エネルギー業界は比較的安定した業界のイメージが強く、就活生からも根強い人気を誇ります。
しかし近年は水素などの新しいエネルギーも登場し大きな変化の渦中にあります。

そんなエネルギー業界ですが、どのような事業を行いどんな業務があるのか詳しく知らない方も多いのではないでしょうか?

そこで今回はエネルギー業界について現状、将来性、職種、最新動向も含めて解説します。
エネルギー業界を目指す理系学生の方はぜひ参考にしてみてください。

エネルギー業界にはどんな企業がある?

エネルギー業界にはどんな企業がある?

エネルギー業界は社会生活を支えるエネルギーを供給する業界で、主に以下3つの領域に分かれます。

  • ・石油
  • ・ガス
  • ・電気

エネルギー業界を目指す理系学生はそれぞれの特徴をしっかり把握しておきましょう。

石油

石油は数あるエネルギー資源の中でも多く消費されており、資源エネルギー庁が公表している「エネルギー白書2022」によると世界のエネルギー消費全体で最も大きいシェアである31.2%となっています。
一方で日本国内の石油使用割合は年々低下傾向にあり、人口減少や再生可能エネルギーへの転換が進んでいることからこの傾向は加速するでしょう。

石油はガスや電気とは違い加工性のある天然資源であり、石油会社が調達し利用可能な形へと加工することが必要です。
石油が顧客に届くまでには、大きく以下4つの工程があります。

  • ・原油採掘などの資源開発
  • ・外交輸送などの原油調達
  • ・燃料用石油や石油化学製品などを製造する石油精製
  • ・石油販売

日本企業は上記の中でも石油精製に強みがあり、近年では新興国を中心とした海外にもビジネスを展開しています。

ガス

ガスには液化天然ガス(LNG)や液化石油ガス(LPG)などの種類があり、企業は原料調達から施設にガスを供給するところまで一貫して行います。

国内で供給されるガスは以下の2種類に分かれています。

  • ・都市ガス:管轄地域ごとにガスを供給
  • ・LPガス:道菅がない地域にガスを供給

都市ガスはLNGが主原料であり道菅を通すなどインフラ整備が必要となりますが、比較的安価に供給できる点がメリットとしてあります。
一方でLPガスは都市ガスと比べて割高とはなるものの、高い火力が特徴です。

ガス事業を行うためには原料調達や供給施設の整備など様々な分野のノウハウが必要であり、事業規模としても大きくなります。

電気

電気を供給する会社は自社が保有する発電所を通して、家庭や施設に電気を供給しています。
電気会社の業務は主に以下の3つに分かれています。

  • ・発電事業:発電所で電気を発電する
  • ・送電事業:電気を施設や住宅に供給する
  • ・小売事業:電気を利用者に販売する

電気会社はこれらの業務を一貫して行っており、部門ごとに様々な職種が存在します。
特に発電事業では発電所を管理するエンジニア職が活躍しており、理系学生の希望職種としても人気です。
近年では海外展開も積極的であるため、海外で活躍するチャンスもあるでしょう。

エネルギー業界の現状

エネルギー業界の現状

エネルギー業界は需要こそ安定しているものの、各企業は業績が伸び悩んでいる状況です。

まず石油会社は自動車のEVシフトによるガソリン使用量の減少、代替資源への移行などから年々需要が低下しています。
ガス会社は地球温暖化による暖冬の影響で使用量の減少がみられています。
電気会社は原子力発電所の安全性の問題から火力発電にシフトしており、発電コストの増加による収益減少の傾向が続いています。

エネルギー業界も上記の課題から各社転換期を迎えており、自分の志望企業がどのような対策を立てているのかしっかりと調べておいた方が良いでしょう。

エネルギー業界の将来性

エネルギー業界の将来性

エネルギー業界では石油・ガス・電気に代わる新たなエネルギーとして「水素」が注目されています。

水素で作られるエネルギーは、生成過程で燃焼しても二酸化炭素が発生しないため環境負荷が低いエネルギーです。
水素は地球上の様々な物質に含有されており、枯渇が懸念される石油などの天然資源に代わるエネルギーとして期待されています。

また政府が二酸化炭素の排出量を実質ゼロとする「カーボンニュートラル」を2050年までに達成することを掲げており、水素エネルギーはさらなる脚光を浴びています。

エネルギー業界は環境負荷の低いエネルギーの供給が求められているため、水素エネルギーや他の環境に優しいエネルギーの開発・供給ができるかが事業継続の大きなポイントとなるでしょう。

エネルギー業界にはどんな仕事がある?

