こんにちは。理系就活情報局です。

あなたはAI(人工知能)について、どう思っていますか?

「オープンAIの『Chat GPT』を試しに使ってみたが、大したことないと思った」

はい。あえて強調しますが「今は」、そうでしょう。

でも、近い将来も、遠い未来もそのままだと、過小評価していませんか?

相手を過小評価して痛い目にあったり、自滅してしまった例は、人類の長い歴史を見れば、それこそあふれ返っています。

AIは、人類の未来を左右する重要なテクノロジーです。過小評価も、過大評価もせず、冷静な態度で接したいものです。

今回は、「機械学習」「ディープラーニング」を通じて、AIが切りひらく世界について、認識を深めてほしいと思います。

AI業界のトレンド 

AI業界のトレンド 

近年注目されるAI業界の市場規模やトレンドの背景。なぜAI市場が拡大しつつあるのか?

こんにちは。理系就活情報局です。

あなたはAI(人工知能)について、どう思っていますか?

「オープンAIの『Chat GPT』を試しに使ってみたが、大したことないと思った」

はい。あえて強調しますが「今は」、そうでしょう。

でも、近い将来も、遠い未来もそのままだと、過小評価していませんか?

相手を過小評価して痛い目にあったり、自滅してしまったりした例は人類の長い歴史を見れば、あふれ返っています。

AIは、人類の未来を左右する重要なテクノロジーです。過小・過大評価せず、冷静な態度で接したいものです。

今回は「機械学習」「ディープラーニング」を通じて、AIが切りひらく世界について認識を深めてほしいと思います。

コンピューティングの進化

コンピューティングの進化

計算→記憶→検索→推論→創造

ここで、コンピュータの歴史を振り返ってみましょう。第二次世界大戦後、まず「計算機」としてこの世に現れました。言ってみれば、そろばんや電卓の代わりです。

その次に、内部の「メモリー」に情報のデータを記憶させる「記憶の機械」になり、さらに、記憶したデータを検索して必要な情報を選び出す「検索の機械」に進化しました。

パソコンのメモリー・ハードディスク・SSDのような記憶媒体に過去の文献・計算結果のようなデータを記憶させておき、CPUに命じてデータの検索を行わせて必要なものをスピーディーに選び出して利用できる機能です。

さらに時代が進んで「インターネット」が登場すると検索できる情報データは記憶媒体の中だけでなく、ひろく地球規模でネット上に存在するようになり、現在に至っています。

AIはコンピュータを「推論マシン」に進化させた

さらに進化した機能が「推論」です。簡単に言えば「過去のデータに基づいて未来を予測すること」です。

人間でも「人口を予測する」「株価を予測する」「裁判の判決を予測する」「事故の危険性を予測する」など、職業として推論を行う専門家(エキスパート)がいますが、得意とするのが、AI(人工知能)です。そのために、いま「AIは将来、人間の専門家にとって代わる」と、言われています。

将来、それは「創造マシン」になっていく

さらに、次の役割としてAIに期待されているのが「創造」という機能です。たとえば、ノーベル賞級の研究成果を生み出す・エジソンのような画期的な発明をする・ピカソのようなすばらしい芸術を生み出すといったことをAIがやってのける世界です。

AIが小説を書いて文学賞を取り、絵を描いて世界の有名美術館で展示され、音楽をつくってヒットし全米チャート1位になる。そんな芸術的な創造も可能になるでしょう。

人間の頭脳を超える「超知性AIマシン」

AIが進化すれば「人類を追い抜く『シンギュラリティ』」が到来することになります。

コンピュータは「超知性AIマシン」に進化し、人間の頭脳を超えて一切の手を加えなくても自ら進化し、自己増殖して、さらなる高みを目指すマシンになる。

そこまで実現すれば、まさに革命的で、「AI革命」という言葉がふさわしいでしょう。

進化したAIを、人間はどうやってコントロールするのか? 実際、コントロールなどできるのか? はたしてそれは人類の未来に幸せをもたらすのか?

