こんにちは。理系就活情報局です。
これから就職活動に取り組むバイオ系の学生の中に、こういった話を見聞きして不安を抱えている方はいないでしょうか。
「バイオ系を専攻していると就職が難しい」
「バイオ系の学生には就職先がない」
実際に就職活動を始めてみて難しさを実感している方もいるかもしれません。スムーズに就職先が決まることが理想的ですが、どういった企業にどういった強みをアピールしていくべきなのか、不安を抱えてしまうケースは多いです。
「やっぱりバイオ系は就職に不利なのだろうか」
「就活するときにどういったことに注意したらいいのだろう」
そんな悩みを持つバイオ系就活生に向けて、今回はバイオ系の就職実態と就活のポイントについて解説します!
大学卒業後の進路に悩んでいるバイオ系就活生の方は、ぜひ参考にしてみてください!
バイオ系の学生の就職実態
まずは、気になるバイオ系の学生の就職実態についてです。就職不利というのは本当なのか、また、その理由は何なのか解説していきます。
他の理系学科と比べて就職は厳しい
バイオ系は、他の理系学科と比べて就職は厳しいです。
2023年卒の大学生の7月1日時点の内定率を例に見てみます。
理系で就職志望の学生のうち、「機械・電気・電子系」「情報工学系」「建築・土木系」の学生は9割以上の内定率になっていますが、バイオ系の学生は8割程度です。同じ理系学生であってもかなり開きがあることがわかります。
参考:「【2023年卒】理系の学科系統別活動状況」(リクルート 就職みらい研究所)
バイオ系の学生の就職が厳しい理由
バイオ系の学生の就職が厳しい理由は、大きくわけて2つあります。
1つは、研究内容の汎用性が低く、専門性を活かせる求人が少ないことです。
バイオ系の分野は将来的に期待されていますが、現状、バイオ系の研究や知識をそのまま活かせる企業は少ないです。
今あるバイオ系の研究が活かせる仕事の具体例として、医薬品やワクチンの開発、遺伝子工学を利用した食糧分野での活躍などがありますが、学生に対する求人数は多くありません。
こういった特化した知識、深くピンポイントなスキルが必要となる職種に絞ると、選択の幅が狭くなってしまうという問題もあります。
また、自身が研究してきたこととマッチする企業があったとして、同じようにバイオ系の学生も狙っているはずです。専門性を活かすことのできる企業への就職活動は熾烈な競争を意味します。
もう1つは、バイオ系独自の強みを発揮しづらいことです。
バイオ系の求人に絞らず、知識を活かせる業界・企業を探した場合も不利になる点があります。
例えば、マウスを使った実験、遺伝子解析といったスキルを求める企業について考えてみましょう。バイオ系を学ぶ学生の中には、こういった知識や経験を持つ方もいらっしゃると思います。その場合、スキルを自身の強みとしてアピールができそうですが、他の分野を学ぶ学生も持っている場合があります。さらに、他分野を学ぶ学生の研究の方が汎用性が高く、プラスαの強みを発揮できる場合も多いため、バイオ系の学生に不利に働くことがあるのです。
バイオ系の研究を直接活かせる求人は少ない上、幅を広げると他分野を学ぶ学生の強みに押されて強みが発揮できない。この2つが、バイオ系の学生の就職活動を難しくしています。
バイオ系の学生はどこに就職しているのか
なかなか厳しい就職実態。では、バイオ系の学生はどこに就職しているのでしょうか。
バイオ系の学生に人気の業界を紹介
製造業:専門性や知識を活かせる専門業は人気です。2022年卒のおおよそ28%が就職しているとされています。特に人気なのは以下の業界です。
・製薬・医療業界
・食品業界
・化学業界
人気も実績もありますが、他分野を学んだ学生との競争となる場合が多いです。
情報・サービス業:意外なことに、2022年卒のおおよそ50%が情報・サービス業に就職しています。また、職種が様々であることもバイオ系学生の特徴です。専門的な知識への期待よりも、コミュニケーションなどから個々の強みを期待されてのことと想定できます。シンクタンクや金融業界などに就職する学生も多いようです。
参考:「【2022年卒 就職活動TOPIC】理系の学科系統別で見る“専門性への評価”の違いは?自身の専門性が評価されたと感じる学生の割合に差」(リクルート 就職みらい研究所)
バイオ系の学生に人気の職種を紹介
やはり知識を活かせる研究系の職種は人気!
・生産、製造、生産(製造)技術
・応用研究、技術開発
・基礎研究
自身が学んできたこととイメージが結びつきやすい職種が多いです。
IT系の職種も人気!
