学生時代にアルバイトを経験した人は多いと思います。どのような職種であっても、それぞれに苦労があり、時には怒られたり褒められたりしながら「稼ぐことの大変さ」を学んだのではないでしょうか。

しかしこれから社会に出れば、仕事の内容も、責任も比べ物にならないほど広く、重くなっていきます。アルバイトと企業に入社してこなす仕事は全く別のものだと考えなければなりません。ここではその違いを理解し、企業がぜひ採用したいと思える人材について考えていきます。

仕事人とアルバイトの違い

仕事人とアルバイトの違い

仕事人(しごとじん)とアルバイトの一番大きな違いといえば、仕事人が行っているのは「仕事」で、アルバイトが行っているのは「作業に近い業務」だということではないでしょうか。まずは両者の違いから見て行きましょう。

アルバイトの仕事は限定的

アルバイトの仕事はその多くがマニュアル化されています。店長やリーダーといった人から指示を受けて、その通りにこなしていけば問題は発生しません。アルバイトに責任がないとは言いませんが、仮に何かマニュアルにない事態が起きた場合、店長などに相談をすれば後始末はその人たちがやってくれるはずです。

またアルバイトの仕事は、自分の本業(学業など)の間に時間を区切って行われるものです。あらかじめ決められた時間内にしっかりと働けばそれで十分であり、仕事は収入を得る手段なのです。

仕事人とは

一方、仕事人とは企業に所属して働いている人で、言ってみればプロなのです。会社の業績と自身の給料・賞与は一心同体です。

課やチーム、グループという単位で、大きなテーマに取り組む必要があり、そこにはチームワークが必ず必要になってきます。また、他の課や部署とも連携をしていくことも必要ですし、部署や部門が異動という形で変わっても、企業という中での人間関係はずっと続いていきます。そりが合わないから関わらないという選択肢はそもそも存在しないのです。

また仕事人には大きな責任が付いてまわります。不祥事があれば責任を問われるのは自分だけでなく、上司やもっと上の人にも影響を与えてしまいかねず、企業のイメージを損ねる可能性も否定できません。

就職して仕事人となったなら、学生のように手取り足取り仕事を教えてもらえると思ってはいけません。先輩や上司も自分の仕事があり、その中で新人のフォローもしなければならないからです。教えてもらうのが当たり前なのではなく、教えてくれることに感謝しなければならないと思うくらいでちょうどいいのではないでしょうか。

給与から見る仕事人とアルバイトの違い

アルバイトの給料は時給換算で支払われることがほとんどです。これは雇用者(店舗など)に対して労務(労働)を提供し、対価として賃金を得ているということにほかなりません。

一方、仕事人の給与は企業が生み出す価値から支払われていると言っていいでしょう。

①企業は顧客に対して商品やサービスを提供し、②顧客からその代金を受け取ります。しかし実際には、顧客はその商品やサービスが自分の役に立つという「価値」に対してお金を払っているのです。そして、そのうえで③そのサービス提供の対価から給与が支払われるのです。つまり、労働そのものではなく、生み出す価値が給与を作っているのです。

ですから、仕事人は企業という組織がどのように利益を上げているのかを理解し、自分がすべきことや役割を果たさなければなりません。座っているだけでは何の価値も生み出すことはできないと、きちんと理解することが必要なのです。

①企業(およびその社員)は顧客に対して商品やサービスを提供

②顧客からその代金を受け取り

③サービス提供の対価から給与が支払われる

上記を理解するのが仕事人としての第一歩です。給料がもらえるからといって価値を生み出さずに定時が終わるまでなんとなく時間を過ごすということでは仕事をしていないに等しいと言えるでしょう。

一方、アルバイトにはそこまでの責任も理解も必要ありません。学業などを優先できる反面、周囲から多くを期待されることもないのです。しかしながら、アルバイトであっても上記のような仕事人としての意識を持つことはできます。そのような意識により、ただ淡々と働いていたのでは見えなかったものも見えてくるのではないでしょうか。

学生気分が抜けない新入社員が増えている

学生気分が抜けない新入社員が増えている

ここ最近、学生は全体的に受け身の姿勢が強く、自分から積極的に動くという部分が欠けていると見られがちなことをご存じでしょうか。それは時に「仕事に対する真剣さが足りない」「仕事をしようとする意識が見えない」といったマイナスな感情を生み、「最近の新入社員は学生気分が抜けなくて困る」という評価につながってしまうのです。