人間世界ではこんな課題が、真剣に議論されるようになるでしょう。まるでSFのような状況が、未来には待っているのです。

AIの技術の方向性

AIの技術の方向性

AIが持つ基本性質

AIをビジネスで活用するにはまず、その基本性質を理解する必要があります。

その主なものに「自然言語解析(文章/音声)」「画像/映像解析」「予測」「レコメンド」「価値の発見」「異常検知」などがあります。

・「自然言語解析(文章/音声)」:文章や言葉(音声)をAIが理解して、その分類、抽出、提案、会話を行うこと。

・「画像/映像解析」:画像、映像の認識、検知、対象物の発見などを行う。

・「予測」:過去の行動履歴から予測を行う。

・「レコメンド」:過去の行動履歴からおすすめの提案を行う。

・「価値の発見」:膨大なビッグデータから、人間には認知できないような新しい価値を発見する。

・「異常検知」は、機器の異常や故障などの通知や、その予知を行う。

AIの基本性質を単独で、あるいは複数を組み合わせてサービスを行います。それがAIのビジネスです。

あらゆるモノがAIを搭載する

AIが搭載された半導体チップが搭載されるのは、PCやスマホに限りません。自動車、家電製品、建築物、製造機械、医療機器をはじめ、あらゆるデバイスやセンサーで使われるようになります。その数は全世界で1兆個を優に超えるといわれています。

「IoT(Internet of Things/モノのインターネット)」という言葉を聞いた経験はないでしょうか。将来はさまざまなモノがネットを通じてサーバーやクラウドに接続されて、お互いに情報を交換しあうようになります。そんな環境があればこそ、半導体チップに搭載されたAIはその威力を発揮できるようになります。

つまり、IoTのネット環境があってこそのAI、というわけです。

あらゆる仕事をAIが行う

AIは、人間が行ってきたさまざまな仕事を行えるようになります。

銀行の金融取引も、小売店や飲食店の支払い決済も、旅行会社のプランの提案や予約の業務も、会社の秘書業務も、経理事務や決算書の作成や税務申告も、新聞社やテレビ局のニュースの配信も、学校で教師が行う授業も、AIが人間にとって代わる可能性は、大いにあります。

「AIに仕事を奪われて失業する」と心配する人もいますが、最初にAIに仕事を教えて覚えさせたり、AIがする仕事を監視・監督して、必要に応じて介入して軌道修正させるのは、人間の仕事です。もし、それにAIが反抗したら、電源を切ればいいだけです。

AIがどんなに進化しても、仕事の責任を負うのはAIを利用する人間です。人間がAIに管理されることはありえません。人間が、AIを悪用する人間に支配される悪夢はありえても、「AIに人間が支配される」という悪夢は、「ディストピアもの」と呼ばれる小説や映画やアニメの中だけの話です。

「秘書は全員AI」という政治家は出現しても、AIが政治家になったり、国や自治体のトップになることはないでしょう。企業の経営者についても同じことが言えます。AIは人間と違って、最終的な責任までは負えないからです。

社会全体がAIにつながる未来

AIの技術は社会を変えます。あらゆるモノにAIが搭載され、あらゆる仕事をAIが行い、社会全体がAIにつながる未来を想像してみてください。あなたという人間はAIに、どんな形で関わっているでしょうか?

未来の先取り「機械学習」と「ディープラーニング」

AIの基本的な要素技術にはいろいろありますが、その中でも未来を先取りするキーテクノロジーになりそうなのが「機械学習」と「ディープラーニング(深層学習)」です。その2つの技術について、次からくわしくご紹介していきます。

「機械学習」とは?

「機械学習」とは?

