吉田:本日はよろしくお願い致します。さっそく質問させていただきたいのですが、御社の事業内容について教えていただきたいです。

鈴木社長:事業としての特徴は2つあります。「モノ認識」と「モバイル」です。モノ認識はバーコードやICタグ、赤外線通信での認識であったり、画像認識、センサー技術など、このようなところを使ったものが中核の技術です。そして、スマートフォンと技術を合わせてお客様の業務を改革しようというのが我々のミッションです。
具体的にはアズリーダー事業とシステムインテグレーション事業の2つがあります。前者はハードウェアであったりとかサービスを我々のブランドとしてやっています。後者はお客様のニーズに合わせて、スマホに載せるアプリを作ったり、お客様の基幹システムとの連携アプリなど、そのようなものを受託開発としてやっています。
我々はこの2つが両輪の事業だと思っていて、ハードウェアだけを作っているわけではないため、お客様の要望から製品化されることもあります。なので両輪でやっていることにすごく価値があると考えています。

吉田:ありがとうございます。もう1つあわせてお聞きしたいのですが、お客様の要望やお客様から出てきたアイデアを自社の製品に結び付けたり、そういうこともされているのですか。

鈴木社長:そうですね、我々の考え方としてはお客様のニーズが一番重要だと思っているので、自分がこうだったらいいだろうという勝手な妄想ではなく、お客様のニーズを吸い上げていくのは重要かなと思ってますね。

吉田:ありがとうございます。次の質問なのですが、御社の中で他社に負けないと自信を持って言える強みがあればぜひ教えて頂きたいです。

鈴木社長:えーと、やる気と熱意かな(笑)。冗談のように思われるかもしれないですけど、実はこの部分はかなり重要だと僕は思っていて。技術を大切にしていこう、技術を革新していこうという半面、やっぱり日本の企業でそうしたマインドというのは、これがあるからこそ世界に挑戦していけると僕は思ってるんですね。サッカーやラグビーでも、日本の強みって、世界で戦っていけるのはやっぱりチームワークや熱意があるからですよね。根性論だけではだめですけど、そのようなところを兼ね備えていることは大切だと思います。僕たちの取引先ではトヨタさん、東急ハンズさんだとかそのような大手の企業が多いですが、そのようなところとの取引だとしても、コンペで負けるんじゃないかという考えは持ってなくて、ガツガツ当たってガツガツ奪っていく精神を持っていることが、僕は一番会社としての強みだと思っています。

吉田:なるほど、そうすると例えば社員さんに対してやる気や熱意を出させるというか持ってもらうために、普段意識されていることはありますでしょうか。

鈴木社長:これ僕が書いた上場記念に出した本なんですけど、例えばこのようなところで考え方を共有したりしているんですね。共有の部分においては、結構なんというか古い会社さんたちが重要視された考え方を僕たちが継承していることが多いですね。そのような部分を意識してやりましょうってことで、例えば毎朝、社員が出社する前に、「明日のためのアスタリスクタイムズ」を僕の方から発信しています。僕の思うことや、考え方の一節を単元で切り取ってみんなで見てもらうことで共有したり、正しい熱意を持ちましょうと訴えています。また、「全体会議」を月に1回やっているんですけど、僕はこう思う、こうじゃないの?ということを、みんなで切磋琢磨して発言する環境づくりを意識してやっています。

吉田:ちなみにその本のタイトルを教えていただいていいですか。

鈴木社長:「あしたをつくるアスタリスクの哲学」です。

吉田:ありがとうございます。ぜひ読ませて頂ければと思います。

鈴木社長:実は非売品なんですよ、もしよければ一冊送りますよ(笑)。この中の一番最後の方に書いているんですけど、みんなで楽しんでいこうという精神が根底にあるんです。きっちりやることだけが先行すると、なんか住みづらいきちきちした感じになってしまうので、そういう心でやりつつも、いろんなことを発散して他社や人とは違うアイデアなどを出してくことによって、もっともっと楽しんで仕事をやっていこうよ、熱意を持ってガツガツやっていこうよってことなんです。

