「研究職はやめとけ」「研究職はつまらない」といった意見を見て、研究職を目指すべきか迷っている理系学生もいるのではないでしょうか。
研究職は、大学や大学院で培った専門性を活かせる一方、採用枠の少なさや成果へのプレッシャーなど特有の厳しさがある仕事です。そのため、研究職に就けば必ず「勝ち組」になれるわけでも、すべての人が避けるべき仕事でもありません。
本記事では、「研究職はやめとけ」といわれる5つの理由と、研究職のメリット・やりがいを解説します。向いている人・向いていない人の特徴や就職先を選ぶ際の確認項目も紹介するため、自分に研究職が合っているかの判断材料として活用してください。
「研究職はやめとけ」といわれる5つの理由

研究職は、自分の専門性を活かして新しい技術や製品の開発に携われる魅力的な仕事です。一方で、就職の難しさや成果を求められるプレッシャーなど、研究職ならではの厳しさもあります。
こうした特徴を知らずに就職すると、「思っていた仕事と違った」「研究職はつまらない」と感じる可能性もあるでしょう。ここでは、「研究職はやめとけ」といわれる主な5つの理由を解説します。
就職や転職が難しい
「研究職はやめとけ」といわれる理由のひとつが、就職や転職の難しさです。
企業の研究職は多くの場合、採用人数そのものが少なく、30倍から100倍を超える志望者が殺到する企業も少なくありません。
また、特定分野に関する高度な専門知識が求められることも多く、修士課程や博士課程の修了者を採用対象としているケースもあります。
ただし、高い専門性を持っていても、その知識や研究経験を必要とする企業が少なければ、就職先の選択肢は狭くなるでしょう。
転職する場合も同様です。研究職で培った専門性は大きな強みですが、転職先ではその専門性が直接活かせない場合もあります。
そのため、研究職を目指す場合は、自分の専門分野だけでなく他の職種でも活かせる汎用スキルを意識しておくことが大切です。
人間関係が閉鎖的
研究職は、特定の研究室やチームで長期間にわたって同じテーマに取り組むことがあります。そのため、一般的な職種と比べて関わる相手が固定されやすく、人間関係を閉鎖的に感じる人もいるでしょう。
特に少人数の研究チームでは、上司や先輩、共同研究者との関係が仕事の進めやすさに大きく影響することもあります。人間関係がうまくいかない場合でも、異動や担当変更が簡単ではないケースもあるでしょう。
成果が出ない場合にプレッシャーを感じやすい
研究は、時間をかければ必ず成果が出るとは限りません。仮説を立てて実験や検証を繰り返しても、期待した結果が得られないことはあります。
一方、企業の研究職では、研究そのものだけでなく将来的な製品開発や事業への貢献も求められます。一定の期間や予算の中で成果を示す必要があり、思うような結果が出ない状態が続けば、プレッシャーを感じることもあるでしょう。
特に、自分の努力と成果が必ずしも比例しない点は、研究職の難しさのひとつです。「頑張っているのに結果が出ない」という状況にストレスを感じる人は、精神的な負担が大きくなる可能性があります。
そのため研究職には成果だけを追い求めるのではなく、失敗や試行錯誤も研究のプロセスとして受け止め、粘り強く取り組む姿勢が求められます。
残業時間が長くなる場合がある
研究職では、研究の進捗や実験内容によって勤務時間が長くなる場合があります。新製品開発に携わる部署などでは、時期によって残業が増える可能性もあるでしょう。
ただし、研究職の働き方は企業や業界、研究分野によって大きく異なります。必ずしも研究職全体の残業時間が長いとは限りません。
就職先を選ぶ際は、研究スケジュールの組み方やフレックスタイム制度の有無、有給休暇の取得状況なども確認しておくことが重要です。
会社の方針で研究内容が変わる可能性がある
企業の研究職では、自分が興味のあるテーマを自由に研究できるとは限りません。
企業は、事業として研究開発を行っています。そのため、市場環境や経営方針の変化によって研究テーマが変更されたり、プロジェクトそのものが終了したりする可能性があります。長年取り組んできた研究でも、事業化の見込みが低いと判断されれば、別のテーマを担当することもあるでしょう。
企業の研究職と大学・公的研究機関の研究職では、研究の目的やテーマの決まり方が異なります。主な違いは以下のとおりです。
| 比較項目 | 企業の研究職 | 大学・公的研究機関 |
| 主な目的 | 製品開発や事業への貢献 | 学術的な知見の蓄積 |
| テーマの決まり方 | 経営方針や事業戦略の影響を受ける | 研究室の方針や研究課題をもとに決まる |
| 研究期間 | 事業計画や予算に左右される | 研究計画や研究資金に左右される |
