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人材の獲得競争が激しい新卒市場ですが、せっかく採用しても早期退職してしまうケースが後を絶ちません。 「仕事が合わない」「もっと稼ぎたい」などの理由を告げられても 「それって入社前から分かっていたことじゃないの?」と感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか。
実は、早期退職が起きてしまう背景には、採用選考時のミスマッチや、入社後のコミュニケーション不足があることが多いです。 採用担当や上司は言ったつもり・聞いたつもりでも、新卒社員の価値観とズレていることもあります。
本記事では、早期退職の原因や防止策、新卒社員の価値観について詳しく解説します。新卒社員の早期退職にお悩みの方は、ぜひご覧ください。
新卒社員の早期退職の現状
早期退職の防止策を考える前に、現状を正しく理解しておくことが大切です。上記のグラフは、厚生労働省が新卒社員の離職率について調査した結果です。
グラフを見ると、直近10年ほどの離職率は31〜32%台で推移していることが分かります。つまり、新卒社員の3人に1人が3年以内に離職しているということです。
引用:新規大卒就職者の産業別就職後3年以内の離職率|厚生労働省
また、離職率は業界によって異なります。最も離職率の高い「宿泊業、飲食サービス業」の離職率が51.5%であるのに対し、最も低い「電気・ガス・熱供給・水道業」では11.1%でした。
新卒社員が早期退職する理由
新卒社員が早期退職する理由には、次のようなものがあります。
- 給与が低い
- 労働時間が長い
- 仕事内容が合わない
- 人間関係が悪い
- 将来性を感じない
それぞれ詳しく見てみましょう。
給与が低い
厚生労働省の調査によると、22卒の大卒初任給の全国平均は228,500円でした。ただし、一般的な社会保険料や税金を差し引くと、手取り額は19万円ほどになります。
1ヶ月間、朝から晩まで働いて手取りが19万円という現実を見て、がっかりする新卒社員は多いです。特に、学生時代に一定のアルバイト経験がある人の場合、「時給換算するとアルバイトと変わらない」と感じてしまうこともあります。
労働時間が長い
労働時間が長いことも、早期退職の原因の1つです。残業や休日出勤が多いと、疲労やストレスが蓄積して、モチベーションが低下します。
また、残業がそれほど多くなくても、休憩時間をきっちり取れない場合や、時間外でも仕事の電話やメールの対応を求められる場合があります。仕事とプライベートの線引きがあいまいになると、ワークライフバランスが取れないと感じやすいです。
仕事内容が合わない
仕事内容が合わなくて、早期退職に至るケースも多いです。
特に日本では、採用してから配属先や仕事内容が決定する「メンバーシップ型採用」が主流です。そのため、例えば「本当は商品開発がやりたかったのに、営業に配属されてしまった」というように、希望とは違う仕事を任されることも珍しくありません。
また、採用活動では企業側も良い面をアピールするため、実際に働いてみると「思ったより地味な仕事が多い」「こんなに大変だと思わなかった」と感じてしまうこともあります。
人間関係が悪い
職場の人間関係が悪いことも、早期退職につながる要因です。ひと昔前であれば、若手社員に対するいじめやパワハラ、セクハラは我慢すべきもの、という風潮もありましたが、今は違います。
ハラスメントの防止は企業の義務になっており、ネットを調べれば事例や対処法もたくさん出てきます。そのため、早い段階で「これはおかしい」と判断して、退職に至るのです。
また、コロナ禍以降は、テレワークの普及によるコミュニケーション不足も早期退職の原因となっています。ハラスメントのような目立ったトラブルがなくても、「組織になじめていない」「自分は失敗ばかりで居心地が悪い」と感じる新卒社員が多いのが特徴です。
将来性を感じない
会社やキャリアについて将来性を感じられず、早期退職に至る場合もあります。例えば、会社の経営状態が悪い場合や、目標となる先輩社員がいない場合などです。
身近な先輩が、頑張っているにもかかわらず評価されていなかったり、年収が上がっていなかったりすると「このままでは自分のキャリアも危ない」と感じ、早期退職を考えてしまいます。
早期退職防止のためにできる対策
早期退職を防止するためには、次のような対策があります。