吉田:ありがとうございます。アスタリスクタイムズや全体会議は御社特有だなと思ったのですが、その他に御社特有のユニークな社内制度や仕組みがあれば教えてください。

鈴木社長:9連休推奨制度っていうのを行っていて、年に2回は9連休を取りましょうというのを推奨し提案しています。これはお盆やGWや正月にとる人も多いですが、それ以外の平日に取る人もいます。例えばごっつい安い期間にハワイとか行けたらいいじゃないですか?(笑)そのようなところで9連休を取って役立ててくださいということをやってます。休みたくない人もいるでしょうが、勝手に付与されて、自分で選択して休日を作れる制度です。あとは資格を取ると報奨金が出ますが、これは結構普通で、技術者が多いので、スキルを付けるためにみんなで取っていきましょうという制度ですね。僕も今年1個資格取りました。まあ僕は報奨金もらえないですけどね。

吉田:(笑)

吉田:ちなみに9連休制度は社員の方々からの要望ですか、それとも社長が考案されたのですか。

鈴木社長:多分後者だったと思います。もしかして要望聞いたかもしれないですけど、聞いてたとしても酔っぱらっていたと思いますね(笑) 自分が思いついたかのごとく言っているかもしれないですが。

吉田:(笑)

吉田:そうなんですね。ありがとうございます。次の質問をさせて頂きたいのですが、御社が新卒採用において求める人物像があれば教えていただきたいです。

鈴木社長:正直なところ、一緒に働きたいと思う人間性ですね。人と人なので、この人と働きたいと思わせることが大事で、いい大学を出ていようが技術的な部分が優れていようが、一緒に働きづらいところがあると難しいので、第一は人間性。あとは、それぞれのポジションがあるので、それに合わせた形のスキルをチョイスしていくことになるかなと思います。ですので強い武器を持たれている方、例えば、こういう勉強をしてきたのでこの分野は得意です、という方もいるし、論理的思考力に優れている人もいるし、文章を書かせたら素晴らしいという方もいるし、そのような1つ光るものがある方は魅力を感じたりしますね。

吉田:同じタイプを採用するよりは、それぞれの個性を拾い上げて、適材適所で採用するということですか?

鈴木社長:基本的にはそうですね。最近は同じようなタイプだなと思う学生さんも結構いたりしますけど。

吉田:わかりました、ありがとうございます。「一緒に働きたいと思うかどうかだ」というのは私も就職活動をやっているときによく条件として言われたんですけど、具体的にこういう学生さんだったら一緒に働きたい、みたいな特徴があれば教えていただきたいです。

鈴木社長:清潔感があったり、態度や対応に好感が持てる人ですかね。これは恋愛と同じだと思うのですが、どんな子が好きですかってときに、小柄なかわいい女の子も好きだし、もうちょっと綺麗なお姉さんも好きだったりするじゃないですか。

吉田:そうですよね。

鈴木社長:ですよね。ですのでどのタイプでもそれぞれの良さがあるので、共通している部分でいうと、このタイプなんだけど、このタイプとして好きって感じですかね。逆にいうと、ネガティブ思考やマイナスイメージを持っているようなところがちょこっとでも見えると、うーんと思います。

吉田:そうなんですね、ありがとうございます。ちなみに、社長が新卒採用の面接などはされるのですか。

鈴木社長:基本最終面接は僕が行いますね。

吉田:社長自ら行うんですね。次の質問をさせて頂きたいんですが、御社に入って経験できることをぜひ教えていただきたいです。

鈴木社長:いろんなことに挑戦できるところだと思います。逆に言うと、いろんなことをやらされると思う方もいるかもしれないけど、挑戦することに対して止めることがないというか、まあ無謀なことは止めますけど。こんなことをしたいということがやりやすい環境だと思います。また、いろんなことを話しやすい環境かなとは思います。基本的に上だから下だからという考え方はあまりないですね。僕だって雑用もしますし、そういうところではなくて、みんなでビジネスという試合、ゲームで勝っていこうよという思いでやっているので、そのビジネスというゲームの中では、みんなそれぞれが主人公としてやれるので、まあそういう意味では、主体性がある人にとってはやりやすい部分ではないかなと思います。

