22卒学生の就職活動の傾向(中間速報)

就職活動状況

12月半ばになり、約90%の学生が本格的な就職活動を始めていることが分かりました。最も不安な事について、8月のアンケートでは「求人数の減少」が最も高く、次いで「初めての就活」となっていましたが、今回はほぼ同じとなっています。実際に会社説明会やインターンシップに参加した学生も多くなってきたことから、緊張感を持って就活に臨んでいる様子がうかがえます。

就活のオンライン化

コロナにより外出などが制限される中、就活の中心がオンラインとなってきています。この変化は「効率的だ」として学生は好意的に捉えていることが分かりました。一方で、企業理解の不足を補う目的での会社訪問や座談会への参加意欲の高まりを確認できました。

インターンシップ・会社説明会

オンラインでのインターンシップや会社説明会に参加する学生は、学生数・起業数共にリアルでの参加者に比べ圧倒的に多くなっていることが分かりました。しかし、こういった状況下でもリアルでのインターンシップ・会社説明会へ参加する学生がいることは、実際に自分の目で確かめてみたいと感じていることの表れではないかと推測できます。

理工系学生アンケート回答者属性

今回のアンケートは2020年12月17日に行い、308名から回答がありました。内訳は学部30名、修士253名、博士18名、その他7名となっています。
理工系では全体的に修士課程に進学する学生が多く、今回のアンケートでもその傾向が強いことが分かります。特に研究職を目指す学生にとっては、学部卒よりも修士課程を修めた方が有利であることも影響しているのではないかと考えられます。

就職活動状況

本格的に就職活動をスタートする時期

22卒の理工系学生は、アンケートを行った2020年12月時点で90%近くが既に就職活動を始めていることが分かりました。これは前回(2020年8月)時点の調査で「既に開始・年内に開始予定」と答えた学生の数とほぼ同じになっています。

就職活動における不安

就職活動における不安を複数回答(最大3つ)で尋ねたところ、「生まれて初めて就活をすること」と「求人数が減少する可能性があること」の2つがほぼ同じとなっています。国立大学(理工系)の学生でも求人数の減少への不安を感じていますが、企業からの採用選考への呼びかけなどには反応が期待できる状況となっています。
また、求人数減少の不安から、学校推薦の利用者も増える傾向にあります。

8月実施のアンケートと今回のアンケートでは割合の計算方法が異なるため、8月の回答を今回と同じ方法で計算したものを青字で表示しています。8月と12月の回答を比較すると、「求人数が減少する可能性があること」の割合が減り、「生まれて初めて就活をすること」がやや増えています。これはインターンシップや会社説明会などに参加した学生が増えた結果ではないかと推測されます。

志望業界の決定

志望業界は決まっているか、あるいはいつ頃決まりそうかを尋ねたところ、55%の学生は既に志望業界を決定していることが分かりました。残り45%はこれから志望業界を決めると答えています。こちらには掲載していませんが、前回8月のアンケートでは「秋まで」と答えた修士生が最も多かったことから、若干決定が後ろ倒しになっていることが分かりました。

JOB型採用に関する意識

今回の調査でもJOB型での採用と配属を望む理系学生が最も多くなっており(74%)、従来型の総合職採用を望む学生は少ない状況は変わっていないことが確認できました。このことからも、理工系学生の採用に関しては総合職採用を見直すことで、優秀な学生が集まりやすくなる可能性が高いと考えられます。

インターンシップ

コロナ下での面接・インターンシップについて

コロナ状況下で、会社や事業所に面接やインターシップに行くことに心理的な抵抗があるかどうか尋ねたところ(交通費は支給されるものとする)、55%の学生が企業訪問を積極的に捉えていることが分かりました。

8月のアンケートと比較すると、「心理的に抵抗がある」と答えた学生は3割とほぼ横ばいの状態となっています。しかし、「大都市以外であれば」という条件がつくものを含めると40%を超える学生に不安があり、インターンシップや面接の実施においては、実際に訪問する以外にWEBでも参加ができる状況が望ましいと考えられます。

長期インターンシップ参加社数(オンライン)

オンラインの長期インターンシップに参加した企業数を尋ねたところ、参加していないと答えた学生が73%と最も多くなっています。オンラインでの長期インターンシップは運営が難しいこともあり、参加者が一部に限られている状況であることが分かりました。

短期インターンシップ参加社数(オンライン)

オンラインの短期インターンシップでは8割の学生が既に参加していることが分かりました。10社以上参加している学生も1割となっています。長期に比べ、参加しやすい、数が多いといった事が考えられます。

長期インターンシップ参加社数(リアル)

リアルでの長期インターンシップについても「参加していない」と答えた学生が78%と最も多く、オンラインでの開催と比率に大きな違いがないことが分かりました。リアル開催であることで、参加者数が大きく増減することはない状況であることが確認できました。

短期インターンシップ参加社数(リアル)