機械学習の定義

「機械学習」は、大ざっぱに言えば「機械にデータを読み込ませて、反復的に学習させる。そこに潜んでいるパターンを機械が見つけ出すことで、分類や予測のようなタスクを実行できる。そんなアルゴリズムを自動構築するテクノロジーです。

AIに「データの学習→パターンの発見→タスクの実行」を自動的にやらせるには、最初に人間がパターンをうまく仕掛けなければなりません。それを手がける技術者は今後、AIの最前線で大きな需要が生まれるようになるでしょう。

機械学習の種類

機械学習は、入力データによって画像認識、テキスト解析、自然言語処理、音声認識、時系列データ解析などの種類に分かれます。

ビッグデータの蓄積が機械学習の精度を高める

機械学習でまず重要なのは「データ」です。データが結果を左右すると言っても過言ではありません。これが基本中の基本です。

たとえばスポーツの試合をする前に、対戦相手のデータが乏しく、チームの特徴、監督はどんな試合をするのかや、メンバー個々人の長所も、短所も全くわからない状態だったら、相手に合わせた作戦が立てられません。試合をしながら行きあたりばったりで探っていくしかありません。効率は悪く、戦力的にはまさっても、誤った判断で敗れる可能性は高くなります。

有名な「孫子の兵法」に「彼を知り、おのれを知れば、百戦あやうからず」とあるのは、「情報、データは、きわめて重要だ」と言っているのです。それは古代の中国でも、AI時代の現代でも、全く変わることのない真理です。

「彼を知る」ためにIoTやネットを駆使して収集した「ビッグデータ」の蓄積は、AIによる機械学習の精度を高めます。データから正しい結論を導き出せる確率、正しいタスクを実行できる確率が向上するでしょう。スポーツの試合にたとえれば、試合相手に対して正しい作戦を立てられる確率、最終的に勝てる確率を高めます。

PoC(Proof of Concept)とは何か?

AIによる機械学習の導入では「彼を知る」ためにビッグデータの蓄積を行いますが、では「おのれを知る」ほうでは、どんなことが行われているのでしょうか?

それは「PoC(Proof of Concept)」です。日本語では「概念実証」と訳されています。

機械学習という新しい手法の実現可能性を見出すために、試作・開発に入る前に、まず技術検証を行って、試験導入を繰り返すことをPoCと言います。

実際には実現したいサービスやプロダクトの簡易版をつくり、それをテストします。

たとえば自動車の新車開発では、粘土で新車の模型を作り、風洞実験で空力性能をテストしますが、ヘラで削って数ミリ単位でデザインを細かく変えながら「空力的に最適なフォルム」を探っていきます。風洞実験によって、コンピュータ上のシミュレーションだけでは得られないようなデータが得られることもあるそうです。

そんなテストのAI機械学習版が「PoC」です。システムの簡易版をつくって技術検証、テストを繰り返し、実証データを得て、「最適」を追求していきます。

AIによる機械学習の技術検証、試験導入すすむ

実際、AI機械学習の活用に向けて、実運用に即したPoCを始めている企業は増えています。

デロイトトーマツグループが調査した「AIガバナンスサーベイ」(2020年1月)によると、すでにAIの利活用を開始した企業は56%を占め、そのPoCを実施した企業のうち70%が本番運用に移行し、60%が実施目標を達成した、という調査結果が示されています。

これを見ても、企業の間でAI、機械学習への関心がいかに高いかを、技術検証から試験導入、本番運用へ進む流れがいかに急ピッチかを、推しはかることができるでしょう。

画像認識のタスク

では、AIの機械学習の中で「画像認識」の部分にスポットを当てて、実際にどんなタスクが行われているか、簡単にご紹介します。

・画像分類 画像が何の画像であるかを識別する

・物体検出 画像内の対象物の場所を検出する

・異常検知 画像の中から異なる状態を検出する

・画像生成 新しい画像を生成する

・姿勢推定(骨格検知) 画像内の人間や動物などの姿勢を推定する

このように、人間が目から得た画像のデータをもとに脳の中で処理していることを、AIはカメラから得た画像のデータをもとに、半導体チップの中で処理しています。

もちろん、純粋に画像認識のカテゴリーの中だけで処理が行われるケースはあまりなく、実際の事例はたいていの場合、画像認識に加えてテキスト解析、自然言語処理、音声認識、時系列データ解析なども組み合わせて処理することになります。