エネルギー業界にはどんな仕事がある?

ここではエネルギー業界における以下の代表的な職種を紹介します。

  • ・技術開発職
  • ・営業職
  • ・各種管理業務

エネルギー業界を志望する理系学生は、上記職種を中心に業務内容を把握しておきましょう。

技術開発職

まず理系学生から最も人気が高いのは技術開発職です。
技術開発職はエネルギー関連技術の新規開発や既存技術のアップグレードを中心に業務を行います。
これまでにない革新的な技術やサービスを開発し、社会課題の解決に貢献できる可能性があります。

新しい技術を開発する業務であるため、高度な専門知識が求められる仕事です。
ただ開発するだけでなく、市場のニーズを汲み取った形での開発が求められます。

営業職

エネルギー業界の営業職は、自社の商品やサービスを顧客に提案し受注へとつなげる業務がメインです。
エネルギーを施設や家庭に供給することで、売上や利益を挙げます。

近年電力やガスの自由化により競争が激しくなっているため、他社との差別化ポイントを顧客に伝えて取引するメリットを感じてもらうなど営業の工夫が求められます。

各種管理業務

エネルギー業界の管理業務は多岐にわたっており、エネルギー供給を安定化する生産管理、製品やサービスの品質チェックを行う品質管理など細分化されています。

エネルギーは安定供給が基本となるため、安定供給を支える管理業務は非常に重要です。
営業や技術開発のように表にたつ仕事ではないですが、エネルギー供給会社の根本を支える役割を果たしています。

エネルギー業界の最新ニュース

エネルギー業界の最新ニュース

ここではエネルギー業界で話題となっている以下の最新ニュースを紹介します。

  • ・バイオマスなどの再生可能エネルギー
  • ・FIP制度の導入

バイオマスなどの再生可能エネルギー

近年環境負荷の低い再生可能エネルギー普及への取り組みが加速しています。

再生可能エネルギーとはエネルギー源が枯渇せず二酸化炭素を排出しないエネルギーのことで、以下のエネルギーが該当します。

  • ・太陽光発電
  • ・地熱発電
  • ・水力発電
  • ・バイオマス発電
  • ・風力発電

上記のように風や水のように自然の力を利用した発電方法が多く、環境保全からも世界的には取り組みが加速しています。

環境負荷が低くエネルギー源が枯渇しないなどのメリットがあるものの、気候の影響による安定供給の難しさや発電コストの高さがネックとなり日本ではなかなか導入が進んでいません。
こうした状況から再生可能エネルギーを推進する制度の制定など再生可能エネルギーを受け入れやすい土台を作ることが求められています。

FIP制度の導入

上記の話題に関連しますが、国内における再生可能エネルギー普及を促進させるため、2022年4月からFIP制度が施行されています。
FIP制度とは「Feed in Premium」の略称で、再生可能エネルギーを卸電力取引市場で打った時に補助額が上乗せされる制度のことです。
このことで再生可能エネルギーの売買における高収益がみこめるため、再生可能エネルギーが広く普及する可能性があります。

世界的にも再生可能エネルギーのシェアをあげる動きが活発であるため、今後環境負荷の低いエネルギーがメインとなるひも近いかもしれません。

これは知っておきたいポイント!(まとめ)

エネルギー業界は需要こそ安定しているものの、社会環境変化の影響から年々業績が低下傾向にあります。

ただし再生可能エネルギーなどを中心に新しいエネルギー供給が活発に行われており、それに伴う新しいサービスも次々と出てくることが期待できるため、将来性のある業界とも言えます。

エネルギー業界を目指す方は業界の特徴をしっかりと理解し、志望先の内定を勝ち取りましょう。