こんにちは!今回は、理系学生のみなさんに向けて、サントリーホールディングス株式会社(以下、サントリー)について徹底解説します。サントリーは日本を代表する飲料メーカーの一つですが、具体的にどんな会社なのか、競合他社と比べてどんな特徴があるのか、一緒に見ていきましょう。
企業情報

サントリーは酒類(アルコール飲料)と清涼飲料水の両方で事業を展開する総合飲料企業です。その売上規模は業界トップクラスで、国内飲料市場で大きなシェアを持っています。ビール業界ではアサヒ、キリン、サッポロと並ぶ「大手4社」の一角であり、ビール以外の酒類(ウイスキーやワインなど)の売上も大きい点が特徴です。また清涼飲料分野では、コカ・コーラやキリン(午後の紅茶など)、伊藤園(お~いお茶)といった企業と市場を競っています。サントリーのユニークな点は、酒類とソフトドリンクの両方で多数のヒット商品を持ち、国内外で事業を拡大していることです。そのため総売上高では他の国内飲料大手を上回り、グローバルにも存在感を示しています。
競合他社との比較では、例えば売上規模で見るとサントリーの連結売上収益は3兆円規模とされ、アサヒグループ(約2.9兆円)やキリンホールディングス(約2.3兆円)より大きいというデータがあります。もちろん事業内容の違いもあるので単純比較はできませんが、業績は好調です。これは後述するように海外展開の成功や、多角的な商品開発戦略によるものとされています。
サントリーは酒類と清涼飲料の両輪で事業を展開する国内トップクラスの飲料メーカーです。競合のアサヒ・キリンなどと比べても総合力で勝り、国内市場で大きなシェアを持つだけでなく海外事業も積極的に展開しています。その存在感はまさに業界をリードする「巨人」といえるでしょう。
本社
サントリーは創業の地である大阪に本社を置きつつ、東京にも大きな拠点を構えています。
- ・本社(大阪オフィス): 大阪市北区堂島浜2丁目1-40に所在します。堂島浜のランドマーク的なビルで、大阪に根ざした企業であることを示しています。
- ・サントリーワールドヘッドクォーターズ(東京オフィス): 東京都港区台場2丁目3-3に所在。お台場にある近未来的なオフィスで、こちらが実質的なグローバル本社機能を果たしています。社内では東京オフィスのことを「WHQ(World Headquarters)」と呼ぶこともあります。
設立年
サントリーの創業はなんと1899年までさかのぼります。創業者は鳥井信治郎(とりい しんじろう)氏で、もともとは大阪で葡萄酒(ぶどう酒)の製造販売を始めたのがスタートでした。その後社名を「寿屋(ことぶきや)」とし、日本人の口に合う洋酒造りに挑戦してきました。現在の持株会社「サントリーホールディングス株式会社」は2009年2月16日に設立され、グループ経営を統括する体制となっています。
代表者
では、現在の代表者は誰でしょうか?サントリーは創業家とプロ経営者が共同で経営を担ぐ形になっており、2025年現在の主なトップは以下の通りです。
- ・代表取締役会長 兼 グループ代表:新浪 剛史(にいなみ たけし)氏 – 経営トップとしてグループ全体の指揮を執る人物です。外部出身ながら「やってみなはれ」精神を受け継ぎ、革新的な経営を行うことで知られます。
- ・代表取締役社長:鳥井 信宏(とりい のぶひろ)氏 – 創業家出身で、創業者の曾孫にあたります。伝統と革新の両立に力を注ぎ、サントリーの事業を牽引しています。
- ・(参考)名誉職として創業家の佐治 信忠(さじ のぶただ)氏が取締役会議長を務めています。佐治氏は創業者の孫で、長年社長・会長としてサントリーの発展を支えました。
このように創業から125年以上の歴史を持つ老舗企業ですが、伝統とともに時代に合わせた経営改革も行われています。創業家の理念を守りつつ、外部の力も取り入れて成長を続けている点がサントリーの特徴ですね。
サントリーは1899年創業という長い歴史を持ち、現在は創業家とプロ経営者がタッグを組んで経営しています。創業者・鳥井信治郎の精神は脈々と受け継がれ、新浪剛史氏や鳥井信宏氏といったリーダーの下、「やってみなはれ」のチャレンジ精神で次の時代へ挑戦しているのです。
主要製品

サントリーは非常に幅広い製品ラインナップを持っています。その事業は大きく分けて「酒類事業」と「飲料・食品事業」に分類できます。
- ・酒類事業: ウイスキー、ビール、ワイン、チューハイ、リキュール、日本酒・焼酎など多岐にわたります。例えばウイスキーでは「山崎」「白州」「響」といったシングルモルトやブレンデッドウイスキー、ビールではプレミアムビールの「ザ・プレミアム・モルツ」、発泡酒や第三のビール、チューハイでは「-196℃(ストロングゼロ)」や「ほろよい」、リキュールでは「角瓶ハイボール缶」などが人気商品です。これらはそれぞれのカテゴリーで市場をリードする存在となっており、ウイスキーやビールの本場海外でも高い評価を受けています。
- ・清涼飲料・食品事業: お茶やコーヒー、炭酸飲料、スポーツ飲料、水、健康ドリンク、栄養食品などを扱います。主なブランドには、緑茶飲料「伊右衛門」、烏龍茶飲料「サントリー烏龍茶」、コーヒー飲料「BOSS(ボス)」、炭酸飲料「ペプシ」(ペプシコ社と提携)、スポーツ飲料「DAKARA」や「GREEN DA・KA・RA」、さらにはトクホ飲料の「黒烏龍茶」や「伊右衛門 特茶」などが挙げられます。また近年は機能性飲料・食品にも注力しており、健康食品ではゴマの成分を使った「セサミンEX」やグルコサミン配合の「ロコモア」などサプリメント類も展開しています。
- ・外食・食品関連事業: 飲料製品以外にも、洋菓子(かの有名な「ハーゲンダッツ」を日本に紹介した実績も)など、多角的な事業を行ってきました。現在はグループ企業を通じて食品・飲食関連のビジネスや、花事業(世界初の青いバラを販売するサントリーフラワーズ)なども手掛けています。
