こんにちは。理系就活情報局です。

はじめまして、理系就活情報局です。

「研究デザインって何?」「聞いたことあるけどよくわかっていない」という学生もいるのではないでしょうか。

そこで今回は、「研究デザイン」について解説していきます!

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研究デザインとは?

研究デザインとは?

研究デザインは研究の「型」

研究をこれから進めていくには、研究計画をまずたてなければなりません。

研究では、まずは何かしらの仮説をたて、それを実証するために必要なデータを集めます。

その後、実験で得られた結果から考察をしていく流れです。

この流れの中で「研究対象は何にするのか」「介入方法はどうするか」「評価や測定方法はどうするか」「期間はどれくらいか」などをきちんと定めておくことは研究計画の要となります。

その「研究の型」が研究デザインとなります。

どのように研究を進めていくのか「方法」を考えるわけです。

この研究デザインをおろそかにしてしまうと、研究計画がおろそかになってしまうため、研究を進めている途中で不具合が発生する場合や、得られた結果の信憑性が下がる場合があります。

限られた時間内で研究を行い、論文を書かなければならないため、この研究デザインをしっかりと考えておきましょう。

研究デザインは2つに大別できる

研究デザインは、量的研究と質的研究の2つに大別できます。

質的研究とは、研究を⾏うことによって、現象・事実から、研究テーマに該当していくことを⾒いだしていくものです。 「どうしてそうなったのか」などのプロセスを明らかにする研究です。定量化できないものすべてが対象です。データを収集しながら分析をします。

質的研究は、「◎◎には、こういう課題があるらしい」「こんな要因もあるかもしれない」といった仮説・理論を組み立てる場合に適しています。

量的研究とは、実態をみて何が起こっているかをみたり、 2つ以上の要素の関係をみたり、因果関係をさぐったりコントロール群をおいたりする研究です。数量化されたものが対象で、データを収集し終えてから統計学的処理をします。

選択式のアンケートなどを使用してデータを収集・分析する量的研究は、先行研究を踏まえて検証するのに適しています。

研究デザインの主な種類

研究デザインの主な種類

介入・実験研究

これは実験の被験者に介入を行い、介入結果からその前後を比較することで検証する実験です。

介入・実験研究はさらにランダム化比較試験、準ランダム化比較試験、クロスオーバー比較試験へと分けられます。

まずランダム化比較試験とは、研究の対象者をランダムに2つのグループに分け、介入するグループと介入しないグループに分けて比較するものです。無作為にグループを分けるため、例えば医者も患者もグループを選べません。

これに対し準ランダム化比較試験とは、カルテ番号などによってグループを分け、比較試験を行うものです。クロスオーバー比較試験とは一度介入をしたあと中止し、介入のありなしを入れ替え、もう一度経過をみて比較する研究方法です。