たとえば「接客対応」であれば、カメラの向こうの人間の画像、音声、言語、入力したテキストデータや過去の接客履歴など複雑多岐にわたるデータを、AIは総合的に処理することになります。

口には出さなくても、非言語の表情の変化を画像から解析して判断の材料にする場合もあるでしょう。「AIが人間に近づく」とは、そういうことです。

機械学習で企業の課題を解決する

企業は、さまざまな課題を抱えています。その課題を解決するためにAIの機械学習を利用しようとしています。代表的な課題として「売上向上」「コスト削減」「信頼性担保」「監視/管理」「人員不足解消」の5つを挙げます。

・売上向上 目的は、従来は経験や勘に頼っていたものを明文化し、再現性を高くすることで、売上を伸ばすことです。具体的な事例としては、タクシーの配車予測、小売店舗の来客分析などがあります。

・コスト削減 目的は、直接的な費用や、時間がかかることで発生するコストをできる限りカットすることです。具体的な事例としては、コールセンターの自動化や、点検の自動化などがあります。

・信頼性担保 目的は、精度を向上させて企業や製品の信頼性や安全性を高めることです。具体的な事例としては、がんの検出による診断支援や、原油の備蓄量分析などがあります。

・監視/管理 目的は、長時間にわたる定点観測のように、監視/管理を的確に行うことです。具体的な事例としては、電力の需要・発電量の予測や、ドライバーの安全管理などがあります。

・人員不足解消 目的は、少子高齢化や人口減少などで深刻になっている人手不足を、省力化や自動化で解消することです。具体的な事例としては、宅配便の配達ルートの最適化や、小売店のレジでの商品の自動識別などがあります。

民間企業の機械学習戦略(大企業)

民間企業の機械学習戦略(大企業)

NTTドコモ、東京無線協同組合、富士通、富士通テン

タクシーの配車を行っている東京無線協同組合は、NTTドコモ、富士通、富士通テンと組んで、タクシーの配車予測にAIの機械学習を導入しました。

タクシーの乗客の予測は、従来はベテランのドライバーが持つ土地勘や経験で補っていました。それはたとえば「金曜日の夜の東京の盛り場では、埼玉県方面の終電の時間が過ぎると、長距離客が拾える。雨の日はより有望」というようなものです。

そこへ、AIの機械学習による予測モデルを活用すれば、経験や勘に関係なく新人ドライバーでも高い精度で長距離利用客がいそうな場所へタクシーを移動させることができ、乗車率を向上させ、売上を伸ばすことが期待できます。

また、利用者の待ち時間を減らせるので、顧客満足度の向上も期待できます。

実証実験の結果、4か月間でタクシードライバーの平均売上が1人1日あたり1409円アップするという成果を残しました。

JapanTaxiはトヨタ自動車、KDDI、アクセンチュアと組んでAIの機械学習を試験導入し、利用したドライバーの1日あたり売上が平均で前月比20.4%増という成果を残しています。

DeNAはタクシー配車アプリ「MOV」に、AIを活用したタクシーの需要供給予測を行い、ドライバーに乗車の可能性の高い場所への経路を提案する機能を持たせています。

タクシー業界はドライバーの高齢化や人員不足が懸念されていて、日産自動車とDeNAの「Easy Ride」など「AI自動運転タクシー」に注目が集まっています。公道での無人車両の実証実験も行われています。

セブンイレブン・ジャパン

セブンイレブン・ジャパンはは千葉県内のフランチャイズチェーン(FC)加盟店と直営店の約1100店で、AIの機械学習(時系列データ解析、画像認識)を活用した発注のテストを実施しました。