「アルコール飲料からソフトドリンクまで」何でも揃うのがサントリーの強みです。しかも単に商品数が多いだけでなく、各カテゴリーでヒット商品や定番ブランドを生み出しているため、事業ポートフォリオが非常にバランスよく充実しています。
業態

事業形態としては、現在サントリーはホールディングス制をとっており、酒類事業会社(例:サントリースピリッツ株式会社、サントリービール株式会社など)と、飲料事業会社(サントリー食品インターナショナル株式会社、その下にサントリーフーズ等)を中核に、多数のグループ企業で構成されています。グループ全体で265社(2024年末時点)もの関連会社があり、グローバル展開も含めた“サントリーグループ”として総合力を発揮しています。
前述の通り、サントリーの製品ラインナップは、ウイスキー・ビール・ワイン・チューハイなどの酒類から、お茶・コーヒー・炭酸・健康飲料などの清涼飲料まで非常に幅広いです。それぞれに有名ブランドがあり、消費者の生活に密着した存在となっています。「水と生きる」というスローガンのもと、飲み物を通じて豊かな生活文化を提案する――それがサントリーの事業の核と言えるでしょう。
企業規模
では、数字の面からサントリーの規模を見てみましょう。最新の公式情報(2024年12月期)によれば
資本金
700億円サントリーホールディングス単体
連結売上収益
3兆0797億円(2024年、酒税控除後)。酒税を含めたベースでは3兆4179億円に上ります。円滑にイメージできるように言うと、売上3兆円規模の企業です。
連結営業利益
3,289億円(2024年)。売上の約1割強が利益として残っている計算で、安定した収益力があります。
グループ会社数
265社(2024年末時点)。前述の通り、多数のグループ企業から成る巨大企業グループです。
従業員数
グループ全体で41,357人(2024年末時点)。世界中の社員を合わせて4万人超という大所帯です。
売上高3兆円超というのは、日本企業全体で見てもトップクラスで、飲料業界では突出しています。この規模感は、国内市場だけでなく海外事業の売上も含めて伸ばしてきた結果といえます。
従業員数も4万人強と非常に多く、世界各国にサントリーの仲間がいるイメージです。平均年齢は非公開ですが、後述するように平均勤続年数が長くベテラン社員も多い会社です。サントリーは資本金700億円、売上高3兆円超、営業利益3,000億円規模、社員数4万人超という巨大企業です。数字からも、その事業の大きさと安定性が伺えますね。飲料メーカーとして国内トップレベルであり、グローバルに見ても有数の規模を誇る企業と言えるでしょう。
拠点
- ・主要事業所: 研究所・工場や営業拠点は全国各地にあります。例として、ウイスキー蒸溜所は山崎(大阪府)や白州(山梨県)に、ビール工場は東京・京都などに、天然水の工場は南アルプス・阿蘇・奥大山など水源地に、それぞれ立地しています。また研究所としては、京都府精華町の「サントリー世界研究センター(ワールドリサーチセンター)」や、神奈川県の「商品開発センター」などの施設があります。
- ・海外拠点: 世界各国にも事業拠点があります。例えば、米国では傘下のサントリーグローバルスピリッツ社を通じてバーボンウイスキー事業(ジムビームなど)を展開し、フランスやスペイン、イギリスなどにも清涼飲料の現地法人があります。アジア各国(中国、ベトナム、タイなど)にも合弁会社や現地法人があり、グローバル企業としての顔も持っています。
オフィス所在地を見ると、創業以来の大阪魂を持ちながら、東京で世界に向けたビジネスを動かしている印象です。
前述の通りサントリーは大阪(堂島)に本社を置きつつ、東京(お台場)に世界戦略拠点を構える二拠点体制です。全国に工場・研究所があり、海外にも多数の拠点を持つなど、その活動範囲はまさに日本全国および世界に広がっています。「水と生きる」という企業スローガン通り、水が良い場所を求めて各地に根を下ろし、世界にも挑んでいるのです。
参照元:
サントリーホールディングス 事業所一覧
待遇・制度

働くうえで気になる待遇面についても見ていきましょう。サントリーは大手企業らしく、給与水準や福利厚生は充実しているようです。
初任給
2024年4月実績で大学院修士了の場合、月給294,800円、大学学部卒で月給278,000円となっています。30万円近い初任給は、日本企業の中でもかなり高めの水準ですね。賞与(ボーナス)は年2回支給され業績と連動としています。
諸手当
通勤交通費(在宅勤務普及後は実費精算)や時間外手当など一般的な手当のほか、住宅支援制度が手厚いと評判です。住宅補助については、会社都合で転勤が発生する場合に社宅制度が適用され、自分で探した物件を会社名義で契約し、家賃補助などのサポートを受けられます。若手でも数万円負担で都心に住めるケースもあるようで、社員からも「福利厚生が充実している」との声があります。
勤務時間
標準労働時間は9:00~17:30(実働7時間30分)です。フレックスタイム制度も導入されており、コアタイム無しで柔軟に働ける部署もあります。また在宅勤務(リモートワーク)制度も整備されており、業務内容に応じてテレワークが可能です。
休日・休暇
年間休日は121日程度で、基本的に完全週休2日制(土日)・祝日・年末年始が休みです(部門によってシフト勤務の場合もありますが、その場合も所定の休日数は確保)。年次有給休暇は初年度13日付与、以後勤続に応じ最大24日付与されます。有給休暇の平均取得日数は16.7日/年(2023年時点)と公表されており、社員は比較的しっかり休暇を取れているようです。また、リフレッシュ休暇や慶弔休暇、ボランティア休暇など特別休暇制度も整っています。
福利厚生