リアルでの短期インターンシップでも「参加していない」と答えた学生が65%おり、参加した場合でも1社のみという学生が最も多い事が分かりました。

WEBとリアルの短期インターンシップ参加者数の比較

8割の学生が参加したオンラインに比べ、リアルでの参加者は圧倒的に少なくなっています。これはコロナの影響によるものだけでなく、移動時間や費用などの面でもオンラインの方が参加しやすいと考えられます。

冬のインターンシップ

冬のインターンシップへの参加予定を尋ねたところ、オンラインで参加すると答えた学生が約8割と最も多くなっていることが分かりました。理工系採用において、オンラインでのインターンシップの実施は不可欠な状況であるといえます。また、オファー型サービスでインターン告知を行うのも有効だと考えられます。

印象に残ったイベント

インターンシップや会社説明会などのイベントで、一番印象に残ったものについて尋ねたところ、インターンシップが67%と圧倒的に多い事が分かりました。次いで会社説明会が17%、リクルーター面談が14%となっています。
印象に残った理由について、「企業の雰囲気を感じられた」「働くイメージがつかめた」といった意見が多く見られました。

面白かったオンラインインターンシップ

オンラインでのインターンシップで、面白かったものがあったかどうかを尋ねたところ、プロジェクト参加型と答えた学生が35%と最も多い事が分かりました。次いでセミナー型、就業型と続いています。
面白かった理由としては以下のような意見がありました。
・他の参加者の意見が分かったので、自分がどの立ち位置にいるのか自己分析にもつながった
・社員の方からの丁寧なフィードバックと他の学生の積極的な参加姿勢
・知りたかったことを社員の人に直接聞くことができた

面白かったオンラインインターンシップの参加時期

「面白かったものがあった」と答えた学生に、そのオンラインインターンシップの参加時期を尋ねたところ、9月頃が一番多く、次いで8月、12月、11月と続いています。学生が本格的に活動し始めた夏以降のインターンシップが多くなっています。

面白かったオンラインインターンシップの参加人数

10~40名でのオンラインインターンシップと答えた学生が半数以上に上り、比較的規模が小さめだったことが分かりました。

就職活動の進行状況

就活イベントへの参加

就活イベント(合同説明会等)には参加したかどうかを尋ねたところ、12月末段階で6割の学生が会社説明会などに参加していることが分かりました。

今後の就活イベントへの参加予定

今後の就活イベント(合同説明会等)に参加する予定があるか尋ねたところ、「オンラインとリアルの両方とも参加する」「オンラインのみで参加する」がほぼ同数いることが分かりました。参加しないと答えた学生は、インターンシップやその他リクルーター面談などで志望企業を決定すると考えられます。

コロナの影響による就職活動の効率化

コロナ前と比べて、就職活動が効率化されたと感じるかという問いに対し、75%が効率されたと感じていることが分かりました。コロナ下でのオンライン化に対して、理工系就活生は効率化の恩恵を受けていると実感していると推測されます。

厳選!理系就活生におすすめサイト

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OfferBox(オファーボックス)

逆求人サイト最大手で、使いやすさや利用企業数・質ともに非常に優秀なサイトです。エントリー前に、スカウトが届いた企業とチャットを使って話すことができるのが大きなメリットですが、理系採用企業は一部に限られるので注意が必要です。
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キミスカ

逆求人サイトとしてこちらも有名です。利用企業数はOfferBoxに劣りますが、企業からの本気度のわかりやすい3種類のスカウトと精度の高い適性検査が魅力のサイトです。無料の適性検査が受けられ、各能力の測定値が出るだけでなくそれぞれの項目に長文のコメントが付き、「よく当たっている」と精度の高さも評判です。ただし、こちらも理系採用企業は多くありません。
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理系マイナビ

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理系ナビ

理系学生に特化したインターンシップ、就活情報サイトです。総合的なサイトにはない理系特有の就活情報をもとに、キャリアプランについて考えながら就活を進めることができます。キャリアスクールというイベントは、セミナーやグループワークを通して企業理解や職種理解を深めることができるので有用です。また、キャリア相談を利用することで、就活の方向性が定まっていないという方でもコンサルタントと一緒にキャリアプランを立てることが可能です。
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まとめ

1.コロナの影響により、長期・短期共にリアルでのインターンシップへの参加が少なくなっている(開催されない場合を含む)ことが分かりました。オンラインでの長期インターンシップは実施が難しい面があり、短期のオンライン・インターンシップへの参加が多くなっています。オンラインの効率的な部分(移動時間や待ち時間がないなど)を好意的に捉えていることがデータからも明らかになりました。
2.12月現在で、オンラインでの短期インターンシップの参加者と合同説明会の参加者は共に8割であったことが分かりました。また、この冬のオンライン・インターンシップに参加すると答えた学生は約80%、今後合同説明会に参加予定と答えた学生はオンライン・リアル両方を合わせて約85%と、この2つに参加することが理系学生の就活の主流となっていることも分かりました。
3.オンライン化を歓迎する一方で、選考プロセスのどこかで(できれば)企業を訪問したいと考える学生は約30%と決して少なくないことが分かりました。また個別面談や座談会などを希望する学生も約25%おり、企業をより理解できる機会を求めていると考えられます。