- 採用活動におけるマッチングの精度を上げる
- コミュニケーションを活性化する
- 目標や課題を共有する
以下で詳しく説明します。
採用活動におけるマッチングの精度を上げる
早期退職を防止するためには、採用時のマッチングの精度を上げることが大切です。マッチングの精度を上げる方法は大きく2つあります。
1つは、説明会や面接の場で、残業の実態や仕事の厳しさなど、ネガティブな情報もありのままに伝えることです。正直に伝えることで、選考を離脱する学生がいるかもしれません。しかし、良い面だけを見て入社しても早期退職に至る可能性が高いため、先に分かった方がお互いのためになります。
マッチングの精度を上げるもう1つの方法は、自社の事業分野と親和性の高い学生をターゲットにすることです。例えば研究開発職の場合、理系学生を採用すれば、ロジカルシンキングや地道な研究活動に慣れていることが期待できます。
コミュニケーションを活性化させる
早期退職を防ぐためには、コミュニケーションを活性化させることも不可欠です。特に内定通知を出してから入社するまでのコミュニケーションは、入社後の働きやすさを左右します。
定期的に連絡を取ったり、既存社員を巻き込んだりして、4月からスムーズに組織に馴染めるような仕組み作りをしておきましょう。
また、入社後すぐにテレワークを導入するのは注意が必要です。テレワークではあまり雑談が発生しないため、距離を縮めるのが難しく、業務上のちょっとした質問をしにくくなることがあります。慣れるまでは、出社して対面でコミュニケーションを取ることをおすすめします。
また、入社後半年や1年など、慣れてきた頃にフォローすることも有効です。内定者フォローについては、下記記事でも詳しく解説していますので、合わせてご覧ください。
目標や課題を共有する
目標や課題を共有すると、早期退職の防止につながります。
新卒社員に限らず、一方的に言われたことをやるという働き方では、なかなかモチベーションは上がりません。会社の方針を丁寧に伝え、「この仕事を何のためにやるのか」「この先どうしたいのか」を、本人と上司が共有することが大切です。
ときには、上司が自分の悩みや課題を自己開示することも、信頼関係の構築や価値観の共有には有効です。
押さえておきたいイマドキ新卒の価値観
早期退職を防止するうえで、いまの新卒社員の価値観を理解しておくことも大切です。もちろん個人差はありますが、以下のような傾向があることは知っておきましょう。
- ワークライフバランス重視
- コスパ・タイパ重視
- 承認欲求が強い
ワークライフバランス重視
最近の新卒社員は、ワークライフバランスを重視しています。過去には、仕事に全てを捧げる生き方が美徳とされていた時代もありましたが、今では「社畜」という言葉で揶揄されるようになりました。
私生活と仕事はしっかり線引きをして、定時という枠の中で最大限のパフォーマンスを発揮したい、と考える人が多いです。
コスパ・タイパ重視
新卒社員の間ではコスパやタイパという言葉が日常的に使われており、ムダや回り道を嫌う傾向があります。彼らは子どもの頃からパソコンやスマホが身近にあり、分からないことは検索すればすぐに正解にたどり着ける環境で育ちました。
そのため、企業に就職してムダな慣習に従わなければならなかったり、方針がコロコロ変わって振り回されたりする状況に、ストレスを感じやすいのが特徴です。
承認欲求が強い
新卒社員の世代は、承認欲求が強いことも特徴です。彼らは、学校教育で多様性を認め合う教えを受けてきました。いわゆる「みんなちがって、みんないい」という考え方です。
また、新卒社員の多くはInstagramやTwitterなどのSNSを活用しています。SNSでは、自己表現をして「フォロワー数」や「いいね」を増やすことで、自己肯定感を高められるのが特徴です。
以上のことから、新卒社員は「自分を見てほしい」「認めてほしい」という気持ちが強く、承認欲求が満たされないとモチベーションが下がりやすいです。
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新卒社員の早期退職を防止するためには、採用時のマッチングの精度を上げ、コミュニケーションを活性化することが大切です。最近の新卒社員の価値観も理解したうえで、長く働けるような職場づくりをしていきましょう。
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