| 主な成果 | 製品、技術、特許、業務改善など | 論文、学会発表、研究成果など |
| テーマ変更 | 市場や事業の状況により変更される場合がある | 研究環境や資金により変更される場合がある |
「自分の好きな研究を続けたい」という希望だけで企業の研究職を選ぶと、入社後にギャップを感じる可能性があります。企業研究では、研究そのものへの興味だけでなく、その成果を事業や製品にどうつなげるかという視点も必要です。
研究職のメリット・やりがい

「研究職はやめとけ」といわれる一方で、専門知識や研究経験を活かせることは、研究職ならではの魅力です。
ただし、待遇や研究環境、担当できるテーマは企業によって異なります。「研究職だから恵まれている」と一括りにせず、自分がどの点にやりがいを感じるのかを考えることが大切です。
ここでは、研究職で得られる可能性があるメリットややりがいを紹介します。
待遇が良い場合が多い
研究職を募集する企業の中には、専門性や学位、経験を考慮した給与制度や研修制度を設けている企業があります。研究設備や資格取得支援、学会参加の機会など、専門性を高めるための環境が用意されている場合もあるでしょう。
ただし、研究職であれば必ず待遇が良いとは限りません。給与や福利厚生、昇給・評価の仕組みは、業界・企業規模・学位・担当業務によって異なります。
就職先を比較する際は、基本給だけでなく、以下の点も確認することが大切です。
- ・研究職に適用される手当
- ・賞与や昇給の基準
- ・研究設備や研修制度
- ・学会参加や資格取得への支援
- ・研究成果の評価方法
安定企業での雇用が中心
研究者を必要とする企業は、自社製品を扱うメーカーなど安定企業であることもメリットのひとつです。研究職を必要とする企業は、研究設備や研究コストを確保できる資金力のある企業が中心です。経営も安定しており、長く働ける環境が整っている企業が多い傾向にあります。
社会貢献を実感しやすい
研究成果が製品や技術として実用化されれば、社会への貢献を実感できることも研究職のやりがいです。
例えば、研究によって製品の性能や安全性が向上したり、製造工程の負担が軽減されたりすれば、利用者や企業の課題解決につながります。自分が担当した研究が製品化や業務改善に結びついたときに、仕事の意義を感じられるでしょう。
ただし、すべての研究が短期間で実用化されるわけではありません。直接製品にならない研究であっても、将来の開発につながる知識やデータを蓄積する役割があります。
優秀な同僚・先輩と出会える
研究職では、異なる専門分野を持つ同僚や先輩と協力して研究を進める機会があります。自分とは異なる分析方法や考え方に触れることで、研究の視野を広げられることがメリットです。
また、研究結果をチーム内で共有し、仮説や実験方法について意見を交わして自分だけでは気づけなかった課題や改善策を発見できる場合があります。
ただし、周囲に優秀な人がいるだけで成長できるわけではありません。相手の意見を受け入れ、自分の研究内容を分かりやすく説明しながら、積極的に学ぶ姿勢が必要です。
知的探究心を満たすことができる
研究職の大きな魅力のひとつは、日々の仕事を通して知的探究心を満たせることです。
研究では、まだ答えが明らかになっていない課題に対して仮説を立て、実験・分析・検証を繰り返します。既存の知識を使うだけでなく、「なぜこのような結果になるのか」「別の方法ならどうなるのか」と考え続けることが仕事です。
新しい知識を得ることや、分からなかったことが少しずつ明らかになる過程に面白さを感じる人にとって、やりがいのある仕事でしょう。
また、研究を進めるためには、関連する技術や最新の研究動向についても継続的に学ぶ必要があります。新しいことを学ぶのが好きな人や、一つのテーマを深く掘り下げることが好きな人が成長し続けられることも研究職の魅力です。
研究職に向いている人

研究職は、専門知識があれば誰にでも向いている仕事とは限りません。ここでは、研究職に向いている人の特徴を紹介します。
粘り強い人
研究職に向いているのは、すぐに結果が出なくても粘り強く取り組める人です。
研究では、仮説を立てて実験や検証を行っても、期待した結果が得られるとは限りません。何度も失敗したり、原因が分からない状態が続いたりするケースもあります。
そのような場合でも、結果を分析して原因を考え、条件や方法を変えながら試行錯誤を続ける必要があります。失敗を「無駄だった」と捉えるのではなく、次の研究につながるデータや経験として活かせる人は、研究職に向いているでしょう。
すぐに成果を求めるのではなく、長期的な視点で一つの課題に向き合える粘り強さは、研究職で活躍するうえで重要な資質です。
1人での作業が好きな人
1人で集中して作業することが苦にならない人も、研究職に向いています。