クロスオーバー比較試験では、グループ1とグループ2の2つに分け、介入群をAとし、介入群をBとすると以下の通りとなります。

つまり、

グループ1:A→休止→B

グループ2:B→休止→A

このように実験を行うこととなります。

観察的研究

観察的研究は経緯や経過を観察する研究であり、横断研究と縦断研究の2つにわけられます。

まず横断研究とはある一時点でデータを集めて調査をする研究になります。

アンケート調査、世論調査といったものもこれに該当します。

比較的短い時間で行えるため、この型で研究をしているものも多いです。

次に縦断研究について、これは時間要因により分類して研究を行います。

その中にも後ろ向きと前向きがあります。

後ろ向きとは過去の事象を調査する研究をさし、前向きというのは研究を開始してから新たに起こった事象を調査する研究のことです。

後ろ向きである症例対照研究の例を紹介します。

例えばある集団は肺がんを患っているとします。この人達にたばこの喫煙歴はあったのかを調べるのが後ろ向きです。

前向きのコホート研究は、喫煙ありの集団と喫煙無しの集団を調査し、個の人達は肺がんになったかどうかを調べる研究となります。

後ろ向きは原因などの因果関係を、前向きは喫煙ががんをどれだけ発生させているのかという因果関係を調べる研究です。

記述的研究

記述的研究とは、ありのままに病態を報告する研究です。

「この病気になった⼈は、週に何回魚を⾷べていたか?」といった、ありのままの状況を記述する報告も記述的研究にあたります。

⽐較や分析が⾏われていない研究のため、エビデンスレベルは低くなります。

症例報告・症例研究

これは1例の症例に対して研究するものです。

例えば、ある患者に対し治療Aと同時に新しい治療Bを行い、効果があったとします。治療AとBを同時に行った場合の効果はこの1例しかありません。このように、1例単位でのの治療効果について検証する研究を症例報告、症例研究と言います。

症例の細かい情報とともに、論文などの文献から症例を解説し、治療にどれだけ有効性があるかを示していきます。

エビデンスレベルが低いですが、珍しい症例を報告できた場合、今後の研究にも役立ちます。

シングルケーススタディ

こちらは1つの症例を連続的に分析していくものです。

例えば、新しい治療法Aがあり、視力をあげるのに有効な可能性が考えられたとします。

治療をまだ施していないときの視力と治療後の視力を比べてみることで、治療法Aの効果を検証しようというのがシングルケーススタディです。

シングルケーススタディはAB型デザインとABA型デザインの2種類、実験デザインがあります。

まずAB型デザインについてです。

新しい治療法を行わない時期をA、行う時期をBとにわけ、AのときとBのときの結果を比較します。

このデメリットとしては、Bの期間で効果が見られたとしても、自然治癒の可能性を否定できないという点です。

そこで、このデメリットを補うのがABA型デザインです。

名前の通り、A→B→Aという順番で期間を設けます。

もしもBで新しい治療法に効果がみられた場合でも、その後の期間Aで効果が消えてしまった場合、自然治癒の可能性を否定できます。

調査研究

これは面接や郵便、電話などからアンケートの結果を得て、その集めたデータを分析する研究となります。

たくさんのデータを集めやすいですが、回答が人の感覚によってしまい、アンケート対象者によりデータが左右されてしまうため、質が下がるといわれています。

臨床疫学的研究

臨床疫学研究は、多くの患者からデータを収集し、統計学的手法を用いて解析する研究です。臨床医学の現場で生じたさまざまな疑問を明らかにするためのもので、医療の安全性や有効性を科学的に評価する試みです。

臨床疫学研究のメリットは直接人を対象にできる点ですが、症例が少ないため、統計的な精度が低くなってしまうというデメリットがあります。

質的研究

これまで紹介してきたものは、介入などを行い、その結果から効果を測定する量的研究であるのに対し、個別に観察された症例などを記述、抽出して分析を行う研究を質的研究といいます。

つまり、収集したデータの本質を見出すことが質的研究の目的となるわけです。

これまでの量的研究では研究結果に重きを置いており、良い結果を得られるよう研究計画を立てます。それに対し質的研究では結果を得るまでのプロセス、結果に影響を与えている原因を探求することを重要視しています。

