こんにちは。理系就活情報局です。

医学部の主な学科は、医学科・保健学科・看護学科の3つです。

医学科に進学すると、6年間かけて医師に必要な専門知識を体系的に学んでいき、基礎医学から臨床医学まで幅広い領域に及ぶ知識を習得します。

医学部は、理系の中でも「進学=医者や看護師になる」イメージが強く、進学した時点で職種が決まっている印象があるのではないでしょうか?

しかし、医学部の進路は必ずしも医師に限定されているわけではありません。

本記事では、医学部の理系就活生が持っている可能性に着目し、医学部の進路について解説していきます。

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医学部卒の大半は臨床医へと進む 

基本的には医師になる人がスタンダード

文部科学省「医学部医学科卒業者の進路状況調査」によると、医学部医学科卒業生の98%以上が臨床研修医の道に進んでいます。

この調査が行われたのは平成15年度・16年度と古いデータではありますが、横浜市立大学「医学部医学科の卒業生進路状況」を見ても、臨床研修医以外の道を選んだ人の割合は圧倒的に少ないことが分かります。

参考:横浜市立大学「医学部医学科の卒業生進路状況」

文部科学省の調査が行われてから20年近く経った今も、依然として医学部の進路は臨床研修医がスタンダードであることが分かります。

医学部を卒業して臨床研修医に進むと、複数の科を経験しながら将来自分が専門とする診療科を決めていくことになります。

医学部で6年、臨床研修で2年、自分が目指す診療科の専門研修3~5年を経て、専門医資格取得を目指します。

その後は病院勤めを続ける人もいれば、親や親戚の病院を継いだり、ある程度医師としての経験を積んでから自分のクリニックを開業したりする人もいます。

臨床医以外にも医学部が活躍できる道もある

医学部の進路の大半を臨床研修医が占めることを確認した上で、他の選択肢について確認していきます。

大学院に進んでゆくゆくは研究者に

医師の進路は、病気の予防や治療を行う「臨床」と病院の原因を研究し治療法を確立していく「研究」の2つに大別できます。

臨床ではなく研究の道を選んだ人は、大学院に進みます。

現場で診療を行う医師ではなく、大学や研究機関で医学的な研究を行う「研究医」になるためには、医師国家試験に合格した上で進学し大学院の博士課程を修了しなければなりません。

参考:文部科学省「医学部医学科卒業者の進路状況調査」

大学院でより専門的な研究を行い、病気の解明を目指す研究医は、やりがいと意義のある仕事です。

しかし、上に引用した表で平成16年度卒業者6,733人中36人が進学していることからもわかるように、医学部の場合大学院への進学率は決して高いとは言えません。

医学部は学部卒でも医師免許を取得できるため、医師になりたい人は臨床研修医としての道を選びます。

専門医に比べて医学部の博士号取得率が低迷していることから、文部科学省では研究医養成のための取り組みを行っています。

参考:文部科学省「研究医養成との関係」

もし医学部卒業を前に、臨床と研究の間で進路を迷っているならば「臨床研究医」を視野に入れてみるのもいいでしょう。

臨床研究医とは、2021年度から始まった新しい専門医制度で、実際に患者を診療しながら、新しい医療技術の実用化を目指した研究を行う医師兼研究者のことを指します。

臨床研鑽2年間、以降の5年は研究を中心としたコースを経ることで、臨床研究医になることができます。

参考:日本専門医機構「臨床研究医コースの専攻医募集について」

学んだ医学知識を病院外で発揮する

他の理系学部と比較しても、医学部から民間企業への就職は多いほうではありません。
ですが、医学知識を病院外で発揮する道も存在しています。

詳しくは後述しますが、医療研究施設や製薬会社の研究室、行政や国際NGOなどでも医学知識を活かして働くことが可能です。

医学部で得られるスキル

ここまで、医学部の将来の選択肢が臨床研修医だけに留まらないことを説明しました。

臨床研修医以外の道について詳しく説明する前に、「医学部で得られるスキル」について確認しておきましょう。

医師免許

医学部で得られる最大のスキルは、医学知識です。
医学知識を備え、医師として働けるスキルがあることを示すためには、医師免許が必要不可欠です。

医師免許を取得するためには、毎年2月頃に行われる「医師国家試験」を受検しなければなりません。

この試験に合格すると医師として働く資格がある者として認められ、国に医籍を登録されることになります。

登録が完了すると、厚生労働省から「医師免許証」が交付され、臨床研修医としてスタートできるという流れです。

分析・統計学的スキル

医学部では、統計学や数理科学的方法を通じて医学研究を行う「医学(医療)統計学」を学べます。

基礎医学や臨床医学の研究において、どのようにしてデータを取って調査し、解析するのかを学ぶため、分析スキルや統計学的なスキルが身につきます。

分析・統計学的スキルは、新しい治療法や医薬品の開発に役立てるだけでなく、幅広い分野で応用できるものです。数値の扱い方や分析の手法を学んでおけば、論理的に物事を捉えることが可能になります。