社会保険完備はもちろん、企業年金や確定拠出年金、財形貯蓄、社員持株会など大企業らしい制度があります。ユニークな点では、仕事と育児・介護の両立支援として育児休職を子供が満3歳になる前日まで取得可(法定以上の長さ)、さらに育休取得を促すため一部有給化した「ウェルカム・ベイビー・ケア・リーブ」制度を導入するなど先進的です。その結果、2025年度の育休取得率は女性・男性ともに100%と非常に高い実績を誇ります。また介護休職や在宅勤務制度、短時間勤務制度などライフステージに合わせた柔軟な働き方も用意されています。住宅関連は前述の社宅・家賃補助のほか、転勤時の引越費用負担や単身赴任手当なども整っています。
このように、サントリーの待遇は「高水準の給与+充実した福利厚生」が両立している印象です。平均年収は公開情報では1,222万円前後とも言われ(役職込み平均、40代が多いため高め)、若手でも30代前半で年収700~800万円台に達するケースもあるようです。住宅補助等の見えない部分も含めると、安心して長く働ける環境と言えそうですね。
サントリーは初任給が修士卒で約29万円と高水準で、勤務時間は標準7.5時間、年間休日121日と働きやすい環境です。さらに社宅制度や育児支援など福利厚生が充実しており、社員が安心して働き続けられる仕組みが整っています。大企業ならではの手厚い待遇のもと、仕事に打ち込める環境が用意されているのです。
理念・VMV

サントリーには創業以来受け継がれてきた強い企業理念があります。現在それは「人と自然と響きあい、豊かな生活文化を創造し、『人間の生命(いのち)の輝き』をめざす」という一文に凝縮されています。これはOur Purpose(存在意義)として掲げられており、「人間の生命の輝き」とは二代目社長・佐治敬三氏が50年前に社是に掲げた言葉です。人だけでなく自然や社会も輝かなければ人間も輝けない――そんな哲学が込められており、サントリーは人と自然の共生を重視しています。
さらに、サントリーグループの価値観(Our Values)としては次の3つです。
- ・Growing for Good:人として、企業として、社会のために成長し続けること。成長し続けることで、社会を良くする力を大きくしていくこと。
- ・「やってみなはれ」精神: これは創業者・鳥井信治郎氏の口癖で、「まずはやってみなさい(挑戦してみよう)」という関西弁です。失敗を恐れず新しい価値創造に挑み続ける姿勢を意味し、現在でもサントリー社員のチャレンジ精神の根幹になっています。
- ・「利益三分主義」: 事業で得た利益は「会社に再投資」「お客様へのサービス向上」「社会への還元」の3つにバランスよく配分するという考え方です。単に会社の利益追求だけでなく、社会貢献を創業時から重視してきたサントリーらしい理念ですね。
また、コーポレートメッセージとして皆さんもCM等でご存知かもしれませんが「水と生きる SUNTORY」というスローガンを掲げています。この言葉には、「自然と水の恵みに生かされる企業として水資源を守る」「さまざまな企業活動を通じて社会に潤いをもたらし、社会にとっての水であること」「社員一人ひとりが水のようにしなやかに挑戦できる会社であること」という思いが込められています。
こうした理念はトップメッセージにも表れています。現在の代表取締役社長の鳥井 信宏氏は、「サントリーグループは人と自然と響きあい『生命の輝き』をめざす企業グループです。125年の歴史で受け継いできた『やってみなはれ』と『利益三分主義』の価値観を大切に、新たな価値創造に挑戦し続けてきました」と述べています。また新浪氏はサステナビリティ経営にも力を入れており、「水や環境を次世代に継承する責務」として2030年環境目標(温室効果ガス排出削減、水の循環保全など)の達成に向け異業種とも協働していると強調しています。さらに「天然水の森」や「水育(みずいく)」など水を守る活動を国内外に広げていることにも触れています。
サントリーは「人間の生命の輝き」を企業理念に掲げ、人と自然・社会の調和を目指す経営を行っています。創業者から受け継いだ「やってみなはれ」(挑戦精神)と「利益三分主義」(社会還元)の精神が社内に根付いており、環境・文化への貢献にも熱心です。代表者のメッセージからも、挑戦・創造とサステナビリティを重視するサントリーの姿勢が感じられますね。
参照元:
サントリーホールディングス グループ企業理念
サントリーホールディングス トップメッセージ
技術面

ものづくり企業としてのサントリーを語る上で、研究開発(R&D)の話は欠かせません。実はサントリーは「メーカーの命は研究開発」という考えを創業時から持っており、技術革新にとても積極的な企業なのです。
サントリーの研究開発は大きく「おいしさ」「健康」「環境(自然)」の3つのテーマに力を入れてきました。
- ・おいしさへの挑戦: 酒類製造からスタートした同社は、酵母・酵素による発酵技術、蒸溜技術の研鑽により日本初のウイスキーづくりを成功させました。その後ビール醸造技術にも取り組み、プレミアムモルツなど高品質ビールを開発。また清涼飲料では、ウーロン茶の渋みを抑える技術や缶コーヒーの香りを引き立てる技術など、様々な官能評価と試作を繰り返して商品開発を行っています。例えば「サントリー烏龍茶」「BOSSコーヒー」「伊右衛門」などは独自の焙煎・抽出技術で風味を高めていますし、ビールでは原料や製法にこだわった「ザ・プレミアム・モルツ」があります。ノンアルコールビールテイスト飲料「オールフリー」はアルコール0.00%かつカロリーゼロを実現するための特殊製法で、発売当初大きな話題となりました。こうした商品開発力で市場をリードする商品を次々と生み出しているのです。