吉田:ありがとうございます。次の質問なんですけど、鈴木社長のもともとの経歴について教えてください。

鈴木社長:どこから話したらいいですか。

吉田:大学生のころから教えて頂いてもいいですか。

鈴木社長:そうですか、じゃあ高校生の時からお話ししますね。

吉田:(笑)

鈴木社長:まず、うちの会社は高校時代のラグビー部の同級生3人で創った会社なんですよ。僕は大学では数学を専攻していて、大学での勉強がかなり面白いと思い、そこで数学にのめり込んだ部分があります。数学をやっていて論理的思考が得意で、それをきっかけにSEになろうと思い、就職したのが東レのシステム部門でした。就職活動がとても好きで、60社ぐらい企業訪問をしました。そうした中で、だいたいどの企業も一緒だなっていうのが見えていくる。ただ、面白いなと思った部分や文化、考え方、メモしてたノートとか、取り入れたいなと思ったことは自分が起業するときに取り入れました。例えば「新入社員であっても社長であっても全員さん付けで呼ぶ」、みたいな文化は他社様の文化で素敵だなと思って取り入れました。東レに就職して、10年弱東レにいましたが、東レって繊維メーカーで、繊維だったりプラなどの素材メーカーなので、システム部門は下に見られるんですね。システム部門の中ではエリートコースに乗っていたのですが、あるとき、東レの子会社の常務から、システム部門はビジネスのことは考えず、サポートしてくれればそれでいい、と言われ、僕はビジネスがすごく好きであったのに、感覚が違うなというのが出てきたのが1点と、起業する1年半ぐらい前に父親が胃がんになって助からないということを医者から言われ、そのとき息子ができて、というタイミングでしたので、自分は人生の真ん中ぐらいを歩んでいるなと思ったんですね。残りの後半で何がしたいか、何をするべきかなというのを考えて、自分でシステム系の会社を作ってビジネスを楽しもうと思ったのが、そのときの思いです。そのときに高校時代の同級生の熊本っていうのを誘って、2人でしようかなと思ったんですけど、自分は理系出身で営業ができないと自分で思っていたので、しゃべるのが得意な人間をもう1人誘ってやったのがきっかけです。

吉田:サポ―トで終わるのが嫌だったということですか。

鈴木社長:とにかく仕事がめっちゃ面白かったんです。お客さんに提案したり、それで業務が変わっていくとか、それで喜んでくれて、感謝してもらえるとか。それがかなり楽しくて、ビジネスにはまり込んでいったんですね。

吉田:就活当初から、将来起業しようかなみたいなことは考えていたのですか。

鈴木社長:あんまりなかったですね。多少はあったかもしれないですが、学生時代は人間的にあまり出来ていなかったので。損得勘定で物事を考えていたんですね、人間なんで損得勘定も必要なんですけど。ただ、それではなかなかうまいこといかないので、今の学生さんとかで「こいつ出来てへんな」と思っても、前の自分と同じだなと思ってます。

吉田:御社のホームページを見ていて、モットーとして笑顔の創造を掲げていらっしゃって、人類社会への貢献をしたいと書いていらっしゃいましたが、社会貢献をしたいという欲求は当初からお持ちだったんですか。

鈴木社長:笑顔というのは自分の人生の中でも持っていた部分ではあるので、起業どうこうではなく、自分としても大切にしたいなと。自分だけでなく、周りの笑顔も。僕はそういう風なのがいいと思ってますんで。そもそも東レに入ってビジネスが面白いと思ったのは、一生懸命やる中でいろんな人が喜んでくれたことでしたので、それが、言えば社会貢献というところに繋がるのかなとは思います。そのようなところで一生懸命仕事を始めるまでは、そういうことは考えてなくて、学生時代は損得で決めていたかなと思いますね。

