こんにちは。理系就活情報局です。

アカデミアには、さまざまなポストがあります。

何となく知っているつもりでも、教授や准教授以外のポストの違いがよく分かっていないという理系学生の方も多いのではないでしょうか。

一口に「先生」と呼んでいても、ポストによって内情は異なります。

本記事では、アカデミアの中でも「特任教授」に注目します。

大学職員としてのキャリアを検討している方は、ぜひ参考にしてみてください!

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特任教授とは?

特任教授とは?

一定の任期つきで雇用された教員のこと

特任教授とは、大学や研究機関で一定期間の任期つきで雇用された教員のことを指します。

「教授」や「先生」と呼ばれ、研究だけでなく教育にも携わります。

教育・研究上で雇用の必要が認められたポストであり、労働条件について特例の扱いをすることを条件として採用されます。

定年退職後に再雇用される場合も

特任教授の雇用方法は大きく2つあります。

1つは定年退職後に再雇用されるケースで、元々教授の地位にあった人が教育や研究を続けるために採用されることが多いです。

もう1つは、特定のプロジェクトを遂行するために一定期間雇用されるケースで、その分野で優れた業績を持つ著名な人物が起用される場合です。

どちらの場合でも、特任教授は一定期間の雇用であるという点が大きな特徴です。

名称は大学によって異なる

特任教授は、法律や省令などによって定められたポストではありません。

そのため、具体的な定義や呼称は大学によって異なります。

たとえば、熊本大学は特任教授を以下のように定義しています。

特任教授等の名称を付与できる者は、次の各号のいずれかに該当する者のうち、本学における職務を本務とする者で本学において引き続き3月以上、専攻分野について教授、准教授、講師又は助教(以下「教授等」という。)に準ずる職務に従事するものとする。ただし、客員教授、客員准教授、客員講師又は客員助教の名称を付与されている者を除く。

(1) 国立大学法人熊本大学職員就業規則(平成16年4月1日制定。以下「職員就業規則」という。)第2条第4号に定める有期雇用職員

[国立大学法人熊本大学職員就業規則(平成16年4月1日制定)第2条第4号]

(2) 職員就業規則第2条第5号に定める無期転換職員

[職員就業規則第2条第5号]

(3) 職員就業規則第2条第7号に定める個別契約職員

(引用:熊本大学「熊本大学特任教授等選考規則」)

一方、信州大学は、「特別特任教授」を下記のように定めています。

第2条 特別特任教授は,高度な研究プロジェクト又は大学活性化事業プロジェクトの統括及び研究を行うことにより,本学の教育研究活動の一層の推進及び活性化に資することを目的とする。

(資格)

第3条 特別特任教授として雇用することのできる者は,次の各号のいずれかの能力を有し,その職務を担当することができる者とする。

(1) 世界レベルでの顕著な研究業績を有し,文部科学省その他国の機関による教育研究拠点形成プロジェクト又はこれに準ずる研究プロジェクトを計画実施し,及び統括することができる者

(2) 教育,国際学術交流,産学官連携,地域貢献等の顕著な事業実績を有し,文部科学省による大学教育等支援に係る補助金事業又はこれに準ずる大学活性化事業プロジェクトを計画実施し,及び統括することができる者

(引用:信州大学「信州大学特別特任教授規程」)