- ・健康への挑戦: サントリーは食品メーカーとして健康分野の研究にも早くから着手しています。社内に生命科学研究所を持ち、「老化を科学する」というスローガンでアンチエイジングや健康維持の研究を推進中です。具体例として、ゴマに含まれる抗酸化成分「セサミン」の効能研究に1990年代から取り組み、サプリメント「セサミンEX」を開発しました。他にもDHA・EPAの脳機能改善効果研究から「オメガエイド」、膝軟骨成分の研究から「グルコサミン+コンドロイチン」のサプリなど、科学的エビデンスに基づく健康食品を創出しています。製薬的なアプローチで安全性・有効性試験も行っており、信頼性の高い製品づくりが強みです。
- ・環境・水への挑戦: サントリーは、環境技術にも注力しています。水科学研究所では、水の循環や水質の基礎研究を行い、製品の味を左右する「水」の探究や、水資源保全の科学的知見を蓄積しています。例えば森の土壌が水を貯える仕組みの研究や、雨水が地下水になる過程の解析などです。また工場排水の高度な浄化技術や、地下水汲み上げと森の涵養バランスの研究など、持続可能な水利用にも積極的です。さらにユニークな例では、世界初の「青いバラ」開発プロジェクトがあります。1990年から遺伝子工学を駆使して不可能と言われた青色のバラの品種改良に挑み、約20年の歳月を経て2009年についに商業化(ブルーローズ「アプローズ」の発売)を実現しました。この青いバラはまさにサントリーの技術と夢の結晶で、生物工学分野で世界を驚かせた成果です。
サントリーが世界で初めて開発に成功した青いバラ「APPLAUSE(アプローズ)」。バイオテクノロジー研究の結晶であり、20年越しの夢を形にした象徴的な成果です。
こうした研究を支える体制として、前述のサントリーリサーチセンターでは世界最先端の研究設備を整え、「美味しさ」「健康」「水・花・環境」のテーマで基礎研究から応用まで行っています。また商品開発センターではマーケティング部門と連携しながらスピーディーな商品化を図っています。研究開発人員も相当数おり、理系の院卒が活躍できるフィールドが広がっています。
参照元:
サントリーホールディングス 研究開発
技術の沿革
サントリーの技術史を振り返ると、常に時代の一歩先を行く挑戦の連続でした。そのハイライトを年代順にまとめてみます。
- ・1899年: 大阪に鳥井商店を開業し、葡萄酒(ぶどう酒)の製造販売を開始。日本人の口に合う甘口ワイン「赤玉ポートワイン」を開発(1907年)し大ヒット。これが最初の技術的成功と言えます。
- ・1923年: 「日本にも本格的なウイスキーを!」との思いで、鳥井信治郎が大阪郊外の山崎に日本初のウイスキー蒸溜所を建設。当時スコットランド以外では例のない挑戦でした。1929年には試行錯誤の末、国産第1号ウイスキー「白札」(サントリーウイスキー白札)を発売。これは苦戦しましたが、1937年に改良版「角瓶」を発売すると大成功を収め、日本のウイスキー文化が開花しました。
- ・1963年: ウイスキーで成功したサントリーが、満を持してビール事業に参入。武蔵野にビール工場を建設し「サントリービール」を発売しました。後発ゆえ苦労もありましたが、1967年代には熱処理をせず、酵母菌を除去した「純生」を発売。そして2000年代には「プレミアムモルツ」でプレミアムビール市場を切り拓きました。ビール製造技術の研鑽もこの間に飛躍しています。
- ・1970~80年代: 清涼飲料事業を本格化。1970年代に缶コーヒー「BOSS」開発着手、1981年に「サントリーウーロン茶」を発売など、酒類以外でも新市場を開拓しました。1997年にはペプシコ社との提携で「ペプシ」の国内販売を担い、炭酸飲料市場にも参入。こうして飲料全般の総合メーカーへの道を歩みます。
- ・1990年代: 健康食品・機能性飲料へ進出。1993年に「セサミンE」(現セサミンEX)発売など、生命科学の成果を商品化。また缶チューハイ「-196℃チューハイ」を開発(果実を瞬間凍結粉砕して浸漬する技術)しRTD※市場を開拓。※RTD(Ready to Drink)…購入後すぐ飲める低アルコール飲料。缶チューハイなど。
- ・2000年代: グローバル化とイノベーション加速。2009年に青いバラ「APPLAUSE」を世界初発売。2014年、米国ビーム社を買収し世界的蒸留酒メーカー「ビームサントリー(現サントリーグローバルスピリッツ)」を設立。これによりジムビームやメーカーズマーク等も傘下に加わり、技術交流が進みました。またペットボトル軽量化技術や植物由来プラスチック開発など環境技術にも注力。
- ・2010年代: 「プレミアムモルツ」が世界的ビールコンペで金賞連発、ウイスキー「山崎」「白州」「響」がワールドウイスキーアワードで金賞受賞するなど、技術力が世界で認められる時代に。社内に情報革命時代を睨んだ「デジタル戦略部」(現:DX推進部)を設立し、生産設備のIoT化やマーケティングのデータ活用などデジタル技術を推進。
- ・2020年代: AIやIoTの活用によるスマート工場化、水素エネルギー導入など脱炭素技術の実証を開始。2022年、白州蒸溜所にて酒類業界初のCO₂分離回収技術の実証に成功。培ったCO₂回収技術は他産業への応用も期待されています。
サントリーの技術史を振り返ると、創業のワイン造りから始まり、日本初のウイスキー、ビール参入、清涼飲料開発、健康食品、青いバラと、次々に新たな挑戦を成功させてきたことが分かります。まさに「やってみなはれ」を体現した歴史であり、そのDNAは現代の新事業・新技術にも息づいています。これからもどんな“初”を生み出すのか、楽しみになりますね。
参照元:
サントリーホールディングス 歴史
サントリーホールディングス 全部門での最高賞
サントリーホールディングス、CO2回収技術で酒類業界初の成果
技術の独自性・強味
サントリーの技術の強みは、一言で言えば「伝統×先端技術」でしょう。ウイスキーやビールなどの醸造・蒸溜技術では伝統に裏打ちされた職人芸があります。一方でバイオテクノロジーや分析科学、材料工学といった先端分野の技術も積極的に取り入れて新しい価値創造に挑んでいます。
具体的に主要製品に絡めて独自技術をいくつか挙げますと:
