知識と研究実績が役立つのはいうまでもないでしょう。

また昨今は新卒の学生にも、高いレベルを期待している企業は多くあります。

高い専門性を身につけている化学専攻の学生は、企業のニーズにピッタリ合うといえるでしょう。

粘り強さ

化学を専攻している学生の特徴として忘れていけないのは、粘り強さです。

化学の実験では望んだ結果が即座に出るわけではなく、根気強く取り組む必要があります。

化学専攻の学生は学生時代を通して、中々結果の出ない実験に取り組み続けるため、自然と粘り強さが身につきます。

他にも化学を専攻している学生の特徴としてあげられるのがタフさです。

実験以外にも、化学を専攻している学生は課題や論文を読み解くのに必要な英語の勉強など、多くのタスクをこなす生活を送ります。

忙しい学生生活を送る過程で、化学専攻の学生はタフさが身につきます。

論理的思考力

高い論理的思考力は化学の専攻を通じて、身につく力の1つです。

実験を繰り返しながら、理論を検証していく過程では、常に物事をロジカルに捉える力が必要になります。

日常から論理的に物事を考える訓練が繰り返されているため、化学専攻の学生には自然と論理的思考力が身についているといえます。

また実験の必要性を説明する場合や研究方針を相談する際には、言語化の能力が必要不可欠です。

頭の中を整理して言語化する能力も、化学専攻の学生が磨かれている能力の1つといえます。

化学系の就職先は高年収の傾向がある

化学系の就職先は年収が高い傾向があります。就職四季報が調査した化学系企業の年収ランキングをみても、ランクインしているすべての企業の平均年収が800万円以上です。専門性の高い業務を行う必要も多い化学系の企業は、他の業界に比べても高い年収が期待できるでしょう。