・バイオインフォマティクス
・エンジニア
データ分析などはIT業界と親和性の高いスキル。膨大なデータを扱うITとバイオの組み合わせは、近年、注目を高めています。
必ずしも専門性の高さで就職しているわけではない
2022年卒の就活生を対象にした調査によると、「自身の専門性が評価されたと感じた」と答えた学生は、バイオ系では約30%、バイオ系以外では約50%でした。
参考:「【2022年卒 就職活動TOPIC】理系の学科系統別で見る“専門性への評価”の違いは?自身の専門性が評価されたと感じる学生の割合に差」(リクルート 就職みらい研究所)
バイオ系の学生は、他の理系学生と比べて専門性による評価が低い傾向があります。
ただこれは悲観することではありません。
バイオ系の学生は様々な業界・職種に進んでおり、就職先に偏りがないこともわかっています。
研究内容や専門的な知識だけでなく、選考のコミュニケーションの中で欲しい人材と判断されているのです。
バイオ系の学生は専門性以外にも強みを持ち、幅広い視点で就職活動を行っているということがわかります。
では、専門性だけに頼らない自身の強みを活かすためにはどうしたらよいのでしょうか。次の項目で解説していきます。
自分だけの強みを活かせる職場と出会うために
自己分析でキャリアを見直す
研究成果や持っている知識は、他者に説明しやすく、自身も言語化しやすい強みです。こういった履歴書にすぐ書ける強みは、「外的キャリア」と言われています。
「外的キャリア」は、自身をアピールする上で重要です。しかし、それらは唯一無二の強みでしょうか? 同じ分野の学生や、自分より汎用性の高い知識をもった他分野の学生、そういった人達と差別化できるものになっているでしょうか?
自身の働き方を考える上で、「外的キャリア」だけでなく「内的キャリア」を明確にすることが重要です。「内的キャリア」とは、自身の価値観や譲れない軸など目に見えないものを指します。
自分らしい働き方や、やりがいを感じる仕事を見つけることに役立つでしょう。
また、企業へアピールする際、自分の言葉で明確に「どういった働き方がしたいか」を伝えられるようになるので、選考でも好印象になるはずです。自身と企業のミスマッチを防ぐことにもつながります。
「外的キャリア」「内的キャリア」の両方を見直すために、自己分析は重要になってきます。
自己分析を行う過程で、
・これまでの経験の棚卸し
・持っている知識・スキルの明確化
といった「外的キャリア」の見直しに加え、
・自身が大事にしたい価値観の明確化(特に仕事に関わるところでは、キャリアを選択していく上で譲れない軸など)
・自分が関心を持つこと(持ったこと)の洗い出し
といった「内的キャリア」へも気付きにつながります。
自己分析のためのチェックシートや、キャリアプランシートなど、様々なツールがありますので、ぜひ活用してみてください。
「外的キャリア」「内的キャリア」両方を分析して、流されないキャリアビジョンを明確にすることが重要です。
専門性を重視しすぎず幅広い目線で考える
これまでも述べましたが、バイオ系の学生は必ずしも専門性を活かせる企業・職種に就職しているわけではありません。専門性を活かした職業が限られているという理由ももちろんあります。そういった現状を悲観するのではなく、幅広い目線で考えることが重要です。
「自分は何に関心を持つのか」
「これまで目を向けてこなかった分野にも適職があるのではないか」
そういった自身への問いを続けてみてください。
これまでのバイオ系の学生が様々な企業で活躍しているように、専門領域外でも道を切り開くことができるのです。
選択肢を狭めず、自分の価値観と合う企業を探しましょう。
多くの企業の目に触れるよう様々なサービスを活用する
企業との出会いの場を多く持つことは言うまでもなく重要です。
理系の学生の場合、研究活動との両立などで時間が思うように確保できない場合もあると思います。専門性や文系・理系といった枠にこだわらず就活する場合、時間の確保はシビアな問題になります。面接やインターンなどにたくさんの時間を割くことが、他の学生に比べて難しい場合もあるでしょう。
自身の強みとマッチする企業との接点を逃さないよう、様々なサービスを活用することがおすすめです。就職サイトだけではなく、自分に合ったサービスを探してみましょう。
特に理系の学生におすすめなのは、オファー型就活サービスです。逆オファーで、自分が想定していなかった職種や業界との出会いも期待できます。
バイオ系は、業界・職種幅広く目を向ければ、活躍の機会はたくさんあります。
自分の知識やスキルはもちろん、自身の内面にも目を向け、強みとキャリアビジョンを明確にし、自分に合った企業を見つけ出すことが重要です。
これだけは知っておきたいポイント(まとめ)
この記事では、「バイオ系の就職実態と就活のポイント」について解説してきました。
重要なポイントをおさらいします。
・バイオ系の学生の就職実態
①バイオ系は他の理系学科と比べて就職が厳しい
②研究内容の汎用性が低く専門的な求人数が少ない
③バイオ系以外の学生と比較して得意性がアピールしづらい
・バイオ系の学生はどこに就職しているのか
①多いのは情報・サービス業
②製造業 研究職系も人気だが、IT系の新しい分野なども増えている
③専門性に関係なく様々な業界・職種に就職している
・自分だけの強みを活かせる職場と出会うために
①自己分析でキャリアを見直す
②専門性を重視しすぎず幅広い目線で考える
③多くの企業の目に触れるよう様々なサービスを活用する