対象はカップ麺など加工食品や菓子など約2500品目で、AIが流通データ、販売実績データ(POSデータ)、天気予報、実際の天候など13の要素を分析し、最適な発注数を提案。それをふまえて店舗の担当者が最終発注を行いました。

その結果、実施店舗で売上の向上、過剰在庫の削減などの効果がみられました。

小売業では、AIの機械学習の導入で、店舗の顧客の動線分析や属性分析など今まで取得できていなかったデータが取得、可視化されることで、従来は担当者の経験や勘に頼っていた店舗内の商品の配置、発注の最適化が数値ベースで的確に行なえるようになります。そんな改善が売上の向上につながります。

すでにコンビニなど小売店舗、飲食店の多くでは、実証実験や導入が行われています。

キリンホールディングス、サイシード

AIによる機械学習を応用したシステムに「チャットボット」があります。これは問い合わせへの対応を自動的に行うことができるものです。

チャットボットには社外向けと社内向けがあります。社外向けは、ウェブサイト経由のお問い合わせ対応など顧客とのコミュニケーションを円滑にするもので、社内向けはヘルプデスク対応などもっぱら社員とのコミュニケーションを円滑にするものです。

社外向けでも社内向けでも、問い合わせへの対応を自動的に行うことで、顧客サポート部門の負荷軽減、問い合わせにかかる時間の短縮、人的コストの削減などが期待できます。事務部門で実際に導入している企業はどんどん増えています。

キリンホールディングスはサイシードと組んで、消費者の問い合わせ窓口ページにチャットボットを導入しました。機械学習の「音声認識」「テキスト解析」のテクノロジーを利用して問い合わせの内容を分析し、過去の問い合わせ情報などデータの蓄積を活かして、自動的に回答を行います。「それでもわからない」など、必要に応じてオペレーターにつなぎます。

導入の目的は問い合わせにかかる時間を短縮し、利用者の利便性向上、オペレーターの負担軽減、人員不足解消を図ることですが、それが結果的にコスト削減につながっています。

「コールセンター」を運営する企業では現在、人材の確保という課題が深刻化しています。全て人間の力だけでコールセンターを運営していると、営業時間中に限られた人数にしか対応できず、電話が集中してつながりにくい、営業時間外でも対応してほしいなどの課題が残されていました。

それを、AIによる機械学習を活用し、自動的に応答できれば、営業時間外の対応が可能になり、より多くの人に対応ができますし、それによってコールセンターの人員コストの削減、ユーザーの満足度向上、利便性の向上が期待できるので、さまざまな業界で導入が進んでいます。

ディノス・セシール、Hmcomm

通信販売のディノス・セシールは、テレビ通販を放映してお客さんからの注文電話が殺到する時間帯に、オペレーターだけでは対応しきれないという課題がありました。

そこで、お客さんからの電話の内容をAIの機械学習によってリアルタイムで音声認識し、注文書を自動作成する「集中呼自動応答受注システム『VContact』」をHmcommと共同開発し、運用しています。

Hmcommはヤマダ電機と組んで、夜間などコールセンターの営業時間外でも修理受付を実施できるようにするために音声自動応答システム「Terry」を開発しています。

どちらもコールセンターの効率化、コストの削減だけでなく、ユーザーの利便性向上、顧客満足度の向上にも寄与しています。

佐川急便、SGシステム、フューチャーアーキテクト

AIによる機械学習には、手書きの文字のデータの蓄積をもとにした「文字認識」のテクノロジーもあります。それを活用して、従来は人の手で入力していた書類の入力作業を、手書き文字を認識して自動入力するシステムに置き換える活用例が出てきています。

作業時間が大幅に削減され、コスト削減につながるので、物流、金融、保険などさまざまな業界での導入が進んでいます。

佐川急便、SGシステム、フューチャーアーキテクトは共同で、荷物の配送伝票の手書き文字を読み取ってシステムに自動入力するシステムを開発しました。

繁忙期には1日に100万枚もの配送伝票の情報を人の手でシステムに入力していましたが、この新しいシステムが稼働すると、作業時間は月間約8400時間も短縮できました。