受け身な姿勢が抜けない理由

多くの学生が受け身であることは、おそらく今までの人生の中で得た経験から生まれたものではないかと考えられます。

教師や教授といった人たちから目を付けられないように常に安全運転を心がけ、言われたことをきちんと行えば良い成績を取ることができたのではないでしょうか。そういった経験が「言われたことを無難に行うのが正しいやり方」という考えに繋がっている可能性があります。

パソコンやスマートフォンが普及しているという現状も理由のひとつだと思われます。分からないことは検索して調べれば、簡単に答えにたどり着けるからです。その行動は「自分の頭で考えて行動する」「経験から学ぼうという意識を持つ」という大切な考え方から人を遠ざけてしまっているのかもしれません。

就職後の仕事はアルバイトではない

お話してきたように、言われたことをきちんとこなすだけでは企業の中ではやっていけません。自分が担当する仕事はどういうものなのか、その仕事は社会にどのような価値を生み出すことができるのかといった目的意識を持って取り組まなければ、仕事人として成長することはできません。

自分からは動かずやり抜こうとしない主体性のない人材や、物事を深く考えずに成長しようという気持ちのない人材は、結果として企業のお荷物になりかねないと肝に命じておきましょう。

社員とアルバイトの意識の違いを理解しておこう

社員とアルバイトの意識の違いを理解することで、学生気分から抜け出せます。その意識の違いとは、責任感と主体性です。職場にもよりますが、アルバイトの場合は最終的には責任を上司に任せることができるもの。一方で社員=仕事人の意識は、自分で学び・考えて役割を全うすることが求められます。仕事人は自身も組織の一部を担っていることを自覚し、企業の名前を背負って課題に向き合うことが基本なのです。

責任の範囲は組織やポジションによって変わりますが、責任感や主体性なしでは社員=仕事人としての働きはできません。この「働く意識の違い」が理解できれば、いち早く学生気分から抜け出すことができるでしょう。

企業が新入社員に期待していること

企業が新入社員に期待していること

学生が企業に就職すると、最初に新人研修を受けることになります。この新入社員研修は、一日も早く学生気分を取り去って仕事人としての心構えを持ってもらうことを目的に行われます。

新入社員研修の内容

企業によって多少の違いはありますが、多くは以下のような内容を学びます。

・社会人として必要な心構え

・会社の仕組み・ルールについて

・コミュニケーション(人間関係の構築方法)

・上司や関連各所への報告・連絡・相談の大切さ

・企業が守るべきルールや社会規範(コンプライアンスといいます)

これらは仕事人として、組織の中で働き、前向きに成果を上げる人材となるために必要な「基本的」な事柄です。これはこれからキャリアを積んでいく新入社員のいわば「土台」となる部分ですから、ここがしっかりしていなければ、その上にはどんな立派な建物も建てることはできないことを覚えておいてください。

企業が新入社員に期待していること

新入社員研修で行われる内容は基本だということを前項でお話しました。これは実際に仕事をし始めれば、すぐに実践しなければならないことばかりだと気が付くでしょう。

企業側も新入社員が最初から何でもできるとは思っていません。全ての仕事人も最初は新人であり、誰もが努力を重ねた結果として一人前になったことを経験として知っているからです。

ですから新入社員には、何事も最初から上手くやることはできないという自覚を持ってもらい、分からないことを放置したりせずに、自分で調べたり人に聞いたりしてきちんと解決して前に進んで欲しいと考えています。

・先輩や上司の指示を待つのではなく、自分からできる仕事を見つけて積極的に動く

・上司や関係各所への報告・連絡・相談(ホウレンソウ)をきちんと行える

・上司や先輩を含め、まわりとコミュニケーションを取る

このようなことを繰り返してしっかりと身に付いた頃には、職場にも慣れて気持ちにも余裕が出てくるはずです。視野も広くなり、仕事を効率よく行うことができるようになってくることでしょう。その仕事を行う意味や、その仕事をしなければならない理由を考え、自分の意見を持って、より大きな仕事に挑戦できる人材へと成長して欲しい・・・。それこそが企業が新入社員に期待していることなのです。

