入社4年目のターニングポイント。
長い社会人人生には必ず、あの仕事がなければ今の自分はない、というターニングポイントがある。真っただ中にいるときは、無我夢中で気づかないかもしれない。振り返ったときに初めて、乗り越えた山の大きさと、そこから見える景色の爽快さを知る。
「すべてを完璧にはできないし、実際、全然できていませんでした。ただ、目の前のことを一つずつ、がむしゃらにこなしていっただけです」。
2013年の入社以来、研究開発一筋にやってきた松本享明にとって、その仕事にかけた2年間は間違いなく、大きなターニングポイントだった。そしてそれは、これから10年、20年経ち、山の数こそ増えたとしても、最初に乗り越えた山としてずっと記憶に残るだろう。
その仕事とは、「新型ROポンプMHH」の開発。海水淡水化プラントでRO膜(逆浸透膜)に海水を供給する高圧多段ポンプ*で、プラントの要でありトリシマの主力製品の一つだ。トリシマは1970年代より、慢性的な水不足に悩む中東諸国を中心に、世界中の海水淡水化プラントに数多くのポンプを納めてきた。ところが2013年頃から市場の停滞もあり、同業他社との厳しい競走が続いた。そこで2016年4月、競争力を高めるべく、顧客ニーズに応える新製品開発チームが発足した。メンバーは6名。入社4年目の松本がリーダーに抜擢された。大学、大学院と流体工学を専攻し、入社後すぐに研究開発部に配属。いくつかの製品開発に携わり、一通りできるつもりでいた。ところが―。
「分らないことだらけ、できないことだらけで、先輩たちに助けてもらうばかり。自分でもびっくりするくらいダメでした。いま思うと、会社もよくやらせたなって思います(笑)」
会社としては、それまで羽根車(インペラ)の改良しかしていなかった松本を、製品開発のイチからすべてを経験させたい、一流の開発者に育てたい。それだけの期待を込めてのことだった。折しも社内では、R&MDといってResearch & Development(研究開発)にマーケティングのMを加えたコンセプトが打ち立てられていた。机上だけで考えるのではなく、実際にお客様のところに行って、お客さまの声を聞き、正確にニーズを把握する。そこからの出発だ。
*海水の塩分を抜く特殊なろ過膜。肉眼では見えないナノメートルの穴が無数にあいているため、高い圧力で海水を通さなければ水が通らず超高圧ポンプが求められる。
「すべてを完璧にはできないし、実際、全然できていませんでした。ただ、目の前のことを一つずつ、がむしゃらにこなしていっただけです」。
2013年の入社以来、研究開発一筋にやってきた松本享明にとって、その仕事にかけた2年間は間違いなく、大きなターニングポイントだった。そしてそれは、これから10年、20年経ち、山の数こそ増えたとしても、最初に乗り越えた山としてずっと記憶に残るだろう。
その仕事とは、「新型ROポンプMHH」の開発。海水淡水化プラントでRO膜(逆浸透膜)に海水を供給する高圧多段ポンプ*で、プラントの要でありトリシマの主力製品の一つだ。トリシマは1970年代より、慢性的な水不足に悩む中東諸国を中心に、世界中の海水淡水化プラントに数多くのポンプを納めてきた。ところが2013年頃から市場の停滞もあり、同業他社との厳しい競走が続いた。そこで2016年4月、競争力を高めるべく、顧客ニーズに応える新製品開発チームが発足した。メンバーは6名。入社4年目の松本がリーダーに抜擢された。大学、大学院と流体工学を専攻し、入社後すぐに研究開発部に配属。いくつかの製品開発に携わり、一通りできるつもりでいた。ところが―。
「分らないことだらけ、できないことだらけで、先輩たちに助けてもらうばかり。自分でもびっくりするくらいダメでした。いま思うと、会社もよくやらせたなって思います(笑)」
会社としては、それまで羽根車(インペラ)の改良しかしていなかった松本を、製品開発のイチからすべてを経験させたい、一流の開発者に育てたい。それだけの期待を込めてのことだった。折しも社内では、R&MDといってResearch & Development(研究開発)にマーケティングのMを加えたコンセプトが打ち立てられていた。机上だけで考えるのではなく、実際にお客様のところに行って、お客さまの声を聞き、正確にニーズを把握する。そこからの出発だ。
*海水の塩分を抜く特殊なろ過膜。肉眼では見えないナノメートルの穴が無数にあいているため、高い圧力で海水を通さなければ水が通らず超高圧ポンプが求められる。