吉田:東レに入社されて、お客様が喜んでくれることで社会貢献というのは楽しいなと思われたということですね。

鈴木社長:そうですね。

吉田:わかりました、ありがとうございます。学生に向けてのメッセージ、または学生のうちに経験しておいた方が良いことがあれば教えてください。

鈴木社長:僕は東レに入ってからビジネスを一生懸命頑張って、というところで、僕が思ったのは、ビジネスはめちゃめちゃ面白いって思ったんですよね。ドラクエよりもぷよぷよよりもビジネスは本当に楽しいゲームだと思っています。飽きないし、次から次へと新しいことが出てくるし、大魔王クッパのような大きな課題が出てくることもあるけど、それに勇気を持って立ち向かってやっていくと、クッパもちゃんと倒せる、ということをやっていけるゲームだと思っていて。ところが多くの人はやらされ感でビジネスに取り組み、毎日会社に行かなきゃいけないのか、とかトラブルとかが降ってくると、あれこれやらされるという感覚を持つ人が多いですけど、この感覚のうちは全く楽しくないですよね。その感覚になるかどうかというのが自分の人生として損するか得するかの境目じゃないかと思っています。大魔王クッパがでてきたときに楽しいなと思って挑み続けられる人と、怖い嫌だと思って見たくないと思う人との差がビジネス上でも同じように出てくると思っているので、ビジネスを楽しいゲームだと思ってやられるほうがいいかなと思います。

吉田:なるほど、そうすると学生のうちに困難な物事に立ち向かう経験をしておいたほうがいいってことになるんですかね。

鈴木社長:それはわからないです。ただ、何事も楽しむ精神を持つということですね。勉強でもスポーツでも、何事にも楽しむ精神を持ってやることを、身につけておく方がいいんじゃないですかね。

吉田:わかりました、ありがとうございます。今後テックオファー会員などの学生さんが御社の方に新卒社員として入社した際に、どのような業務をして、どのような活躍をされていて、鈴木社長が仰っている楽しむことはどのような形で実現されているかを、学生の方々に向けて教えていただけますか?

鈴木社長:正直に言うと、楽しめている人は楽しめているが、楽しめていない人はやらされ感を持っているというのが事実ですね。ただ、このあたりは言い続けるしかないかなと思っているので、そこに関してはそういう視点を持ちましょうと。ただ、うちの会社は他の会社と比べると、そういう意識は高い方じゃないかなと思っています。周りがそういう意識を持っている人間が揃っていると、やっぱりそっちの方にいこうかなとなるんですよね。周りが文句ばっかり言っているネガティブ要素の人間ばかりのところと、周りが松岡修造さんのような熱い人ばかりのところだとやっぱり自分の精神も変わってくるので、まあ人それぞれといえども、そのようなところの部分は大きいんじゃないかなと思います。新入社員はやる仕事によって全く違うので一概にこうとは言いにくいですが、技術系の社員でいうと、基本的な開発作業を自分ひとりでちゃんとできるように、1年から2、3年かけてそこまでいってもらうみたいな感じですね。

吉田:私もインターン生としても様々な経験をさせて頂いているのですが、損得感情よりも目の前のことをどれだけ頑張れるかが重要かなと思っていて、弊社でも代表の長井などから熱意ある言葉や考え方を発信してもらうなど、御社と共通するところが見えました。そういう価値観を私としても大切にしていきたいと思っています。また、今日お話を聞いてて、私もアスタリスクで働きたいと思いました。また私は文系学生で、理系学生の就活に関して知識不足なんですが、技術職や研究開発職は型にはまった業務のイメージだったんですけど、アスタリスク様のような会社であれば挑戦領域が大きく、パッションのある学生であれば活躍することができる環境なのだなと感じ取れましたので、しっかり発信していければと思います。

吉田:本日は本当に面白いお話をありがとうございました。笑顔はやっぱり大事ですよね。

そういえば鈴木さん、「ルークスズキウォーカー」というYouTubeもやられてますよね。

鈴木様:チャンネル登録されましたか?

吉田:すぐやります(笑)

吉田:そのようなところも鈴木さんの楽しむっていう精神に繋がっているんですね。本日は本当にありがとうございました。