教授・客員教授・名誉教授・ポスドクとの違い

教授・客員教授・名誉教授・ポスドクとの違い

教授

大学教授は、自身の専門分野の研究を指導したり、学生に講義を行ったりする常勤の教員です。

また、大学や学部の運営にも携わり、重要な役割を果たしています。

大学教授は最上位の職位であり、一般的には助手や助教授を経て講師や准教授となり、最終的に教授になります。

特任教授との違いは、雇用期限の定めがなく大学の運営にかかわる点です。

客員教授

客員教授は、大学などで一定期間、非常勤の形で教授としての役職を担う教員です。

通常の教授とは異なり、大学の運営には大きく関与しません。

一方で、客員教授は単年度契約の場合が多く、定年などの規定はありません。

大学が特定の分野で優れた実績を持つ著名人を招聘する際には、客員教授として採用することがあります。

客員教授は、タレントや文化人などが就任することが多く、大学の宣伝役も果たします。

特任教授との違いは、大学内の取り組みに割く時間です。

客員教授は、大学や研究機関とは異なる組織で働く専門家であり、大学での活動は不定期です。

客員教授は本職の組織や企業の業務を優先しますが、特任教授は大学内での教育・研究活動に専念する立場となります。

名誉教授

名誉教授は、大学などから特に優れた業績を上げた教授に与えられる称号で職名ではありません。

あくまで名誉的な地位として与えられるため、名誉教授は大学で具体的な業務を担当することはありません。

また、名誉教授の場合は報酬を受け取ることもないため特任教授とは実態が大きく異なります。

ポスドク

ポスドクとは博士号を取得した研究者で、一定期間の雇用契約を結んだ博士研究員です。

特任助教も「〇〇先生」と呼ばれますが、一定期間の「教員」としての雇用契約になります。

ポスドクは主に研究に従事しますが、特任助教は研究と教育の両方に従事するという違いがあります。

特任教授と関連のある職位

特任教授と関連のある職位

客員講師とは

客員講師は、 非常勤の教員のうち、客員待遇に相当する研究業績を持つ講師のことです。

客員教授と同じく、本来活動する場所を別に持つ講師のことを指します。

特任講師とは

特任講師は、「特任」と付く通り、任期の定めのある講師のことです。

大学によって呼称や扱いに差があるものの、常勤ではなく、特任教授と同じく正規の教員に準じて任用した非正規教員です。

特任准教授とは

特任准教授は、「特任」と付く通り、任期の定めのある准教授のことです。

特任教授と同じく、「准教授」や「先生」と呼ばれ、研究だけでなく教育にも携わります。

大学で特任教授になるには?方法・仕事内容を解説

大学で特任教授になるには?方法・仕事内容を解説

採用方法は公募が一般的

特任教授になるためには、公募に応募するのが一般的な流れです。

定年後に再雇用される特任教授の場合は、定年までの在籍期間中に優れた業績を上げる必要があります。

特任教授の公募は、研究人材のためのポータルサイト「JREC-IN Portal」や各大学・各学会のHPなどに掲載されているので、気になる方はチェックしてみましょう。

特定のプロジェクトに参加するために雇用される特任教授の場合、博士号だけでなくそのプロジェクトに携われる専門知識や業績を持っていることが条件になります。

外部研究費のプロジェクトの研究

特任教授の仕事内容は、研究と教育です。

研究面では、大学や官公庁などから外部研究費を獲得して、特定のプロジェクトの研究を行います。

特定のプロジェクトに参加する場合は、その研究に従事し、研究結果を論文として形にすることが主な仕事となります。

学生への教育

特任教授は、教育面では、参加するプロジェクトや専門分野の講義を行うほか、学生の指導も担当します。講義や実習だけでなく、卒業論文の指導をすることもあります。

常勤ではないため、基本的に大学教授のように大学の運営に携わることはありません。

特任教授の働き方と給与

特任教授の働き方と給与

裁量労働制

雇用する大学の就業規則にもよりますが、特任教授もほかのポストと同じく裁量労働制で働くことになります。

常勤ではないので勤務日は少なく設定されますが、特任教授は研究だけでなく教育も担当するため、研究の時間が取れない場合には所定の勤務時間を超えて働くことも想定されます。

給与は大学教授よりも低め

一般的な大学教授と比較すると、特任教授の給与は少なく、固定の金額が多い傾向にあるようです。

特任助教の給与については、各大学によって異なります。

公募情報の各種手当の有無や社会保険の取り扱いを確認しましょう。

具体的な給与額は各公募において「公募資料」や「公募する大学の就業規則」などを確認することで、おおよその金額を把握できます。

公募に記載の給与に加えて、個人の業績・経歴・前職での年収・勤務日数を考慮して最終的な給与が決定されます。

特任教授のキャリア

特任教授のキャリア

任期切れで将来が不安になることも

特任助教には、任期が設けられています。契約の内容・条件によって期間は異なることがありますが、通常は1年から数年程度の短期間です。

任期が終了すると、特任助教の地位も終了となります。

任期が終了する前に次のポストが既に確定している場合は問題ありませんが、次のポストが未確定の場合は職を失ってしまいます。

無職になってしまうと収入が途絶えることも考えられるため、特任助教の任期終了前には次への準備を整えておくことが重要です。

テニュアトラック制を活用する

特任助教のような博士課程を修了した若手研究員が任期切れの雇用不安を抱くことへの対策として、テニュアトラック制があります。

テニュアトラック制は、若手研究者の自立的研究支援のため公募によって専任教員となるキャリアパスを提供する制度です。

テニュアトラック制の対象は博士号取得後10年以内の若年研究者で、テニュアトラック期間は基本的に5年間と定められています。

その5年間の間にテニュア(終身雇用が保証された教員)になれるかどうかの審査が行われます。

参考:文部科学省「テニュアトラック制の概要

実績次第では大学のポストに就く

特任教授は教授とは異なり、期間の定め付きの雇用です。

定年退職後の再雇用で特任教授に就任した場合は、契約更新されずに退官となることもあります。

特定のプロジェクトのために雇用された特任教授の場合は、プロジェクトで上げた実績によっては、契約更新や大学のポストに就ける可能性が見えてきます。

雇用期間が決められている特任教授ですが、実績次第ではキャリアアップも見込めるポジションです。

特任教授のキャリア

特任教授のキャリア

在籍中に研究成果と教育実績を出す

定年退職後の特任教授の場合、契約の更新はされず、退官となることが一般的です。

一方、特定のプロジェクトのために登用された特任教授の場合は、研究成果と教育実績が上がれば任期の延長や大学の教授になるチャンスもあります

結果を出せるよう取り組むと同時に、任期の定めのない大学教員や研究機関の公募へチャレンジしましょう。

民間企業へ就職する道もある

特任教授にはアカデミアや研究所だけでなく、民間企業に就職する選択肢もあります。

自分のキャリアを長期的に考えて、雇用不安と戦いながらアカデミアに残るか、これまでの研究成果を評価してくれる企業に目を向けるか判断しましょう。

博士人材を求めている企業は多いため、転職サイトなどを活用してみましょう。

マーチの理系は就職に強く、幅広いポテンシャルを持っています。

まとめ

本記事では、特任教授について解説しました。

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