研究デザインのエビデンスレベル

研究デザインのエビデンスレベル

エビデンスレベルとは、研究の信頼度のことです。

研究デザインのエビデンスレベルは、データ統合型研究が最も高く、介入研究、分析的観察研究、記述的研究の順に低くなります。

データを集めて統計学的に解析するデータ統合型研究が最もエビデンスレベルが高くなり、比較対象を置かない記述的研究がエビデンスレベルが最も低いとされています。

ただし、エビデンスレベルが高いことが研究の良さに直結するわけではありません。

臨床的課題の特性、治療方針を決めるために必要なエビデンスのレベル、研究の実施可能性などの要因を総合的に考慮して、適切な研究デザインを選択する必要があります。

研究デザインの選び方

研究デザインの選び方

メリット・デメリットを検討する

研究デザインの選定には、メリット・デメリットの検討が不可欠です。

研究課題に対しては、複数の研究デザインが考えられます。

適切なデザインを選択しないと、研究結果に大きな影響を及ぼす恐れがあります。

研究デザインを選ぶ際には、各デザインのメリットとデメリットを十分に吟味し、最適な選択をしましょう。

関連する研究を参照する

次に、同じ分野の研究者がどのようなアプローチを取っているのかを把握しましょう

自分の研究領域に関連する文献を精査して、実現可能性や制約条件などに基づいて手法を吟味すれば、自分の研究にとって最適な研究デザインが見えてくるはずです。

研究方法を書きだして確認する

研究アプローチを選択したら、作業工程全体を書き出して確認することをおすすめします。

その際は、各工程に必要な時間やリソースも記録しましょう。

この作業をしておくことで研究の流れを明確に把握でき、研究途中に問題が生じた際にも備えられます。

まずは書き出して全体像を把握し、確実な成果につなげる土台を整えましょう。

研究デザインで押さえておきたい4つのポイント

研究デザインで押さえておきたい4つのポイント

研究の中立性

研究デザインで押さえておきたいポイントの1つ目は、研究の中立性です。

研究デザインには、偏見やバイアスが入り込まないことが重要です。

研究手法に先入観が含まれると、結果に大きな歪みが生じてしまいます。

研究デザインにおいては、中立的な立場を保つことが重要なポイントです。

研究者は自身の先入観や偏見を排除し、中立的な視点を維持する必要があります。

研究の信頼性

研究デザインで押さえておきたいポイントの2つ目は、研究の信頼性です。

研究デザインから得られる結果は、科学的根拠が高く、信頼性のあるデータであることが望ましいとされています。

特に、同じ研究を定期的に行う場合は、毎回同じような結果が得られることが信頼性の証となります。

研究の妥当性

研究デザインで押さえておきたいポイントの3つ目は、研究の妥当性です。

研究の妥当性とは、「研究目的を適切に捉えており、研究で見たいものが明確に現れているかどうか」を指します。

研究デザインに余分なバイアスが含まれると、中立性だけでなく妥当性も失われる恐れがあります。妥当性のない研究デザインから得られた結果は、信頼できるデータではありません。

研究の一般化

研究デザインで押さえておきたいポイントの4つ目は、研究の一般化です。

研究デザインにおける一般化とは、研究で得られた結果がサンプルケースだけに当てはまるのではなく、他の関連する事象に対して広く当てはまる可能性を持つことです。

特に臨床研究においては、研究結果を一般化させることが目標であり、非常に重要な要素です。

研究デザイン(研究計画書)の書き方

研究デザイン(研究計画書)の書き方

研究計画書の構成を押さえる

研究計画書は、構成に則って必要な項目を考え、計画を埋めていくと効率的に書けます。

1.タイトル

2.研究の背景

3.研究の意義

4.研究の目的

5.研究の方法①研究の対象

6.研究の方法②データの収集方法

7.研究の方法③データの分析方法

8.倫理的配慮

9.文献

研究計画書が上手く書けない方は、この構成に沿って書きだしてみましょう。

先行研究を参考にブラッシュアップ

研究計画書を書き慣れないうちは、特有の表現や専門用語の使い方に戸惑うこともあるかもしれません。

本当にこの書き方で良いのか悩んでいる人は、既存の論文や先輩の研究計画書を参考にしましょう。

ただし、あくまで参考にするためであって、単純に書き写すのは控えてください。

先行研究を参考に自身の研究目的に合わせて適切に書き換えれば、研究計画書の完成度を高められます。

オファーサイトで研究が活かせる就職先と出会おう

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研究計画書が書けたら、次は就活の選択肢を増やしましょう。

現在の就活は、複数のタイプの就活サイトを使い分けるのが主流です。

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まとめ

研究デザインは、研究の土台となる重要なポイントです。

研究デザインの選び方から誤ってしまうと、信頼できる結果を導き出すこともできなくなります。

研究デザインの型を押さえて研究を行い、将来の就活でアピールできるポイントにしましょう。