つまり、この期待に応えられる可能性が高い学生を採用することが人事の仕事といえます。

この観点から、例えば、自ら挨拶やお礼やお詫びもできないような人は、受入れ後の教育において思いやられるので採用できないということが言えます。

現場を知って働き方の違いを把握しておく

入社後の研修を頼りにするのもよいですが、就活と並行して現場に触れる努力をすることも大切です。例えば、インターンなどに参加することができれば、実際に働き方の違いを知ることができます。自身が仕事人になるうえで、不足しているスキルや心構えを見つけることも可能です。働き方の違いが分かることはもちろん、現場を知ることで、大きく自身を成長させることができるでしょう。

理系就活生が社会人となるための心構えが必要

理系就活生が社会人となるための心構えが必要

就職活動の面接では、何気ない質問の中から学生の本質を見抜こうと企業は知恵を絞っています。特に社会人になるという心構えがあるかどうかは非常に重要なポイントになります。

面接で「正社員とアルバイトの違いは何だと思いますか?」と聞かれる理由

就職活動の面接で「アルバイトと正社員の違いは何だと考えていますか?」という質問をされたという学生は多いようです。突然聞かれて言葉に詰まってしまったという話もよく聞きます。

もちろん、企業は労働条件や仕事のやり方などを聞いている訳ではありません。

機転が利くかどうかという意図で質問されることもありますが、多くは学生の心構えを聞いているのです。

企業はこの質問の答えから、「この学生は社会人になる準備ができているのか?心構えはあるのか?」ということを確認したいと考えているのです。学生が企業に入社し、活躍できる人材になる素質があるかを見極めるのが人事の仕事ですから、その点を踏まえて回答することが求められます。

面接官はこんなところを見ている

面接を通してその学生が、企業が求める人材かどうか見極めるポイントはいくつかありますので、ひとつずつ確認していきましょう。

・コミュニケーション能力

面接の受け答えから判断されるのは、仕事をする際に必要なコミュニケーションの基本的な能力です。会話力と言ってもいいかもしれません。社内外の多くの人たちとかかわっていくために非常に大切な能力のひとつです。

・困難に立ち向かう力

これは「学生時代に頑張った事を教えてください」という質問で判断されることが多い能力です。困難な状態に陥った時、どのように向き合い、克服していったのかを聞くことで、ストレス耐性や粘り強さなどを知ることができるのです。

・協調性・チームワーク

「学生時代に頑張った事は何ですか?」「部活・サークルでの役職はありますか?」といった質問で判断されることが多い能力です。また、グループディスカッションのような場で判断することもあります。

チームやサークルなどの団体活動の中で、協力しながら自分の役割や責任をきちんと果たしてきたのかを確認し、入社後にまわりと上手くやっていけるかを見ていると言えます。

・主体性

こちらも「学生時代に頑張った事を教えてください」という質問で判断されることが多いです。

学生時代に主体的に活動したのかどうかを確認しています。受け身の学生が多くても、入社後はすぐに自分で考えて行動することが求められます。

仕事という枠の中で、いかに自分の考えを形にしていくかが仕事のやりがいでもありますから、主体性の有無は採用担当者にとって非常に重要なポイントなのです。

面接経験を積むことで社会人の心構えを知る

いくつかの企業にエントリーし、面接を通して社会人の心構えを把握しておくことも良い方法です。例えば、TECHOFFERなど無料の逆オファー型就活サイトを活用すれば、就活を進めながら効率的に面接経験を積むことができます。面接時に質問をしたり説明会などへ参加することで、仕事人として必要な心構えを知ることができるでしょう。

TECHOFEERは専攻や研究内容、志望職種や業界をなどプロフィール登録するだけで簡単に利用することができます。企業からのオファーは、登録者平均約20社。早くから登録すれば幅広いオファーを取り込むことができますので、早期の登録が良策です。

▼あなたに合った企業の情報が届く▼
TECH OFFERで優良オファーを受け取る

これだけは知っておきたいポイント(まとめ)

今回の記事のポイントは、以下の3つです。

・言われたことをするだけの人材を企業は求めていない

・早い段階から、仕事を行うための心構えを学んでおく

・自分には企業で活躍できる能力があることを、面接等でアピールする必要がある