研究職では実験やデータ分析、論文や資料の確認、研究結果の整理など1人で集中して取り組む作業が多くあります。長時間、1つのテーマについて考えたり、細かなデータと向き合ったりすることも珍しくありません。
そのため、自分で考え、黙々と作業を進める時間を楽しめる人は研究職との相性が良いでしょう。
ただし、研究職も1人だけで完結する仕事ではありません。上司や同僚との情報共有、チームでの研究、他部署との連携なども必要です。1人で集中する力と、必要な場面で周囲と協力する力の両方が求められます。
探究心や好奇心が強い人
「なぜこうなるのだろう」「もっと良い方法はないだろうか」と考えることが好きな人は、研究職に向いています。
研究職では、すでに答えが分かっている課題ではなく、まだ明らかになっていない問題に取り組む機会が多くあります。そのため、疑問を自分で調べたり、仮説を立てて確かめたりする姿勢が欠かせません。
また、技術や研究分野は常に変化しています。自分の専門分野だけにとどまらず、新しい知識や技術を積極的に学び続けることも必要です。
知らないことを知る喜びを感じ、興味を持ったテーマを深く掘り下げるのが好きな人にとって、研究職は知的好奇心を十分に活かせる仕事といえるでしょう。
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研究職に向いていない人

「研究職はやめとけ」という意見だけで進路を決める必要はありませんが、自分が研究職の働き方に向いているかを事前に考えることは大切です。ここでは、研究職に向いていない可能性がある人の特徴を紹介します。
飽き性な人
同じテーマに長期間取り組むことが苦手な人は、研究職に向いていない可能性があります。
研究では、一つの課題について数カ月、場合によっては数年単位で取り組むケースもあります。また、実験や検証では、条件を少しずつ変えながら似た作業を何度も繰り返します。
そのため、新しい仕事へ次々と取り組むことに楽しさを感じる人にとっては「研究職はつまらない」と思うこともあるでしょう。
ただし、一つの研究テーマの中でも、新しい課題を発見したり、異なるアプローチを試したりする機会はあります。重要なのは、一つのテーマを深く掘り下げる過程そのものを楽しめるかどうかです。
こだわりが強すぎる人
自分の考えや研究テーマに強くこだわりすぎる人も、企業の研究職では苦労する可能性があります。
研究には、自分なりの仮説や考えを持って取り組む姿勢が必要です。しかし、実験結果が仮説と異なれば、自分の考えを修正しなければなりません。また、周囲からの意見や新しい研究成果を踏まえて、研究方法を見直す柔軟さも求められます。
特に企業の研究職では、会社の経営方針や事業戦略によって研究テーマが変更されたり、担当していたプロジェクトが終了したりすることもあります。
「この研究しかしたくない」「自分のやり方を変えたくない」という思いが強すぎると、環境の変化を大きなストレスに感じるでしょう。自分の専門性を大切にしながらも、新しいテーマや考え方を柔軟に受け入れる姿勢が必要です。
挑戦意欲が低い人
新しいことへの挑戦に消極的な人も、研究職には向いていない可能性があります。
研究職では、過去に成功した方法を繰り返すだけではなく、これまでにない技術や方法を試すことが求められます。前例のない課題に取り組むことも多く、最初から正解が分かっているとは限りません。
また、研究分野の進歩に合わせて、新しい知識や技術を継続的に学ぶ必要もあります。現在持っている知識だけで仕事を続けたい人にとっては、負担を感じることもあるでしょう。
失敗する可能性があっても「まず試してみよう」と考えられる人や、知らない分野について積極的に学べる人の方が研究職には向いています。変化を避けるのではなく、新しい課題への挑戦を成長の機会として捉えられる姿勢が重要です。
上記のような傾向を持つ人が、研究職に進むべきではないという意味ではありません。しかし、社会にはさまざまな仕事があります。
研究職以外にも視野を広げ、自分の適性に合った仕事を見つけるのも良い方法です。以下の記事は、理系学生が多く就くさまざまな仕事を紹介しています。
研究職に就職する方法

研究職への就職を目指す方法には、主に自由応募や学校推薦、理系学生向けのオファーサイトを活用する方法があります。
それぞれの方法にメリットがあるため、一つに絞らず併用しながら就職活動を進めるとよいでしょう。
自由応募
自由応募は、企業の採用サイトや就活サイトなどから、自分で興味のある企業を探して応募する方法です。
応募できる企業を自分で選べるため、研究内容・勤務地・待遇・事業内容などを比較しながら、幅広い選択肢の中から就職先を探せます。特定の業界や企業に興味がある場合にも、自分の希望に合わせて就職活動を進めやすい点がメリットです。