参考:業界別年収ランキング【化学メーカー】 |シキホー!Mine

化学系の学生が就活を進めるポイント

化学系の学生が就活を進めるポイント

化学を専攻している学生が就活を進める際には、以下3つのポイントをおさえるようにしましょう。

  • ・専門性を生かせる職種を探す
  • ・自身の専門性にこだわりすぎない
  • ・研究開発や業績をチェック

各々のポイントがなぜ重要となるのかを解説します。

専門性を活かせる職種で探す

化学を専攻している学生の就活ポイントその1は、専門性を生かせる職種を探すことです。

化学専攻の学生が身につけている高い専門性は、仕事をする上で大きな武器となります。

せっかく持っている大きな武器を生かさない手はありません。

例えば、化学の研究で多くの経験を有しているのであれば、研究職が専門性を生かせる職種になります。

高い専門性は大きなアピールポイントとなるため、前面に押し出していきましょう。

企業としては新卒であろうと高い専門性を有した人材を欲しており、昨今では企業からのオファーがある就活サービスも登場しています。

専門性をアピールすれば、思わぬ企業からのアプローチもあるかもしれません。

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自身の専攻にこだわりすぎない

化学を専攻している学生の就活ポイントその2は、自身の専攻にこだわりすぎないことです。

当たり前の話ですが、就活時にエントリーする企業の多くは、自身の専攻に合う企業にするケースがほとんどです。

化学を専攻していれば、化学メーカーにエントリーするでしょう。

就活のファーストステップとしては悪くはありませんが、自身の専攻にこだわり過ぎると

選択肢を狭めてしまうリスクがあります。

自身の専攻に関係のない分野や業界でも、専門性を生かせるポジションはあります。

自身の専攻を軸に企業や職種選びをすることも重要ですが、積極的に異なる分野の企業を覗きにいきましょう。

研究開発費や業績をチェック

化学を専攻している学生の就活ポイントその3は、研究開発費や業績のチェックです。

研究開発職での就職を検討しているのであれば、対象となる企業の研究開発費や業績はしっかりチェックしましょう。

一般的には研究開発費が潤沢であるほど、研究環境が良くなる傾向にあるからです。

研究開発職として働くのであれば、より良い環境で働くに越したことはありません。

研究開発費は、企業のIR情報や「就職四季報」などの本から調べられます。

研究開発費をチェックする際の注意点は、企業規模で変わるため単純比較はできないことです。

大企業の方が、中小企業より研究開発費が大きくなります。

単純比較はできないため、売上高に対する研究開発費の割合で比較をしましょう。

売上高に対する割合が大きい方が、研究開発により力を注いでいることになります。

化学系は就職が厳しいと思い込み過ぎない

化学系は就職が厳しいという声もありますが、周囲の意見に左右されて就職が厳しいと思い込み過ぎないことが大切です。就職が厳しい厳しいと思うほど、自身に課すハードルが高くなってしまい、本面接などで本来のパフォーマンスをだせなくなってしまいます。就活の進め方次第では厳しい訳ではありませんので、思い込みを外して、自分らしく就活を進めることが非常に大切です。

化学系の学生が持つ強みやスキルが生かせる職種

化学系の学生が持つ強みやスキルが生かせる職種

ジョブ型の雇用が注目されつつある中で、企業選びと並び重要なのが職種選びです。

化学専攻の学生が持つ強みやスキルを生かせる職種は、以下の4つとなります。

  • ・研究開発職
  • ・生産製造技術開発
  • ・品質管理
  • ・技術営業/技術サポート

研究開発職

研究開発職は身につけた専門性を余すことなく生かせる職種になります。

化学を専攻している多くの学生が将来像を描きやすいのも、研究開発職でしょう。

研究開発職は主に基礎研究応用研究の2つにわかれます。

前者の基礎研究は新たな知を発見する研究であり、これまで判明していない現象や法則を明らかにする研究です。

判明していない現象や法則に向き合う研究のため、結果が出るまでに多くの時間を要します。

後者の応用研究は、基礎研究などで判明した現象や法則を利用する研究です。

リアルで発生する問題に取り組むのが応用研究なので、より実用的な研究といえるでしょう。

生産・製造技術開発

化学メーカーや製薬企業はビジネスである以上、効率的に製品や材料を生み出す技術が必要になります。

生産量が少なく、またコストがかかりすぎれば、ビジネスにはならないためです。

生産・製造技術開発は、効率的に製品や材料を生産・製造するのに貢献するポジションです。

生産技術開発とは製品を生み出す現場、例えば生産ラインの設計や管理をおこなうポジションになります。

製造技術開発は文字どおり、製品を製造する技術を開発・改良するポジションです。

製造の効率化や品質の向上には製造技術の進歩は欠かせません。

化学系を専攻した方の職種というと、研究開発職が真っ先に浮かんでくるでしょう。

しかし高い生産技術や製造技術が、化学メーカーや製薬企業の屋台骨を支えているといっても過言ではありません。

生産技術と製造技術、どちらも効率的に製品を生み出すためには、欠かせない業務です。

品質管理

製造した製品のすべてが、品質の基準をクリアした製品とは限りません。

品質の低い材料の活用や機械の損耗により、出荷に値しない製品がある程度の割合で現れます。

製造した製品の品質に問題が発生していないかチェックするのが、品質管理です。

いわば、品質管理は製品の品質を守る最後の門番といってもよいポジションです。

新たにモノを生み出すより、今ある製品をもっとブラッシュアップしたい方は品質管理が向いているといえるでしょう。

技術営業・技術サポート

営業や顧客サポートというと、化学を専攻している学生が就くポジションからは遠いように思えます。

しかし化学を専攻している学生の持つ高い知識や専門的なスキルを生かせば、一般的な営業マンでは生み出せない付加価値を生み出せます。

例えば、最新の理論や昨今のトレンドにも理解があるため、一歩先をいく提案が可能です。

一般的な営業マンの場合、化学に対する専門的な知識はそこまでありません。

現在の技術や理論についていくのがやっとというケースも多いでしょう。

豊富な知識を持っている化学を専攻している学生だからこそ、より一歩踏み込んだ提案のできる技術営業や技術サポートとなれます。

また化学を専攻している学生は、ロジカルに話す訓練を多く積んでいるため、筋の通った説明にも慣れています。

まとめ

化学の知識は様々な分野に応用ができるため、化学専攻の学生は就活に有利とされています。

一方で受け皿の多さから、どのように就活をすればよいのかを疑問を感じる方も少なくないはずです。

化学専攻の学生が就活を進める場合には広い視野を持ちつつ、自身の専門性を軸に就活を進めましょう。

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