- ・ウイスキー: 日本の風土でウイスキーを熟成させるため、サントリーは山崎や白州といった環境の異なる場所に蒸溜所を構え、それぞれで個性あるモルトを生産しています。ブレンド技術も卓越しており、「響」のように何種類もの原酒をブレンドして調和のとれた味を作り出す技術は世界的にも高く評価されています。また木桶発酵の復活やミズナラ樽(日本固有のオーク材)での熟成など、独創的な試みも行っています。これらによりサントリーウイスキーは国際コンペで最高賞を度々受賞しており、「山崎12年」や「響21年」は世界のウイスキーファンから賞賛されています。
- ・ビール: 「ザ・プレミアム・モルツ」は二段階溜式のダブルデコクション法やアロマホップ100%使用など、素材と製法にこだわって作られています。特に仕込み方法の工夫でコクと香りを両立させた技術は、国内外のビール品評会で金賞を受賞するなど高評価です。
- ・清涼飲料: お茶飲料では「急須で淹れたおいしさ」を追求し、茶葉の特長を活かす抽出技術があります。「伊右衛門」は石臼挽き抹茶をブレンドする独自製法でまろやかな味わいを実現しています。コーヒー飲料の「BOSS」では、豆の焙煎から抽出・充填まで一貫した品質管理と、微粉砕コーヒー豆を加える技術でコクを出す工夫などがされています。
- ・健康食品: 先に触れたセサミンや、ロコモア(グルコサミン+ケルセチン配糖体など)の配合技術などの健康食品を製品化しています。例えばセサミンEXはゴマ一粒からごく微量しか取れないセサミンを効率よく抽出・精製する自社技術によって商品化されました。
- ・容器・包装技術: ペットボトルの軽量化・リサイクルにも積極的です。サントリーは業界に先駆けて「FtoPダイレクトリサイクル技術」(使用済みペットボトルから直接新しいボトルプリフォームを作る技術)を共同開発し、工程短縮と省エネを実現しました。これによりCO₂排出削減にも寄与しています。2018年にはその技術で国際的な環境賞も受賞しています。
このように幅広い分野で独自の技術力を磨いているのがサントリーの強みです。研究員・技術者にとっては、お酒の醸造からバイオサイエンス、容器の素材開発まで多様なテーマに挑戦できる魅力的な会社と言えるでしょう。
サントリーは「おいしさ・健康・環境」の研究開発に力を注ぎ、ウイスキー醸造や青いバラの開発など数々の技術的偉業を成し遂げてきました。伝統の技と最新テクノロジーを融合させた独自技術は、主要製品の品質や機能に活かされています。常に「やってみなはれ」の精神で新技術に挑む姿勢こそ、サントリーの技術者魂と言えるでしょう。
参照元:
サントリーホールディングス 主なコンペテイション受賞歴
サントリーホールディングス 「F to Pダイレクトリサイクル技術」の開発
キャリア形成

サントリーで働く魅力の一つに、キャリア形成の支援が挙げられます。社員一人ひとりが成長し、やりがいを持って働けるよう、さまざまな施策や文化があります。
まず社風として、若手にも責任ある仕事を任せて育てようという風土があります。新人は入社後約1年間かけて一人前に育成する方針で、OJT(On the Job Training)とOff-JT(集合研修)の双方から丁寧な教育があります。さらに入社半年後には1泊2日の「VALUE研修」で創業精神「やってみなはれ」や「利益三分主義」を体感的に学ぶ機会も用意されています。これによってサントリーらしさを新人のうちにしっかり吸収できるわけですね。
また、若手社員のローテーションにも積極的です。入社4年目・9年目に人事とのキャリア面談を全員実施し、一人ひとりの志向や適性を把握して計画的に異動を行っています。例えば「営業を経験した後に宣伝・マーケに挑戦」「飲料マーケから酒類マーケへ事業横断異動」「財務でM&Aを担当後、買収先企業の財務管理に赴任」「ものづくり現場経験後、商品開発にステップアップ」など、様々な部署・職種を経験できるようなケースが紹介されています。このように現場のトップと人事が一体となり、社員の成長に合わせてキャリアの幅を広げる工夫がなされています。
さらにサントリーはグローバル人材の育成にも熱心です。具体的には
- ・社内留学制度: 国内外のビジネススクールに留学し、英語でMBA(経営学修士)を取得する制度があります。
- ・キャリアチャレンジ制度: グローバル業務遂行に必要なスキル習得を目的に、社員が個別に研修プログラムを設計してチャレンジできる制度です。例えば語学研修や専門スキル習得のための海外研修など、社員主体で学びに行けます。
- ・海外トレーニー制度: 若手社員を一定期間、海外のグループ会社に派遣して実務を経験させる制度です。欧米やアジアの現地法人に赴任し、グローバルな視野を養う機会になっています。
社内には他にも通信教育補助や資格取得支援などの自己啓発サポートも充実しており、社員が学び続けられる環境です。2021年にはDEI(ダイバーシティ・エクイティ&インクルージョン)宣言を制定し、多様な人材が活躍できる職場づくりも推進しています。年代・性別・国籍問わず公平に尊重され、互いの個性を活かす組織文化を育もうという取り組みです。
サントリーでは新人研修から始まり、ジョブローテーションや海外研修などを通じて社員の成長を全力でサポートしています。自分次第で営業も開発も国際業務も経験できるため、幅広いキャリア形成が可能です。社風としても挑戦を応援する空気があり、「やってみなはれ」でどんどん手を挙げれば若手でも大仕事に挑める環境と言えるでしょう。
前述のキャリア形成とも重なりますが、ここでは研修制度と社員のキャリアパスについてもう少し詳しく説明します。
研修制度
サントリーの研修は新入社員研修以降も段階ごとに用意されています。例えば:
- ・営業研修・生産研修: 他部署を知る研修として、入社1年目の途中で営業現場研修(営業社員に同行して市場の声を知る)や生産現場実習(工場で製造プロセスを体験)が行われます。文系出身でも工場実習をすることでモノづくりを理解したり、理系出身でも店頭で商品がお客様に届く瞬間を知ったりと、視野を広げる狙いです。
- ・フォロー研修: 入社1年目の終わりには「ステップアップ研修」があり、自身の成長を振り返って2年目に向けた課題設定を行います。また4年目前後にもキャリア面談や研修があり、そこで次のローテーションや役割が見えてきます。
- ・マネジメント研修: 主任級、課長級に昇格するタイミングで、それぞれリーダーシップ研修やマネジメント研修が実施されます。ここでは部下育成や戦略策定など管理職として必要なスキルを学びます。
- ・グローバル研修: 海外グループ会社のリーダー層と合同のグローバルリーダープログラムがあり、多国籍チームでのディスカッションやケーススタディを通じて国際的なリーダーシップを養います。
- ・専門研修: デジタル人材向けのプログラミング研修、研究員向けの最先端分析技術研修、マーケター向けのブランド戦略研修など、職種別の専門研修も多彩です。必要に応じ外部講習や学会参加も会社が支援します。
キャリアパス
サントリーのキャリアパスは等級制度によって比較的標準化されているようです。新卒入社の場合、最初の10年前後は一般職~主任クラスの経験を積み、30代前半で主任(係長)や課長級に昇進する例も珍しくありません。その後は能力と実績次第ではありますが、40歳前後で部長級に達する方もいるようです。ポイントは、基本的に年次に沿って昇格チャンスが巡ってくる点です。「よっぽど問題がない限り順調に出世していく」という社員口コミもあり、毎年の定期昇給・昇格制度がしっかり運用されているようです。
評価制度は目標管理とコンピテンシー評価を組み合わせた仕組みで、公平性に配慮されているようです。成果だけでなくサントリーのバリュー体現度(挑戦したか、お客様視点で考えたか等)も評価されるため、単なる数字至上主義ではなく人間性も重視されます。これは創業以来の「人間性を尊重する」文化にも通じますね。
平均すると、新卒入社で約10年目前後で管理職(課長級)に昇進するケースが多いようです。もちろん職種や個人差もありますが、メーカーの中では比較的早い段階からマネジメント経験を積める環境と言えるでしょう。
平均勤続年数
平均勤続年数は17.6年(2023年時点)と非常に長く、多くの社員が腰を据えてキャリアを築いています。長く働けるのは待遇や働きやすさもありますが、社員のロイヤリティ(愛社精神)が高いことの表れでもあります。
サントリーでは新人から管理職に至るまで各段階で研修プログラムが整備され、体系的にスキルアップしていけます。キャリアパスも明確で、概ね年次に沿って昇進の機会が与えられるため将来像を描きやすいです。平均勤続年数が約18年と長く、社員が腰を据えて成長し続けられる会社と言えるでしょう。
インターンシップ情報
理系学生であれば、まずインターンシップでサントリーを体感してみたいと思うかもしれません。サントリーは毎年、新卒採用に先立ち夏季・冬季にインターンシップを開催しています。その内容を紹介します。
開催内容
インターンシップの開催コース
サントリーのインターンシップは職種別にいくつかのコースに分かれています。
主なものを挙げると:
- ・ビジネス部門系: 「セールス&マーケティング インターンシップ」、「ブランドマネージャー インターンシップ」、「ファイナンス・アカウンティング(財務・経理)インターンシップ」、「サプライチェーン インターンシップ」など。営業・マーケや企画系志望の学生向けで、実際のマーケ戦略立案や営業体験ワークなどを行います。
- ・デジタル&テクノロジー部門系: 「DXインターンシップ」。データ分析やDX戦略に興味のある学生向けで、生成AIを活用したシステム企画のアイデアソンやデジタルサービスの改善課題提案と改善案実装・開発を行います。
- ・生産研究部門系: 「商品開発・生産インターンシップ」(清涼飲料や酒類の商品開発体験)、「生産技術・生産(エンジニア)インターンシップ」(技術開発実験、工程改善案の検討など)、「基礎研究インターンシップ」(研究所でのテーマ研究体験)などがあります。理系大学院生にはこちらが人気でしょう。
- ・製造部門系: 「ものづくり・製造オープンカンパニー」(高専生や学部生対象の工場見学・実習)や、「高専インターンシップ」(高等専門学校生対象の実習)も実施されています。
インターンシップの内容
内容はコース毎に違いますが、実務型の課題解決ワークや現場体験が中心です。例えば:
- ・セールス&マーケティング: 酒類・清涼飲料等の営業現場で、幅広い商品ポートフォリオを活かした営業活動を体感し、業務理解を進めるとともに、製品提案や分析など営業活動の一端を経験する。
- ・ブランドマネージャー: ・当社の主要事業である「酒類」「清涼飲料」「健康食品」において、商品・サービス開発及びブランドマネジメント業務に従事する。・生活者起点かつ柔軟な発想で、豊かな生活文化を生み出すブランディング・商品開発等、「価値創造」の一端を経験する。
- ・ファイナンス・経理:企業の経営課題に取り組むワークや社員とのディスカッションを通じて、財務経理業務の理解を深めます。また、数字やデータを用いた分析を通じて、企業全体の戦略に関わる重要な役割を理解します。さらに、社員との交流を通じて、企業文化やキャリアパスについても学びます。
- ・DXインターン: 当社の主要事業である「健康食品」および基幹システムを開発する主要部署にて、デジタルを利活用した商品・サービスおよびシステム企画の業務に従事する。
- ・商品開発・生産: 当社の主要事業である「酒類」「清涼飲料」における、中味開発、製法開発、原料の探索・評価、品質保証等様々な商品開発業務に従事する。
