メンター制度は入社前から始めると効果的!成功させるポイント4選

メンター制度は入社前から始めると効果的について解説

近年、新卒社員の内定辞退や早期離職に悩む企業を中心に、メンター制度が注目されています。

しかし実際のところ、メンター制度とは名ばかりで、ただ若手社員に「新人のお世話をよろしく」と丸投げしてしまっている企業も少なくありません。メンター制度を効果的に運用するためには、目的を共有し、きちんとルールを作って取り組んでいくことが大切です。

本記事では、メンター制度のメリット・デメリットや、成功させるポイントについて詳しく解説します。内定辞退を防ぎたい、定着率を上げたいとお考えの方は、ぜひ参考にしてください。

メンター制度とは

メンター制度の概要を解説

はじめに、メンター制度とは何なのか、他の新人教育とどう違うのかについて解説します。

メンター制度の定義

厚労省の資料によれば、メンター制度は次のように定義されています。

”メンター制度とは、豊富な知識と職業経験を有した社内の先輩社員(メンター)が、後輩社員(メンティ)に対して行う個別支援活動です。キャリア形成上の課題解決を援助して個人の成長を支えるとともに、職場内での悩みや問題解決をサポートする役割を果たします。”

引用:メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル|厚生労働省

ひと昔前まで、日本の企業では終身雇用や家族的な帰属意識で働くことが当たり前でした。しかし、時代とともに雇用形態が多様化して転職を経験する人も増え、職場の人間関係も業務中心の割り切った関係性になってきました。

そんな中、従来なら職場で自然に発生していた先輩・後輩間の育成的な人間関係を、制度的に作り上げようというのがメンター制度です。メンター制度には、新入社員が早く組織に馴染めるようにしたり、早期離職を防いだりする効果があります。

「ブラザーシスター制度」や「OJT」との違い

新入社員を育成する制度には、メンター制度の他に「ブラザーシスター制度」「OJT」などがあります。いずれも先輩社員が新入社員に教えるという点が共通していますが、目的や先輩との関係性に次のような違いがあります。

メンター制度ブラザーシスター制度OJT
目的不安や悩みの解消キャリア開発不安や悩みの解消実務の指導実務の指導
実施者異なる部署の先輩同じ部署の先輩同じ部署の先輩や教育担当
仕事上の利害関係なしなしあり

メンター制度では、異なる部署の先輩が実施者となって、職場の人間関係やキャリアの築き方などの相談に乗ります。直属の上司や先輩ではないため、人事評価や利害関係を気にせず、本音で話しやすくなるのがメリットです。

メンター制度に関する調査結果

メンター制度に関する調査結果について解説

ここでは、あるコンサルティング会社が実施した「メンター制度に関する調査結果」をもとに以下の点について解説していきます。

参考:メンター制度に関する調査結果 | Confinkle Business Studio合同会社のプレスリリース

  • 利用した人の満足度
  • 良かったこと・困ったこと
  • メンターに求めること

利用した人の満足度

メンター制度のアンケート結果について

引用:メンター制度に関する調査結果 | Confinkle Business Studio合同会社のプレスリリース

上記のグラフは、メンター制度の利用経験がある20〜50代の男女400名に「メンター制度に満足していますか」と尋ねた結果です。「満足」が19.3%、「やや満足」が41.0%となっており、両者を合わせると6割以上の人が満足していることが分かりました。

良かったこと・困ったこと

同調査でメンター制度の利用経験者に、良かったこと・困ったことを尋ねたところ、次のような回答が得られました。

<良かったこと>

  • 仕事内容について具体的なアドバイスをもらえる
  • 職場の人間関係について具体的なアドバイスをもらえる
  • 会社のルールや制度について教えてもらえる
  • 昇格・昇給やキャリア形成について具体的なアドバイスをもらえる

<困ったこと>

  • 職場の人間関係についてネガティブなことを話しにくい
  • 評価に影響する可能性があることを話しにくい
  • メンターとの関係悪化を恐れて本音で話しにくい
  • 自分の評価や評判が他の社員からメンターに伝わる

良かった点としては、仕事内容や人間関係、会社の制度などについて具体的なアドバイスがもらえる点が挙げられました。一方で、自分の相談したことが、仕事やキャリアに影響しそうで話しにくい、という声もありました。

メンターに求めること

メンターとなる人物に求めることを尋ねた結果、次のような回答がありました。

  • 幅広く豊富な業務知識・経験を持っていること
  • 自分の話をよく聞いて理解しようとしてくれること
  • 自分とは異なる業界や領域のスキル・経験を持っていること
  • 客観的に認められる能力や実力を持っていること

やはり、メンター自身がそれなりの経験や実績を積んでいることは、必須条件だと言えそうです。

メンター制度のメリット

メンター制度のメリットを解説

メンター制度を導入すると、企業側と新人側、それぞれに次のようなメリットがあります。

企業側のメリット

企業側の主なメリットは以下の通りです。

  • 新人の定着と戦力化がスムーズに進められる
  • 内定辞退や早期離職を防げる
  • 組織全体で人を育てる風土が醸成できる
  • メンターも成長できる

どの企業でも、採用担当者は新入社員のフォローをある程度行っていると思います。しかし、新卒の場合は一斉に大勢が入社することも多く、採用担当者だけでは十分なフォローができないこともあります