手書き文字の認識精度は99.995%以上に達していて、高い品質のデータ入力が実現できています。

「機械学習」の代表例(中堅企業)

「機械学習」の代表例(中堅企業)

株式会社カカクコム

カカクコムは、購買支援サイト「価格.com」、レストラン検索・予約サイト「食べログ」、求人情報の一括検索サイト「求人ボックス」不動産住宅情報サイト「スマイティ」、宿泊旅行の情報メディア「icotto」など、人々の生活に関連する20以上のWebサービス、アプリを提供しています。

ミッションとする「ユーザー本位」の考え方のもと、大規模サービスならではの膨大なトラフィックに耐えうるアプリ、インフラが求められていて、それに伴うさまざまな課題を解決するためにAI、機械学習を積極的に取り入れています。

「機械学習エンジニア」の仕事は、次のようなものです。

カカクコムのサービスにはそれぞれ、商品や店舗の情報、口コミなどの膨大なデータがあり、それを利用する多数のユーザーが存在します。そのおびただしいデータ、ユーザー行動を分析し、機械学習の技術を用いてサービスの利便性、運用性を向上させるために、システムの設計、システムの実装を手がけています。目指すのはユーザー本位のサービスの改善です。

そのためにビッグデータを活用するためのデータマイニング技術、AIのディープラーニング(深層学習)など、技術の最前線を追求しています。AIエンジニアとしての市場価値を高められる環境です。

エンジニアの多くは在宅勤務を行っていて、働く環境の見直しは随時行っています。メリハリをつけて働こうという文化があり、エンジニアの月間平均残業時間は21時間程度。「働く楽しさ」「働きやすさ」をモットーに、ワークライフバランスをとりやすい環境です。

ビジネスとして「実装段階」に入ったAI(まとめ)

実験段階から実証実験を経て「実装段階」へ

ここまででわかるように、機械学習などAIのテクノロジーはすでに実験段階、実証実験を経て、「実装段階」に入っています。多くのシステムがすでに稼働を開始し、社会の中で活躍しています。要素技術の開発だけでなく、AIを実際のビジネスに落とし込むシステムの設計、運用・保守など、AIエンジニアの活躍の場は、大きくひろがっています。

少子高齢化で生産年齢人口減少、生産性向上の期待

日本社会でのAIの強みは、それが「人員不足」への解決策の一つになっていることです。日本は少子高齢化で生産年齢人口が減少し、思うように人が雇えなくなっています。それは年々、ひどくなる一方です。その解決には人一人あたりの生産性を高めて対応するしかなく、そこで大きな存在感を発揮するテクノロジーが、AIなのです。

ですから当分の間、AIの需要は増えこそすれ、減ることはないでしょう。AIエンジニアの需要もまた、増えこそすれ、減ることはないのです。

コストパフォーマンスの悪さなど過去の失敗から学ぶ

AIでは、過去のデータの蓄積が大きく物を言います。そのデータには、成功のデータもあれば、失敗のデータもあります。成功のデータばかりでは、AIは状況の変化に対してもろくなりかねません。失敗のデータが多いからこそ、失敗の原因を真剣に分析して、失敗を避けるにはどうすればいいかという手法が確立され、状況の変化に強い、より信頼性の高いシステムができあがります。

これまで、日本の社会システムにも産業界にも、生産性の悪さ、言い換えればコストパフォーマンスの悪さという問題点がつきまとってきました。ですが、そうした失敗のデータは、見方を変えれば課題解決を有利に導く「財産」とも言えます。AIを使えば、これだけコストパフォーマンスが向上するという「磨けば光る原石」が、たくさん転がっています。

AIそれ自体も。AIエンジニアも、成功から学び、失敗から学びます。成功も失敗もデータが蓄積している日本は、世界的なスケールでAIの仕事をする上で、アドバンテージになっていると言えるでしょう。