- ・生産技術(エンジニア): 酒類・清涼飲料等の生産現場および技術開発現場で、「ものづくり」に密着した幅広い生産研究活動を肌で感じ、サントリーで実際に行われている技術開発実験、工程改善案検討、データ解析等の一端を経験する。
- ・基礎研究: 各研究分野において座談会や研究所訪問、グループワークなどを通して
サントリーの基礎研究の幅広さや深さを体感していただきます。
例えば、試料(サンプル)の分析を進めながら、仮説の立案と検証を行う原因究明のアプローチを学び、現象をサイエンスで解明していく業務の一端を体験を行ったりします。
開催スケジュール
サントリーのインターンシップは、コースにより異なりますが多くは3〜10日間程度(1週間前後)で、基本的にフルタイム(日中9:00〜17:30)で実施されます。
開催地は、東京・神奈川・大阪・京都・山梨・熊本・静岡など、コースによって異なります。
報酬はありませんが、交通費の実費と昼食代(1日1,000円)が支給され、遠方からの参加者には宿泊が用意される場合もあります。
募集開始時期・開催時期はコースごとに異なり、以下のような例があります:
- ・セールスマーケティング:10月募集開始/12月開催
- ・ブランドマネジメント・サプライチェーン:10月募集開始/2月開催
- ・ファイナンス・アカウンティング:6月募集開始/8月開催
- ・商品開発:11月募集開始/2月開催
- ・生産技術・生産:5月募集開始/8月開催
- ・基礎研究:9月募集開始/11月開催
- ・DXインターンシップ:6月募集開始/9月開催
- ・ものづくり・製造:7月募集開始/9月開催
最新の情報は、毎年5月頃から公開される「サントリーインターンシップ」特設サイトで確認できます。
インターンシップのエントリー方法・専攻フロー
サントリーのインターンは人気が高いため、選考があります。応募はサントリー採用サイトからマイページ登録し、各インターン募集ページでエントリーシート提出という形です。
選考フローはコースによりますが、一般的に:
- 1.エントリーシート(ES)提出: 志望動機や簡単な課題(例えば「あなたがサントリーで挑戦したいこと」等)を記入します。研究コースでは研究概要の提出(修士以上)や自己PR動画提出を求められる場合もあります。
- 2.適性検査/WEBテスト: 一部コースではWEBテストがあります。玉手箱やSPIタイプの筆記試験や、性格適性検査などのようです。
- 3.面接(または面談): 最終選考として面接があります。学生1人に対し社員1~2人の個人面接が一般的です。
- 4.結果連絡: 面接後、合格者に参加案内が来ます。晴れてインターン参加となります。
選考倍率はコースによって異なります。一般的に研究・エンジニア系は定員10~30名に対し応募数数百名規模、マーケ系は定員60名程度に対し応募千名以上とも言われ、かなり狭き門です。そのため早めの情報収集と対策が重要です。
嬉しいポイントとして、サントリーではインターン参加者に本選考での優遇があります。具体的には、25卒以降の採用より「インターン経由選考」と「オープン選考」の2本立てとなり、インターンに参加した学生はその後の本選考で最終面接のみ(他の面接免除)とされています。要はインターン優秀者はほぼ内定直結のチャンスがあるということです。インターン選考に漏れても、別途オープン応募で本選考に参加可能なのでご安心を(インターン不参加でも選考に不利にはなりません)。
サントリーのインターンは職種ごとにコースが分かれ、実践的な課題や現場体験ができる貴重な機会です。開催時期は夏・冬中心で、期間はおよそ1週間前後、選考はES提出と面接がメインになるようです。。インターン経由で本選考に進めば最終面接へ一足飛びというメリットもあり、志望度の高い方はぜひ挑戦してみる価値があります。人気ゆえ倍率は高いですが、その分得られる学びも大きいでしょう。
参照元:
サントリーホールディングス インターンシップ
サントリーホールディングス 新卒採用情報
選考情報

最後に、新卒採用における選考情報を整理します。インターンを経ず直接本選考を受ける場合も含め、どんな職種募集があり、どんな人が求められ、どのように選考が進むのかを見ていきましょう。
採用職種と必要スキル・専攻
サントリーの新卒採用は部門別採用になっています。2025年度現在、主に以下の職種カテゴリーがあります。
- ・ビジネス部門(総合職): 主に営業、マーケティング、経営企画、管理部門(人事・経理など)を含む文理不問の総合職です。必要スキルはコミュニケーション力、企画力、粘り強さなど。専攻は問いませんが、食品・化学系の知識が営業で活きる場面もあり得ます。消費者志向や市場分析に興味がある人向きです。
- ・生産研究部門(研究・技術職): 理系技術職として、酒類・飲料の研究開発、製品設計、生産技術、品質管理などのポジションです。必要専攻は化学・生物・農学・食品工学・醸造・機械・電気など配属によります。例えば発酵研究なら醸造・微生物系、分析研究なら化学系、エンジニアなら機械電気系、といった具合です。大学や大学院での専門知識・研究経験が活かせます。求められるのは探究心と粘り強さ、そして「おいしさ」「健康」への情熱でしょう。
- ・デジタル&テクノロジー部門(DX・IT職): サントリーのDX推進やシステム開発を担う職種です。AI・データ分析、ITインフラ、EC開発など幅広く、情報系専攻やプログラミングスキルを持つ人材が歓迎されます。ただし「理系文系問わずデジタルに興味があり改革したいマインドがあれば応募可」とされており、独学スキルでも挑戦できます。
- ・製造部門(ものづくり職): 工場の生産オペレーションを担う職種です。ビール工場や飲料工場での製造業務・品質管理などを行います。対象は「理系学部学科全般」。現場でのチームワーク力や改善意識が求められます。