その点、メンター制度であれば一対一の関係性なので変化に気付きやすく、きめ細かいフォローをできるのがメリットです。また、メンターとなる先輩社員も、後輩に教えることで成長できる効果もあります

新人側のメリット

新人側のメリットには、次のようなものがあります。

  • 気軽に質問や相談をできる
  • 職場に早く馴染める
  • 心理的安全性が高まる

メンター制度では、仕事上の利害関係がない先輩社員が実施者となるため、「こんなことを質問しても大丈夫だろうか」「評価が悪くならないか」という心配をせずに相談できます。また、困ったときには部署の外にも頼れる人がいるということで、心理的安全性を高められるのもメリットです。

メンター制度のデメリット

次に、メンター制度の導入によって生じるデメリットについて見てみましょう。

企業側のデメリット

企業側のデメリットは以下の通りです。

  • 制度設計や運用に手間がかかる
  • メンターの業務負担が増える
  • メンターの能力によって効果に差が出る

メンター制度の効果を得るためには、しっかりとした制度設計が必要になります。また、メンターは自分の日常業務をこなしながらメンティを育成するため、業務負担が増えてしまうことがデメリットです

新人側のデメリット

新人側のデメリットには、次のようなものがあります。

  • 直属の上司とメンター、どちらに相談すべきか迷う
  • メンターによってサポートの質にばらつきがある
  • メンターと相性が悪いと、かえってストレスになる

困ったときの相談先が、部署の先輩とメンターの2人になることで、どちらに相談すべきか迷ってしまう可能性があります。また、せっかくのサポート制度も、メンターとの相性が悪いとかえってストレスになってしまうのがデメリットです

メンター制度を成功させる4つのポイント

メンター制度を成功させるポイントを解説

メンター制度を成功させるポイントは4つあります。

  • メンターの適性を見極める
  • 制度の設計や運用ルールの策定を行う
  • 事前に研修を実施する
  • 振り返りと改善を繰り返して続ける

それぞれ詳しく見てみましょう。

メンターの適性を見極める

メンター制度において、メンターとメンティの相性は重要です。安易に「出身地が同じだから」「年齢が近いから」というだけで選ぶのは良くありません。それぞれの性格やキャリアの志向性なども踏まえて、「この二人ならこういう効果が期待できる」という明確な狙いを持って、人選しましょう

制度の設計や運用ルールの策定を行う

メンター制度を導入する際は、制度の設計や運用ルールの策定をしっかり行うことが大切です。「この子の面倒を見てあげてね」というざっくりした指示では、メンターもどうすれば良いのか分かりません。

具体的に決めることとしては、メンターを実施する期間や面談の頻度と時間、報告方法、人事評価への影響、トラブル時の対応法などがあります。また、人事とメンターの役割分担も明確にしておきましょう。

事前に研修を実施する

運用を開始する前に、メンターとメンティの両方に研修を実施することも有効です。あらかじめ「何のためにメンター制度があるのか」「具体的に何をするのか」「ゴールはどういう状態なのか」などを伝えておくことで、目的意識を共有できます

振り返りと改善を繰り返して続ける

メンター制度を導入したら、やりっぱなしにせず、振り返りと改善を繰り返しながら続けることが大切です。以下は、メンター・メンティーそれぞれのチェックリストの一例です。ぜひ参考にしてみてください。

<メンター用チェックリスト>

  • メンター制度の趣旨、目的を正しく理解したうえで、メンタリングの目標をメンティと共有している
  • 熱意や使命感をもってメンタリングに臨んでいることをメンティに示している
  • メンタリングに必要な知識やスキル(コーチング、カウンセリングなど)を実施している(もしくは修得に努めている)
  • メンターが行いたい指導をするのではなく、メンティの要望を踏まえた支援になるよう努めている
  • 自分の仕事が忙しいことを理由に、メンターとしての役割を疎かにしていない

<メンティ用チェックリスト>

  • メンター制度の趣旨、目的を正しく理解したうえで、メンタリングの目標をメンターと共有している
  • 何かをしてくれる存在としてメンターに接するのではなく、自分から学ぼうという姿勢を示している
  • 自分が成長するための具体的な行動について、積極的に言葉や態度で示している
  • 仕事が忙しいことを理由に、メンタリングで約束したことを疎かにしていない

引用:メンター制度導入・ロールモデル普及マニュアル|厚生労働省

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メンター制度は、新入社員が早く職場に馴染めるようにしたり、早期離職するのを防いだりするために有効な育成制度です。新卒社員においては、入社前から取り入れることで、内定辞退を防ぐ効果も期待できます。

導入の効果を高めるためには、しっかりと制度設計を行い、メンターとメンティの相性をよく見極めてから運用を開始することがポイントです。

また、入社辞退や早期離職を防ぐためには、そもそも採用活動の時点でマッチングの精度を上げていくことも欠かせません。理系に特化したダイレクトリクルーティングの『TECH OFFER』なら、40,000件の大学研究室、1,000,000件の技術キーワードをもとにした強固なデータベースを活用して、すでに専門知識を持つ理系学生に直接オファーが送れます。ターゲット設定やオファー文作成のご相談も承りますので、ぜひお気軽にお問い合わせください。