一方で、研究職は企業によって募集している専門分野が異なります。企業名だけで判断するのではなく、自分の研究テーマや専攻、身につけたスキルがどのような研究開発に活かせるのかまで確認することが大切です。
また、研究職以外にも開発職や技術職など、自分の専門性を活かせる職種が見つかる可能性があります。職種名だけで絞り込みすぎず、仕事内容まで確認しながら企業を探しましょう。
学校推薦
大学や大学院の学校推薦を利用して、研究職への就職を目指す方法もあります。
理系学生の場合、大学や研究室に企業から推薦求人が届くことがあります。自分の専攻と関連性の高い企業を紹介してもらえる場合があり、研究内容や専門性を活かせる就職先を探しやすい点がメリットです。
また、指導教員やキャリアセンターから、過去の就職実績や企業に関する情報を得られることもあります。研究職を目指している場合は、「どのような推薦枠があるのか」を早めに確認しておくとよいでしょう。
ただし、学校推薦には応募できる企業や時期に制限がある場合があります。また、推薦を利用した後の辞退についてルールが設けられていることもあるため、利用する前に大学側の条件を確認することが重要です。
自由応募との併用が可能かどうかも含め、就職活動全体のスケジュールを考えながら活用しましょう。
研究職を志望する場合は、企業から研究概要書の提出を求められる場合があります。研究概要書について詳しく知りたい人は、以下の記事を参考にしてください。
理系特化のオファーサイトを活用する
研究職を目指す場合は、理系学生に特化したオファー型就活サービスを活用する方法もあります。
オファー型就活サービスでは、自分の専攻や研究内容、スキルなどをプロフィールに登録します。そして、登録した情報に興味を持った企業から、オファーを受け取れる仕組みです。
研究職は専門性とのマッチングが重要なため、知らなかった企業や自分の研究経験を評価してくれる企業と出会える点がメリットです。自由応募だけでは見つけにくい業界や職種を知るきっかけにもなるでしょう。
理系学生向けのオファー型就活サービス「TECH OFFER」では、専攻や研究内容などのプロフィールを登録して、企業からのオファーを受け取れます。
研究や学業で忙しく、企業探しに十分な時間を確保しにくい理系学生にとって、「TECH OFFER」は、効率的に就職活動を進めるための選択肢の一つです。
研究職を希望している人は、自由応募や学校推薦とあわせて「TECH OFFER」にも無料登録し、自分の専門性を評価してくれる企業との接点を増やしてみましょう。
研究職に関するよくある4つの質問

研究職は勝ち組といえる?
研究職に就職しただけで、必ず勝ち組になれるとは限りません。専門性を活かせることや研究環境に魅力を感じる人がいる一方、成果へのプレッシャーや研究テーマの変更に負担を感じる人もいます。
職種名ではなく、給与・働き方・仕事内容・キャリアの希望が自分に合っているかで判断しましょう。
研究職はつまらない?
研究職をつまらないと感じるかは、作業内容との相性によって異なります。似た条件で実験や分析を繰り返すことに負担を感じる人は、単調に感じる可能性があります。
一方、仮説を立てて原因を探ったり、一つのテーマを深く掘り下げたりすることが好きな人は、面白さを感じやすいでしょう。
研究職は成果が出ないと病みやすい?
研究職だから病みやすいと一概にはいえません。ただし、努力と成果が比例しない状況や、期限・予算の中で成果を求められることに、精神的な負担を感じる場合があります。
就職先を選ぶ際は、成果だけでなく研究の過程も評価されるか、上司やチームへ相談しやすいかなども確認しましょう。
学部卒でも研究職に就職できる?
学部卒を採用対象とする研究職もありますが、企業や研究分野によって応募条件は異なります。修士・博士を対象とする募集もあるため、希望する企業の採用要項を確認することが必要です。
「研究職」という名称だけでなく、研究開発職や技術開発職など、関連する職種の仕事内容も確認しましょう。
まとめ
研究職は、高度な専門知識を活かしながら、新しい技術や製品の開発に携われる魅力的な仕事です。一方で、就職や転職の難しさ、成果を求められるプレッシャーなど研究職ならではの厳しさもあります。
そのため、「研究職だから勝ち組」「研究職はやめとけ」と一概に判断するのではなく、自分の性格や価値観などに合っているかを考えることが大切です。
粘り強く一つの課題に取り組める人や探求心・好奇心が強い人にとっては、研究そのものに大きなやりがいを感じられるでしょう。一方、同じテーマに長く取り組むことが苦手な人は、研究職以外の技術職も含めてキャリアを検討するのがおすすめです。


