こんにちは。理系就活情報局です。

理系学生の中には、大学院進学を視野に入れている人も多いと思います。

一方で、進みたい研究室や研究テーマは思い浮かべられても、大学院修了後のキャリアについては漠然としたイメージしか抱けていない人も少なくありません。

そこで、今回は大学院修了後のキャリアのうち「大学助教」に着目します。

アカデミアでキャリアを重ねていきたいと思っている方は、ぜひ参考にしてみてください!

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助教とは? 

助教とは? 

文部科学省「大学教員の職の在り方について<審議のまとめ>」によると、助教は「制度上、将来、准教授、教授へつながるキャリアパスの一段階」であると位置付けられています。

大学院博士課程修了後、ポスドクなどを経て就く助教は、研究だけでなく授業のサポートなどの教育も担います。

一見よく似たポストである「助教授」と混同されがちですが、助教と助教授はまったくの別物です。
「助教授」は、2007年の学校教育法改正で「准教授」に変更されました。

アカデミアのポストとしては、(ポスドク・助手→)助教→講師→准教授→教授の順でステップアップしていきます。

助教とは、大学教授を目指す人のスタート地点と言えます。

特任助教・テニュアトラック助教

一口に助教と言っても、「特任助教」や「テニュアトラック助教」のように、任期付きで採用されるポストもあります。

特任助教は、特定のプロジェクトのために一時的に雇用される任期付きのポストです。
プロジェクト終了とともに雇用も終わる立場ですが、大きなプロジェクトに関われば、アピールするに足る経験を積める点が魅力です。

テニュアトラック助教も同じく期限付きのポストですが、こちらは安定的なポストを得られる可能性があります。

博士号取得後10年以内の若年研究者は、テニュアトラック制度を利用して一定の任期(5年)で雇用されながら研究に専念し、テニュア審査を受けられるのです。
この審査に合格すると、テニュアトラック助教はテニュア期間終了後、任期の定めがない終身雇用のポストとして採用されます。
テニュア=終身雇用を獲得するために、テニュアトラック助教は5年の間に着実に実績を積んでいかなくてはなりません。

(参考:文部科学省 テニュアトラック普及・定着事業「テニュアトラック制とは?」

助教になる方法

助教になる方法

助教になるには、博士号取得後にポスドクとして研究実績を積みながら、助教の公募に応募するのがスタンダードなルートです。
中には、それまで所属していた研究室で採用される場合もあります。

しかし、博士課程修了者に対して助教の募集数は少ないのが現状です。

博士号を取得したら、まずはポスドクとなって実績を積むことになります。
ポスドクとして研究を継続しながら任期が切れるまでに論文執筆やキャリアを重ね、助教へのステップアップを目指す流れが一般的です。

高い実績を出すと同時に、推薦や公募に応募します。助教のポストは決して多いとは言えず狭き道ですが、成果を挙げれば採用される可能性も高まります。

助教の収入と労働時間

令和元年度の文部科学省「学校教員統計調査」によれば、国立・公立・私立によって多少前後しますが、助教の平均月給は約35万円程度というデータが出ています。

税金などを引けば手取りは毎月約28万円ほどとなります。

助教の労働時間にも注目です。
アカデミアでポストを得るためには、日々の仕事とは別に研究を行わねばなりません。同時に、助教は大学生の教育や就職活動や雑務にも関わります。研究の実績を出そうと思えば、決められた時間内だけでなく、時間外の労働が増えていくのは自然な流れです。

助教の勤務形態は、基本的に裁量労働制だと考えて良いでしょう。

助教の仕事内容

助教の仕事内容

助教の仕事内容は以下の2つです。

・専門分野の研究
・大学生への教育

専門分野の研究

助教の仕事内容は、「専門分野の研究」と「大学生への教育」です。

教授や准教授の研究室に所属し、自分が決めた研究テーマで実験・調査を行ない、論文を執筆して実績を積むことが仕事となります。

アカデミアでステップアップしていくためには、研究実績が不可欠です。
数年ごとに設けられた契約更新が来るまで、限られた時間内に成果を出すことが求められます。

助教とは、大学教員としてキャリアを重ねていくための下積み期間だと言えます。

大学生への教育

研究に取り組む一方で、助教は講義も受け持ちます。
学生の実験や演習の指導も担当するほか、所属している研究室の雑務や指導教授のサポートや事務処理も任されることになります。

大学や研究室の環境によっては、学生の就活相談に乗ることもあるでしょう。

研究と並行して、学生の論文指導や試験の添削も行わなくてはいけないため、研究とのバランス配分が重要です。

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助教のキャリアパス

助教のキャリアパス

ここまで、「助教とは?」から「助教の仕事内容」まで解説してきました。

大学院の先を思い浮かべられないでいた方も、自分が進もうと検討している道が見えてきたのではないでしょうか。

しかしながら、アカデミアでキャリアを積むことの厳しさを感じた方もいると思います。
事実、すべての助教が順当に教授までステップアップできるわけではありません。

最後に、「助教のキャリアパス」について解説します。

大学教員としてステップアップ

大学院修了後、ポスドクを経て助教になった人は、講師や准教授、教授へのキャリアアップを目指すことになります。

しかし、前述の通り、必ずしも助教が教授になれるわけではありません。
アカデミアのポストは、席が空かなければ昇格することは出来ないのです。

大学でキャリアアップしていくためには、自分の研究にコツコツと取り組み、成果を出し続けることが肝要です。
助教として働く期間で実績を積みながら講師の募集に応募し、チャンスを掴みましょう。

飛びぬけて優れた実績があれば別ですが、准教授〜教授のポストに就くまでは時間がかかると考えておく必要があります。

民間企業へ就職する

助教には、民間企業への就職という道もあります。

アカデミアでの昇進に限界を感じたり、もっと自分のスキルを活かせる会社が見つかったりした場合は、選択肢の1つとして検討してみましょう。

これまで研究してきた専門分野の研究職以外にも、資格や英語力といった汎用性の高いスキルがあれば、さまざまな可能性が開けてきます。

研究職での採用だけに絞り込みすぎず、自分の能力を活かせるフィールドを見極めて就職活動をしてみましょう。

助教から民間企業への就職を目指す場合は、理系に特化した転職エージェントを活用するとスムーズです。

これだけは知っておきたいポイント(まとめ)

この記事では、「大学助教になりたい!助教になる方法やキャリアパスを知ろう」について解説してきました。

重要なポイントをおさらいします。

・助教とは大学教員としてのキャリアのスタート地点!
 ①学生時代に力を入れたことで自分をアピールする
 ②採用担当者のガクチカ評価基準

・助教になる方法
 ①ポスドクとして実績を積み、推薦や公募で助教を目指す
 ②助教の収入と労働時間

・助教の仕事内容
 ①専門分野の研究
 ②大学生への教育

・助教のキャリアパス
 ①大学教員としてステップアップ
 ②民間企業へ就職する