- ・法務部門(リーガル職): 文字通り法務担当の総合職採用です。法学部やロースクール出身者、司法試験経験者などが対象となります。知的財産や国際取引の法務も扱うため英語力もあると望ましいです。
- ・デザイナー部門: パッケージデザインや広告デザインなどクリエイティブ職の採用も別途あります(美術系学生対象)。こちらは選考フローも独自(作品提出等)なので特殊ですが、美大・芸術系専攻でデザインスキルを持つ方はチャンスがあります。
このように幅広い職種がありますが、共通してサントリーが求める人物像というのが公式に示されています。
- ・多彩なフィールドで、お客様一人ひとりの生活文化創造に寄与したい人
– 自分の個性や経験を活かして社会に貢献したいという気持ち。 - ・挑戦と創造にワクワクでき、新しい価値創出を楽しめる人
– 困難にもポジティブに挑み、イノベーティブな発想を歓迎するマインド。 - ・高い目標を掲げ、周囲を巻き込み最後までやり抜く意志のある人
– リーダーシップとやり遂げる力。まさに「やってみなはれ」を体現する人ですね。
要するに、情熱と挑戦心あふれる人を求めていると言えます。理系の場合は専門知識はもちろん大事ですが、それ以上に「この技術でこんな新商品を作りたい!」とか「研究で世界を驚かせたい!」という熱い思いを持っているかどうかが重要でしょう。
エントリー方法・フロー
サントリーの本選考は通常、大学3年生の夏~秋にプレエントリー開始、3年生の冬(2月)頃に選考開始というスケジュールが一般的です。具体的な流れは:
- 1.プレエントリー(情報登録): マイページに登録しておくと、採用情報や説明会案内が届きます。これは早め(夏頃)に済ませておきましょう。
- 2.エントリーシート提出: 本選考解禁後にエントリーシートを提出します。内容は志望動機、学生時代の研究・活動、自己PRなど。部署志望別に問われることもあるようです。
- 3.筆記・WEBテスト: SPI試験や玉手箱など、適性検査が行われます。自宅WEB受検が一般的です。内容は言語・非言語問題と性格診断など。
- 4.面接(複数回): 書類とテストを通過すると面接です。サントリーでは面接を重視すると言われ、計2~3回実施されます。一次面接は人事・若手社員による学生数名とのグループ面接やグループディスカッション形式の場合もあります。二次面接(部門面接)は志望部門の管理職との個人面接が多く、研究内容や志望の熱意を深掘りされます。最終面接は役員面接です。和やかな雰囲気ながら「サントリーで成し遂げたい夢」など本質的な質問が来るようです。
- 5.内々定: 面接をすべて終えると、6月上旬頃に内定連絡があります。内定者には懇親会や研修が内定期間中に用意されることもあります。
合格へのポイント

選考過程では、エントリーシートでサントリー愛やチャレンジ精神を伝えること、面接で笑顔でハキハキと自分の言葉で語ることが大切とされています。お酒を扱う会社だからといって「酒豪でなければいけない」なんてことは全くありません(お酒飲めない社員もいます)。それよりも自分の個性や専門性をどうサントリーで活かしたいかを語れるよう準備しましょう。
なお、前述の通りインターン参加者は最終面接からのスタートになります。逆にインターンに落ちた人でも本選考には全く影響ないので、切り替えてチャレンジしてください。
サントリーの新卒採用では、営業・研究・ITなど多様な職種で募集があり、文系理系問わず挑戦心あふれる人材を求めています。選考はエントリーシート、筆記試験、複数回の面接という流れで行われ、例年3~6月に実施されます。サントリーらしい「新しいことに挑む意欲」や「人と自然を愛する気持ち」をアピールできれば、きっと採用担当の心に響くはずです。ぜひ自分の強みと熱意をもって選考に臨んでくださいね。
サントリー選考突破のコツ【先輩の体験談集】
ここでは実際にサントリーを受けた先輩たちの声をまとめて紹介します。志望動機のポイントや面接でのコツをチェックして、あなたの対策に活かしましょう。
体験談① 生産技術職
志望動機:サークル活動での「顧客視点」を強調。ノンアル飲料の事例を取り入れ、潜在ニーズを捉える力をアピール。
面接のコツ:「やってみなはれ」の精神を自分の挑戦経験と結びつけて説明。自己理解を深め、一貫した人物像を意識。
体験談② 生産技術職(面接詳細)
選考フロー:ES・Webテスト → 1次面接 → 最終面接
面接質問例:就活の軸、研究内容、人生のエピソードなど幅広く質問あり。
ポイント:事前の人事とのやり取りで緊張をほぐし、落ち着いて面接に臨む。企業理念との一致を具体的に語る。
体験談③ デジタル職
志望動機:感性工学の研究を活かし、消費者の潜在ニーズをデータ分析で発見する目標を明確に。サントリーのデジタル活用事例を調査し志望動機に盛り込む。
アピールポイント:論理的思考力や課題解決力、巻き込み力など自分の強みを具体的に伝える。
体験談④ デジタル職(選考軸・アドバイス)
企業選びの基準:「生活に寄り添い感性に訴える」ものづくりへのこだわり。
サントリーの魅力:「やってみなはれ」の挑戦文化や、文化・環境活動への幅広い取り組み。
工夫した点:挑戦経験を具体的に語り、自分の価値観と企業理念をしっかり結びつける。
参考サイト
サントリーホールディングス 企業概要
サントリーホールディングス 事業紹介
サントリーホールディングス 事業所一覧
サントリーホールディングス採用HP よくある質問
サントリーホールディングス グループ企業理念
サントリーホールディングス トップメッセージ
サントリーホールディングス 研究開発
サントリーホールディングス 歴史
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サントリーホールディングス 主なコンペテイション受賞歴
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