看護師・保健師・助産師免許

医学部で身につくスキルには、看護師・保健師・助産師免許も含まれます。

患者の診療や介助を行う「看護師」、保健指導や健康管理を行う「保健師」、妊娠から育児まで母子の健康をサポートする「助産師」は、いずれも医師免許と同じく国家資格です。

免許を取得するためには、受験資格を得て国家試験に合格しなければなりません。

この3つの免許は、看護師・保健師・助産師課程のある大学や専門学校などに通うことで、受験資格を得ることができます。

この3つの免許には、取得までにさまざまなルートがあります。
大学によっては看護師免許と助産師免許の両方を取得することもでき、自分の目指す進路に合わせて受検を検討していくことになります。

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医学部が活躍できる臨床医・研究医以外の進路

これまで、「医学部卒の大半は臨床医へと進む」から「医学部で得られるスキル」について確認してきました。

最後に、「医学部が活躍できる臨床医・研究医以外の進路」について解説します。

医療行政

医学部卒が活躍できる臨床医・研究医以外の進路の一つに、国家公務員として医療行政に携わるという道があります。

医療行政の仕事には、保健医療の制度作りに携わる技術系行政官「医系技官」と保健所の仕事が挙げられます。

「医系技官」とは、厚生労働省に所属する技術系行政官の厚生労働技官で、医師免許または歯科医師免許を持っていれば、年に2回開催される採用試験を受けることができます。

医学の専門的知識を活かして医療政策に関わるため、医師としての専門性と行政官としての役割の両方が求められる仕事です。

新型コロナウイルス感染症対策でも、新しい生活様式の策定やワクチン接種実施体制の整備などに医系技官が携わっています。

参考:厚生労働省「医系技官採用情報」

また、保健所の公務員「公衆衛生医師」として地域の保険行政に関わっていくのも、医師の可能性の一つです。

保健所の仕事では、各種医療機関と調整しながら感染症対策や食品・環境衛生の保全に努めます。

公衆衛生医師は、一つの専門性だけではまかなえない領域において、医療や介護などの専門職・関係する機関・地域の人々と連携しながら、行政的な立場から対策に取り組みます。

公衆衛生医師の仕事は多岐にわたり、母子保健や生活習慣病、がんや難病、生活衛生や薬事など、人が生活する上で直面するさまざまな問題に関わっています。
そのため、まずは臨床医として経験を積んだ後にキャリアチェンジした人がほとんどです。

公衆衛生医師は臨床医の現場で培ったスキルを磨きながら、目の前の患者だけでなくより広い範囲の人々にプラスになる働きかけができる仕事です。
まずは臨床研修医として専門医を目指しながら、5年後、10年後のキャリア形成の一つとして頭の隅に覚えておくことをオススメします。

民間企業

医学部卒が活躍できる臨床医・研究医以外の進路には、民間の会社で働く道もあります。

製薬会社のメディカルドクターとして新薬の開発や臨床試験、薬の検証などに携わるほか、産業医として働く人もいます。

50人以上の従業員がいる企業では、産業医による従業員の健康管理が義務付けられています。健康診断からストレスチェックまで携わる産業医になるには、医師免許と併せて研修を経たのちに産業医資格を取得しなければなりません。

国際貢献

医師免許を持っている人は、「国境なき医師団(MSF)」に代表される国際協力組織(NGO)に所属し、国内外で医療・人道援助に携わることもできます。

紛争地域や開発途上国で自然災害や貧困などに苦しむ人々を支援する医療チームとして働くには、医師としてのスキルだけでなく、語学力や危険を伴う場所でも活動できる行動力が必要です。

国際貢献を行うNGOの医療チームで働くには、一定以上の経験が必要となります。
「国境なき医師団」のホームページでは、医療チームに求める人物像やスキル、仕事内容について確認することができます。

年間を通して海外派遣スタッフ向けの説明会も行われていますので、興味がある方は一度参加してみて、自分のキャリアの一つとして検討してみましょう。

これだけは知っておきたいポイント(まとめ)

この記事では、「【理系就活】医学部の就職先は臨床医が中心?意外と多彩な進路を解説」について解説してきました。

重要なポイントをおさらいします。

・医学部卒の大半は臨床医へと進む

・臨床医以外にも医学部が活躍できる道もある
 ①大学院に進んでゆくゆくは研究者に
 ②学んだ医学知識を病院外で発揮する

・医学部で得られるスキル
 ①医師免許
 ②看護師・保健師・助産師免許

・医学部が活躍できる臨床医・研究医以外の進路
 ①医療行政
 ②民間企業
 ③国際貢献

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